騎士、お仕事中。
あっという間に、秋祭り当日である。
ルウイさんと、夕方の交代の時間に食べ歩きしようという約束をしたので、本日はルンルン(古い・・?この表現?)で出かけていった。私は家事をしてから、お昼すぎに行く。
少し肌寒くなるし・・、そう思ってコートを羽織って外へ出る。まだ3時なんだけど、すでに空は薄暗い。
「わ・・やっぱり寒くなってきたな・・」
風が冷たくなってきて、あと少しで冬がやって来る事を感じる。
冬が来ると雪で覆われちゃうんだよね、この辺・・。
7月に契約して、契約終了は1月だけど・・。
大雪の季節だから、すぐにはオシムからは出ていけないかな・・。いや、ルウイさんの事だから「申し訳ない」って言って出て行きそうだなぁ・・。
カイルに会ったら、犬が欲しいと真剣に頼もう。
多分・・、寂しくなるから。
そんな事を考えつつ、街へと歩いていくとランプがあちこち吊るされて、淡い暖色系の灯りで照らされていて、なかなかに幻想的な風景だ。
「綺麗だなぁ・・」
前世では夏祭りなら行った事あるけど、異世界とはいえ、こんな風にライトアップされた外国風の街並みを歩けるって何気に幸せだ。
でもって、あちこちからいい香りがする。
美味しそう・・幸せだ。
なんか周りのうら若い男子や女子は、ちょっとお互い様子見して「声かけちゃう?」とか言ってるけど、私は断然食い気だ。精神年齢50近いからなの?分かんないけど、今は美味しそうなのを食べ尽くしたい!!
籠を持ってきたので、お菓子は持って帰ろう・・。
街の中心へ行くと、グルリと中心を囲むようにランプでライトアップされ、楽団が音楽を演奏したり、お酒を振る舞っていて、みんな嬉しそうに飲みあったり・・と、熱気がすごい。
わ〜、中心の広場まで来るのは久々だ。
何を食べようかなぁと思っていると・・
「トーリ!」
声がした方を振り返ると、ルウイさんが笑顔でこちらへやってくる。
「ルウイさん、お仕事お疲れ様です!」
「はい・・ありがとうございます。その・・」
ルウイさんが何か言いかけた途端・・
「あっちで喧嘩おきてるぞー!」
ルウイさんの顔が一気に曇った・・。
非常に分かりやすい。
「・・・・止めて参ります・・」
「気をつけて下さいね」
ルウイさんは静かに頷いて喧嘩が起きた方へ向かっていったが、「気をつけてね」の後には「殺すなよ」も付け加えてある・・。この一週間・・、本当によく仕事してるようだし、ブチ切れないといいな。まぁ、私じゃないから大丈夫か。
あっさり喧嘩は止められたらしい。
ルウイさんが、また嬉しそうに戻ってきて、ギルドの受付まで案内してくれた。
「あと少しで交代の時間ですが、皆さんやはり浮き足立っているので・・・、できればこちらで待って頂けると・・」
そう言いながら、ドサドサッとお菓子を受付のテーブルに置いてくれた。・・・これ、いつ買ったの???
「・・・はぁ、じゃあ、ここで待ってますね」
お菓子に手を伸ばして、パクッと食べつつ答えると、ルウイさんは大変満足した顔で再び見回りに行った・・。まぁ、こんだけお菓子があればいいか。いくつかは籠に入れて持って帰ろう。
楽団の音色に合わせて踊ったり、歌ったりする人もいて、
受付に座ってるだけだと暇かなって思ったけど、結構見てるだけでも楽しい。
お酒コーナーは、大変盛況で・・木の杯を貰うと、持っている限り無限に飲めるのだ。と、カイルが木の杯を持ってこちらへやって来る。
「あ、ちょっとー!何もう一杯やってんのよ!!」
「げ、なんでここにいるんだよ!」
「私も飲みたいから、一口ちょーだい!」
「・・・その机の上の大量の菓子をもってしても・・」
うるさい。
お酒を飲んでるのを、メルクさんにチクってもいいのか?
もう一杯やってまーすって言ったら、鉄拳が飛ぶぞ・・。




