騎士、狸寝入り。
ルウイさんが指を怪我したので、午後はゆっくり過ごすことにする。
「私は気にせずとも・・」
「人間はですね、怪我をしたら休むという法則があるんですよ」
それでなくても、昨日は大して寝てないだろうに。
なぜ、そう色々と仕事をしようとする。私はいつだってサボりたい気持ちが常だというのに・・。
「何もできないというのが、どうにも歯がゆくて・・・」
「それも経験です。ほら、昨日は私のせいであまり休めなかっただろうし・・、お昼寝でもしてきて下さい」
昼食のお皿を洗いつつ、ルウイさんに話す。
ちなみにお皿を洗おうとするから、「ダメ!」て言ったよ・・。怪我してるんだから、無理をするでない。ルウイさんは、ちらっと私を見て・・
「・・・寂しいです」
大型犬!!!
やっぱり、犬を飼おう・・、ワンコにワンコの面倒を見てもらうの・・案外いいかもだし。そんな事を考えていると、寂しそうにこちらを見るルウイさん・・。鬼神と呼ばれた騎士団長はどこへ行った?
小さくため息をついて・・、
「ルウイさんの部屋で、本を隣で読んでますから、寝てくださいよ」
そういうと、ルウイさんはパッと顔を輝かせる。
よしよし、お部屋で休もうね・・。
一緒に二階へ行って、ルウイさんがベッドで横になるのを確認してから、デスクの椅子を引っ張ってきて本を選ぶ。
ルウイさんが、ベッドで横になりつつ嬉しそうに私を見つめる。
・・・なんか、昔話を楽しみしてる寝る前の子供みたいだな・・。それにしては、ベッドがルウイさんの体には小さいな。
「・・今度、ベッドのサイズ大きくしましょうか。ルウイさんには小さいですね」
「一緒に寝てくださるんですか?」
「・・・早く寝て下さい。疲れて思考がおかしくなってますよ」
じとっと睨むと、ルウイさんは可笑しそうに笑う。
全くもう・・この大型犬は・・。
そっと、手を伸ばして髪を優しく撫でてみた。サラサラと流れるような感触は変わらず気持ちいい。
「ほら、寝て下さい。撫でてあげますから」
そういうと、ルウイさんは蕩けそうな瞳でこっちを見つめる。う・・、照れるから早く目を閉じて欲しい。ルウイさんは、小さくお礼を言って目を閉じる。
昨日は一晩中、雷に怯えていた私を抱きかかえてくれてたし・・。
ま、今日くらいはいいよね?と、一応理性に聞いたら、「やむなし!」みたいに頷いていたので、いい事にした。
そうして、しばらく撫で続けると、静かな寝息が聞こえてきた。
よしよし寝たな・・。
私は、読もうとしていた本を読み始めるが・・、今日は昨日とは違って穏やかな秋晴れだ。
窓を換気のために少し開けておいたが、爽やかな風が入ってくる。
「・・・眠くなっちゃうなぁ、この陽気・・」
少しだけ座ったまま、目を瞑ると気持ちがいい。
少しだけ・・少しだけ・・、そう思っていたのに、しっかり眠ってしまった。
不意に、ふわっといい香りがする。
ああ、なんかいい匂いがする。
これはあれだ、ルウイさんの手に塗ってあげてるハンドクリームだ。やっぱりこの香りいい匂いだな・・。香りの方を追うように、顔を近付けると、息を潜めるような音が聞こえる。
・・・ん・・?
目をそっと開けると、ベッドに寝転ぶルウイさんが私を見ている。
「・・・いつの間に起きたんですか?」
「先ほど起きました。お陰さまで少し楽になりました」
「・・やっぱり疲れてたんじゃないですか」
ちょっと呆れた顔をして、ルウイさんを見ると小さく笑う。
「・・・また、こうして横にいて貰えませんか?」
「・・・いいですけど、狸寝入りしないで下さいね」
「はい、ご主人様」
ルウイさんが、起き上がって嬉しそうに微笑むけれど・・、
貴方は人間であって、奴隷ではないって、何回いえばいいのだろう。立ち上がって、頭の髪をぐしゃぐしゃとかき回してやった。・・・嬉しそうにするでない!!!




