騎士、大張り切り。
白目を剥いて倒れているネイトさん・・。
ルウイさんは大分遠く離れていたけれど、どうやって吹っ飛ばしたのだろう・・。だが、何はともあれ助かった・・。
「ルウイさん、助けてもらってありがとうございます。えーと、もう大丈夫なんで、ちょっと腕を離していただけると・・」
そう言って見上げると、ちょっと残念そうな顔をして腕を離してくれた。
あーびっくりした・・。まんま王子様だったよ。心臓に悪いわ。
ちょっと顔が赤いと思うんだけど、精神年齢50近い私は不整脈がおきている・・。美形怖い。本当に怖い。
メルクさんは、私達を見て面白そうに笑ってるけど、そういう場合じゃないのよ?ルウイさんの後から、大分してからカイルが森からこちらへ馬に乗ってやってきた。
「メルクさん!こっち、来てたんすか!」
「そこのノビてる騎士が、見回りしたいってうるさいからね・・、まさかトーリに会うとは思ってなかったわ・・。本当にごめんさいね・・」
「いえいえ、まさかあそこまで頭がぶっ飛んでるとは思わなかったんで」
冷静に答えると、メルクさんがまた吹きだした。
横にいるルウイさんは、大層複雑な顔をしてるけど・・。
カイルは、ノビてるネイトさんを嫌そうに見て、メルクさんを見る。
「こいつ、どうします?」
「このまま寝かせておきたいけど、そうもいかないから馬に乗せていくわ。魔狼の方は、どうなったの?」
メルクさんがチラリとルウイさんを見る。
そうだ!魔狼!
慌ててルウイさんを見上げると、メルクさんにニコッと笑って・・
「すぐそばの森に狩って吊るしてあるんで、取りにきて頂けますか?」
吊るしてある・・・???
私とメルクさんが口をポカーンと開けると、カイルがウンウンと頷いて・・、
「ルドヴィクさんが倒したそばから、木に吊るしておいたんです。50頭くらいいるんで、馬車が2台必要です・・」
馬車2台・・・。
なんだって・・??ルウイさんはニコニコして、「ご案内します」というので、カイルがネイトさんを馬に乗せていき、メルクさんは警備隊に馬車を2台用意させて、魔狼を回収しに行く。
・・私はというと、なぜかルウイさんの馬に乗っている。
いや、なんでそうなる??私を前にのせて、ちゃんと腕で支えてくれてるから怖くはないけどさ・・。
ルウイさんを見ると・・、少し眉を下げて申し訳なさそうに私を見つめる。
「申し訳ありません・・、あのような事がまたあったらと思うと恐ろしくて・・」
いや〜、どっちかっていうと・・恐いのはネイトさんだと思うな〜。
間違ってもルウイさんじゃないと思うな〜。
でも、それをあえて指摘しないけど・・。
しばらく森を走っていくと、本当に魔狼が吊るされた場所に着いた。
・・・これ、ちょっとしたホラーだな。
警備隊の人も、ちょっと恐れ慄いていた・・。わかる、わかるよ、その気持ち・・。
「すべて仮死状態にしてありますから、ギルドで血抜きして解体して頂けると助かります」
ルウイさん、サラッと言ったけど・・できるの?仮死状態にしておくとか??
え、異世界ってそういうのできるものなの??
メルクさんは、目がキラキラしてるけど輝かせちゃうの??
普通という概念から外れて生きてきたけど、この辺は未知の領域だ・・。とりあえず、ありのままを受けいれておこう。
メルクさんの指示の元、夜になる前に急いで魔狼は馬車に運び込まれ、無事解体される運びになった。ルウイさんと私は馬をギルドまで返すために一緒に行くと・・
ギルドの前で、白目を剥いてたはずのネイトさんが立っていた。
ええ〜〜〜、なんで起きてるの?
思いっきり顔をしかめたよ・・。
ずっと寝てればいいのに・・って思ったけど、それは死んでいる事になるか・・。




