騎士、守る。
ルウイさんがカイルを連れて狩りに出かけてしまったので、急に家に一人だ。
ひとまず午前中一杯は、翻訳の仕事を一気にする。
あっという間にお昼になって、夕食の仕込みも済ますとなんだか手持ち無沙汰だ・・。なんだかんだいって、ルウイさんと畑の手入れをしたり、散歩したりしてるからなぁ・・。
「・・家の玄関前の掃除でもするか・・」
さっきルウイさんを見送った時、大分雨で花壇の周りが汚れてるなって思ったのだ・・。ついでに花も植え替えようと思って、庭にあるお花をいくつか掘り起こして、玄関前に綺麗に植え替える。
うんうん、綺麗になった玄関周りを見て、大変満足である。
「花畑に行って、お花も摘んで飾ろうかな〜」
ルウイさんが帰ってきたら、喜んでくれるかも!
そう思って、籠を持って家のそばの森の入り口へ歩いていく。思った通り、花畑は色とりどりの花が咲いていて綺麗だ。
「おお、今日はなかなか綺麗なのがいっぱいだ〜」
ハサミで手早く切って、籠に入れていると馬の蹄の音がする。
あれ・・?ルウイさん・・?
そう思って、周囲を見渡すとメルクさんと、あの嫌な奴の姿が見えた。げ!!なんて事だ・・、会いたくない奴ナンバーワンなのに!森の中へ入って、隠れようとすると目ざとくネイトさんとやらが私を見つけて、声をかける。
すっごい眉間にしわを寄せて、半分睨みつけるように近付いてくるネイトさんを見る。・・・後ろでメルクさんが、苦虫を噛み潰したような顔でネイトさんを見てるけど・・、ニヤニヤしながら私を見ているので気付いてないよ?
「・・なんだお前、こんな所に一人で。奴隷はどうした?」
「・・花を摘みにきただけです。あと彼は奴隷なんて名前じゃありません」
ツーンとわかりやすくそっぽを向くと、
ネイトさんはますます面白そうに私を見て・・、
「そうかそうか、年頃の乙女に失礼した。騎士たる私を見て恥ずかしいのだな?」
寝言は寝ていえ。
あと病院へ行って脳みその中を見てもらえ。
「恥ずかしくはないですね・・、腹がムカムカしますけど」
わかりやすくムカついてるって言ったのに、ネイトさんは額に手を当てて・・、
「嗚呼!乙女の心を捉えてしまう自分の罪深い事!」
って言ってるけど、お前本当に病院へいけ。
メルクさんが可哀想なものを見るような目になってるぞ。
・・・ダメだ、この人頭のネジがぶっ飛んでいるんだろうな・・、そう思って花の入った籠を持って立ち上がって家に戻ろうとすると、ネイトさんは馬から下りてくる。ぎゃあぁ!!下りてくんな!!!
「どこへ行く?」
「家に帰ります。変態が出たんで」
「何?!どこだ?」
「目の前ですね・・」
メルクさんが思いっきり吹きだした。
早くこいつ連れ帰って下さいよ・・。私は、走って逃げようとすると、急に腕を掴んできた。
ちょ!!おい離せ!!!メルクさんも慌てて止める。
「ネイト殿、女子に不用意に触らないでください!!」
「なぜだ?変態が出たと言ってるんだぞ?」
お ま え だ。
私とメルクさんの心が一つになったと思う。
とにかく離して欲しい。腕をなんとか振り払おうと思った瞬間、馬の蹄の音が遠くから聞こえる。
あれ?馬の音・・?
警備隊が別で来たのかな?そう思った瞬間、ネイトさんが突然吹っ飛んでいった。
吹っ飛んだ・・・・???
メルクさんと目を丸くして、花畑の奥へ吹っ飛んでいったネイトさんを見ると、白目をむいている・・。
え、どういう事??
そう思っていると、ルウイさんがこちらへ馬に乗って駆けてくる姿が見えた。
・・・もしかして、ルウイさん??
ルウイさんの方へ走っていくと、私の近くまで来ると馬から下りて、ぎゅっと抱きしめてきた。
驚いてルウイさんを見上げると、心配そうな顔で私を見る。
「大丈夫ですか?お怪我は?」
「・・私はないですけど、あっちで倒れてる人の方が、大怪我かもしれません」
そういうと、ルウイさんはニコッと笑った。
あ、こういう時って笑うものなの???




