騎士、強請る。
そういえば奴隷契約してたんだな・・って、「ご主人様」なんて呼ばれて思い出したよ。
なんか私としては、期間限定の同居生活くらいにしか思ってなかったし。
なんとか呼吸を整えて、朝食を食べた私は・・自分が普通に生まれてこなくて良かったって思ったよ。
普通の小娘だったら、心臓壊れてるわ。
やー、50近い精神年齢で良かったわ・・。美形のダブル攻撃なんて軽く死ねる。
今日はルウイさんは、ギルドから『魔狼退治』の依頼を、昨日の宣言通り受けてきたので、午前中は罠を張りに行って、そのついでに何匹か狩ってくるらしい。
・・・うん、きっとその通りに狩って帰ってくるんだろうなあ〜。
お昼はお魚もあるし、野菜もあるし・・。
なんて考えつつ洗濯を干す。
下着なんかはルウイさんは自分で洗って干してあるようだ・・。なんという紳士!騎士団長の配慮素晴らしい!!!エクセレントである。
洗濯物を干したら、早速仕事に取り掛かる。午後はのんびり掃除したり、本も読みたいし・・。
ソファーの側にあるローテーブルの本を片付けて、仕事場の本棚にしまう。あ、そういえば仕事で使いたい資料がルウイさんの部屋にあったな・・。
部屋に勝手に入るのも、ちょっと躊躇ったが・・
あとで謝っておこう。
そう思って、二階のルウイさんの部屋を開けると、すっかり綺麗に整っている。
「・・・すご・・、いつの間に掃除したんだろう」
本もなんなら綺麗に整頓されている。
すごい・・どんだけハイスペックなんだろあの人・・。
おかげで資料を簡単に見つけられた。帰ったら、お礼を言おうっと。
ふと、デスクの横を見ると白銀に輝く鎧が置いてある。
そっと近づいて鎧を見ると、お日様の光を浴びて綺麗に光っている。なんかラメみたいなのついてる・・?首元に狼のような紋章が入っていて、なるほど・・団長さんがつけるような鎧だなって思った。
朝ご飯の時、「撫でてくれたら嬉しい」なんて言うルウイさんを思い出して、小さく笑ってしまう。狼でなくワンコか。
「・・私じゃなくたって、撫でられ放題だろうに・・」
撫でた時のサラッとした感触をふと思い出した。
うん・・、現実的に生きてたら絶対撫でる事なんかなかったであろう団長様の頭を撫でるなんて、今世はなかなか面白いな。
そう思ったら、ちょっと地味なのにハードな感じの日常もいいかもしれないと思った。
お昼を少し早めに作っていると、玄関の扉を開ける音が聞こえた。
ルウイさん、帰ってきたかな?そう思って、キッチンから顔を出して、玄関を見るとルウイさんが私を見て、ふわっと笑う。・・可愛い。
「おかえりなさい!魔狼、どうでした?」
「ええ、何匹か狩ってギルドにおいてきましたが、残りは明日ギルドの皆さんで狩りに行く事になりました」
「え?みんなで行くんですか?」
「メルクさん曰く、訓練も兼ねて・・だそうです。あ、もちろん報酬はその分上乗せしてもらいました」
・・うーん、騎士団長、ちゃっかりしてますね。
でも、みんなで行くなら私も一安心だ。
「あ、そうだ・・すみません、ルウイさんの部屋に資料がおいてあったので、勝手に入らせて貰いました。部屋、すっかり綺麗にしてもらっちゃって・・ありがとうございます」
「ああ、構いませんよ・・」
「お掃除も得意なんですね・・、できる騎士さんですね!」
そう言うと、ふふっと笑って、
「撫でてくださいますか?」
「うーん?どうしてそういう流れになった??」
撫でるのは大型犬(希望)だけで良い。
美しい騎士団長様ではない。
ルウイさんは、ちょっと残念そうな顔をするけれど、違う・・そうじゃない感が半端ない。ついうっかり撫でてしまったけど、ご褒美で撫でる趣味は当方持ち合わせておりません。
カイルに相談して、大型犬を譲ってくれる人を探そう。自分のためにも。




