騎士、仕事熱心。
ブスくれるカイルと、ルウイさんにお茶を淹れて出すと、私はゆっくりお茶を飲む。あ、これやっぱり美味しいなぁ・・。
「そういえば、カイル報酬金〜」
「あ、そうだった・・ほらよ」
そういってポケットから出して、渡してくれた。
うむ、ちょっとしたお小遣い程度だけど助かる。なにせ翻訳の仕事のお金だけだと苦しい時もあるしね。
お茶を飲むカイルを見て、
「薬草、メルクさん何に使うの?」
「ああ、魔狼が出て前回怪我した奴とかいたから・・、次に怪我した時に備えておきたいらしい」
「あ、なるほどね・・」
前に出た時、結構数がいて追い払うのに苦労したっていってたもんなぁ。
マロウって名前が毎回聞くたびに、可愛いなぁって思うけど、結構面倒臭い相手らしくて・・警備隊も苦労しているらしい。
ルウイさんは魔狼の話を聞いて少し考えてから、カイルを見ると・・
「魔狼は、北の山の辺りで出没してますか?」
「え?!なんで知ってるんすか?」
あれ、カイル・・ルウイさんにはそんな話し方なんだ・・。
お茶を飲みつつ、カイルとルウイさんを交互に見る。
「・・今日、鹿を狩りに行った時、足跡があったので。根城がその辺りかな、と」
すごい・・、さすが騎士団長。
足跡見ただけで見当がつくとか凄すぎでない?
カイルは、ちょっと感心したようにルウイさんを見てる。さっきまで怖いって言って、人を盾にしてたくせに。
「ギルドに行って、鹿肉をもらってこようと思っていましたが・・、魔狼退治の依頼も受けてきます」
「え??窃盗団捕まえたばかりなのに??」
思わずルウイさんを見て心配になった・・。
は、働きすぎでないかい?
ルウイさんは、ニコリと微笑み・・
「魔狼退治すれば、毛皮も高く売れますし・・、肉も美味しいですよ」
「うーん・・・、どっちも魅力的ですね・・」
思わず美味しいという言葉に、ヨダレが出そうになる。
・・・うん、ちょっと食べたい・・。
「では決まりですね。カイルさん、お茶を飲んだらギルドに一緒に行きましょう」
「え、ええ??お、俺は、まだここで・・」
「・・行きましょうね?」
美しい顔でルウイさんがカイルに微笑んだ。
あ、その顔は危険だ。
私はカイルを見て、首を横に振っておいた。仕事へ行け・・命が惜しいなら。
ルウイさんは、私を見て柔らかく微笑み、
「美味しい鹿肉を持って帰りますので、夕飯・・お願いしてもいいでしょうか?」
「もちろんです!!煮込んでも美味しいし、焼いても美味しいし・・楽しみにしてて下さい!」
美味しいお肉〜!!!
考えただけで、ワクワクするではないか。
横でカイルが「ちょろすぎ」って言ってるけど、黙らっしゃい。美味しいお肉の前には誰も抗えないんです。
引きずられるように仕事へ戻っていくカイルと、いい笑顔でギルドへ行ったルウイさんを見送って、急いで仕事をやっつける。肉が待ってるし。
そうして、しばらくしてからルウイさんが鹿肉を一部持って帰ってきた。
「全部は冷蔵庫に入りませんし、ひとまず食べられる量だけ貰ってあとは売ってきました」
ちょっと申し訳なさそうにいうけど、十分ですから・・。
ステーキにして、これでもか!っていうくらいの量を夕飯に出したけど、ルウイさんは綺麗にペロリと食べてしまった。あれは、どこに消えるんだろう・・筋肉?筋肉になるの??
まぁ、嬉しそうに食べてくれるので、こちらとしても嬉しいし、冷蔵庫にもスッキリ収まってくれた。
「ルウイさんが来てから、美味しいものばっかり食べてちゃって・・、契約が終了したら寂しくなりそうです」
お茶を出しつつ、そんな風に話すと、
「いつでも延長して下さって構いませんよ」
と、ふふっと笑うけど・・、いや、ダメだから。
え?普通は終えたいよね?契約なんて・・、そう思うけどルウイさんはニコニコ微笑むだけであった・・。




