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29話 気がつけば三途の川

 気がつくとオレはお花畑に寝ていたんだが……なんだここは?

 色とりどりの花が咲いてたり綺麗な蝶々がたくさん飛んでいて花畑の奥にはどうやら川が流れているらしい、水の音がしている。

 オレは川の方へと歩いて行った、さっき川に飛び込んだはずだからあの時仲間にした魔物がまだ居るかもしれないしな。


 川にまでたどり着くとそこには……川の向こう側に楽園が存在した。

 見渡す限り全裸美女がたくさん居る、ヌーディストビーチってやつかって程に。

 そしてその美女たちが手を振ったり手招きしてるのである――――これはもう行くしかないだろ。


 そう思い川に右足を突っ込んだのだが、これがめちゃくちゃ深く危うく溺れかけた、無理だな諦めよう。

 少し気が早い気もするが裸一貫で世の中を生きるということは時に諦めも肝心だ、それにあんなとこじゃなくてもオレにはオレのハーレムが居るわけだしな。

 そこで気がついた、オレが今ブルーム達を装備していないことに。


 まさか……川の中に落としてきたのか? いやいやそんなことが仮にあったとしても、その時はみんな自動で魔物に戻って自力でなんとかできるはずだが……。

 しかしよく考えてみれば今の状況少し変だ、さっきの美女達もそうだが、生き物の気配がまるでしない。

 花畑、川、楽園? ……三途の川か! 死に際に見るとかいうアレじゃね?


「え、オレって死んだのか? ……いやまだだ、川を渡らなきゃまだ大丈夫なはずだ……」


 そうやって自分に言い聞かせてから後ろを振り返ると、そこは花畑でも楽園でもなくなっていた、なんかホラー映画とかにありがちなアンデッド満載の墓地になっていた。

 ちなみに川は健在だが、先程とは違い小舟と船頭がいる。

 何もみなかったことにしようそうしよう。


 オレはあの世の逆の方向に走り出した……訳なんだが確かに走ってる、はずなのに一歩も動けていない。

 後ろ髪を引かれるっていうかガチで何かに引っ張られてる。

 こういうのって振り返っちゃダメなんだよな……どうしたもんかと足を止めようとしたその時だ――――不意に声が聞こえた。


 オプファーゲシュペンスト(銀・♀)を仲間にしますか? しませんか? ――――

 ほう……どうやらこのオレを後ろに引いてる奴は魔物でオレの仲間になりたいらしい。


「いいだろう、だから早く手を離せ」

『オプファーゲシュペンスト(銀・♀)はなかまになった!』

『オプファーゲシュペンスト(銀・♀)になまえをつけますか?』

「じゃあファーシュで」

『ファーシュはよろこんでいる』


 この段階で前に進めるようになったので全力で走り出した――――しかし。



 エレジーアモルテ(白・♀)を仲間にしますか? しませんか? ――――


「するから! だから早くここから帰りたい!」


 もはや自棄になっていた。


『エレジーアモルテ(白・♀)はなかまになった!』

『エレジーアモルテ(白・♀)になまえをつけますか?』

「レジーアでいいだろう!?」


 次の瞬間、オレの目の前は真っ白になった。


 痛い、オレは体中に当たるゴツゴツとした痛みで目を覚ました。

 どうやら小石じゃ砂利の多い川原で寝ていたらしい。

 ……そうだ、みんなを探さないと……あった、ちゃんとオレが装備していた。


 さっきの世界が死後のソレならば装備品がなかったのも分からなくもないが、オレはホッとして、その場で仰向けに寝転がった。

 小石が痛い……学習しないなオレは。

 空を見上げるとまだ夜らしく、満天の星空が見える……綺麗だなとしばらくソレを眺めていると、急に背筋が寒くなった。


 何かの気配を感じ、体を起こして見るとそこには――――銀色の人魂と白いローブのような物がこれまた白い鎌のような物と一緒に浮いていた。

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