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第1章 第51話 どうやらとても気になるらしい

異世界免許教習所ココカラ


僕らは、天秤はかりの間の中に入った。

その床には、転移の間と同じような巨大な八芒星が描かれている。


これ、また飲み込まれるやつだろうね。

もう慣れました。


その巨大な八芒星に飲み込まれて辿り着いた先は、厳かに神聖な雰囲気が漂う場所であった。


いまは真夜中なのに、ここは真昼のようにとても明るい。

周囲には緑々しい樹木が生い茂っている。


そして、とても静かであった。


緩やかに続く石の階段を、僕らは上っていく。


一歩、また一歩。

僕らが歩く足音だけが響く。


鳥居に似た形のアーチを潜った。


そこに見えたのは、数多あまたの石像が立ち並んでいる姿であった。

8本ある通路の間にきれいに並べてある。


その石像は、全てミスリルで作られているようだ。

そして、顔の無い物、腕の無い物、上半身が無い物、片足が無い物、その殆どが傷ついている。


その石像を見ながら、ミアが言った。


「前から、このミスリル像は何なのかと思ってたんだけど、やっと意味が理解できたわ。」


ポランが頷く。


「昔の大戦で戦ったミスリルゴーレム兵達だったんでやんスね。」


その傷ついた姿からは、かつての大戦の凄まじさが感じられた。


僕らは、そのミスリルゴーレム兵の雄姿に囲まれた通路を上がっていった。


そしてまた、鳥居に似た形のアーチがあった。

その数は全部で8つある。


その中で、1つだけが不思議と輝いているように見える。


「あそこで、秘宝の世界での仕事クエスト達成を報告するでやんス。」

「あの中が天秤はかりよ。」


その天秤はかりという表現が、とても気になる。


僕らは少し、その輝いて見える鳥居に似た形のアーチを眺めた。

そして、そのアーチを潜ることにした。


***************


- 魔素の世界 -

《ポルファス王国 王都近郊 平原》


最後の戦いに場面は移る。


オルタスは見抜いた。

敵がこちらに攻撃を仕掛けてきた時だけ、こちらの攻撃は通用する。


しかし、不利な状況に変わりはなかった。


邪眼の悪魔イービルアイの触手の乱打と、闇属性の攻撃魔法を防ぐだけで手一杯である。

タイミングを合わせて反撃する余裕など全くない。


オルタスは一度離れて、間合いを取り直した。

そこに、見たことのない小柄で太った戦士が近づいてくる。


「苦戦しとるようじゃの。」

「貴殿は??」


「オークに見えるか?」

「いや、見えぬが・・・。」


小柄で太った戦士は、機嫌よさそうにニヤッと笑った。


「お主の敵ではない・・・とだけ伝えておこうか。」


その小柄で太った戦士が、邪眼の悪魔イービルアイを観察する。

そして、盛大に笑いだした。


「フハハハッ。あ奴、アンデットになってしもうて、得意の“石化”が使えなくなっとるの。」

「石化?」


「そう。あ奴が石化を使えておったら、すでにお主は敗北しとったろうの。」


オルタスは、背中に汗が伝うのを感じた。


「ほう。その代わりに“防御壁”が“絶対防御”に進化しとる。」

「なっ!よくお分かりで・・・。」


オルタスは、改めてその小柄で太った戦士を見た。

とてつもない強者である。


オルタスは、直感的にそう感じたのであった。


「ちと面倒じゃの。絶対防御は、奴が攻撃してくる時でなければ、こちらの攻撃が通じぬ。」

「その通り。なぜ貴殿は、先程から、戦わずにそれが分かるのか?」


「それは内緒。」


小柄の太った戦士は、ウォルスである。

ウォルスは、悪戯っ子のような顔をして誤魔化した。


「さて、お主さえ良ければ、共闘といかんかね?」

「それは願ったり。」


オルタスは力強く頷いた。

その返答を聞いたウォルスが、自身のスキルを発動する。


物理防御向上

魔法防御向上


そして、ウォルスはオルタスに言った。


「あ奴は、然程さほどにタフではない。」

「ほう。」


「あ奴の攻撃は儂が全て引き受けるから、お主は攻撃に専念してくれ。」

「・・・承知。」


ウォルスは、大盾を構えて前にでた。


「さあ、大目玉ちゃん。こっちを見てくれるかの?」


そして、スキル“挑発”を使用した。


邪眼の悪魔イービルアイの視線が、ウォルスに釘付けになる。

それは、触手の先にある邪眼も含めた全ての視線が向いていた。


何本もある触手の先にある邪眼から、一斉に闇属性の攻撃魔法が放たれた。


「いくのじゃっ!」


ウォルスはオルタスを押し出した。

そして、敵の攻撃魔法を大盾で防ぐ。


強烈な爆撃が何度もウォルスを直撃する。

足を踏ん張って大盾でそれを防ぐウォルスは、一歩も下がることはない。


それどころか、一歩、また一歩と前に歩み出ていく。


それを横目で見たオルタスは、敵に攻撃を与えることだけに専念した。


「ゆくぞっ! 鉄甲斬アイアンブレード!!」


オルタスの斬撃は、邪眼の悪魔イービルアイの胴体部を斬り裂いた。


「グエッ!!」


邪眼の悪魔イービルアイが、苦しみの叫びをあげる。


「大目玉ちゃん。余所見よそみをしたらいかんぞ?」


再び、ウォルスは挑発を使用した。


邪眼の悪魔イービルアイは、またもその挑発に釣られる。

全ての触手による乱打を繰り出していた。


それを軽々と大盾で防ぐウォルス。


オルタスの一撃が、また敵にヒットした。

それはまた一撃。

さらにもう一撃。


邪眼の悪魔イービルアイは、たまらず羽を広げて宙を舞おうとする。

しかし、すでにその羽は斬撃で斬り刻まれており、使い物にならない。


「グゲゲエェェ。」


邪眼の悪魔イービルアイが低く唸る声を出す。


ウォルスの大盾は、聖属性を宿している。

その為、ウォルスを触手で乱打していた邪眼の悪魔イービルアイは、自身にダメージが跳ね返っていたのであった。


もはや、触手の先にある邪眼は、全て潰れている。


「グゲゲエェェ・・・ギャ。ギャ。ギャ。ギャ。ギャ。」


邪眼の悪魔イービルアイの声が、低く唸る声から発狂の声に変わっていく。


その声を聞いたウォルスが叫ぶ。


「最後じゃ。あ奴は自爆するぞ!」


それを聞いたオルタスは、周囲に命令を出した。


「皆っ!すぐにこの場から離れよっ!すぐに!離れるのだっ!」


王国騎士軍団は素早く退去し、魔導士たちは総掛かりで魔法の防壁を作り上げる。


邪眼の悪魔イービルアイの球体の身体が、みるみるうちに風船のように膨らんでいく。


そして、それは大爆発を伴って破裂した。


ドッゴォーン!!!!


その場所の地面は、爆発により大きく抉られていた。

その抉れた地面から、大量の土を被ったウォルスとオルタスが姿を現す。


王国騎士軍団の中から、大歓声の拍手喝采が沸き起こった。


「ブハッ。ゲホッ。ほんと迷惑な大目玉だの。」

「貴殿、私を庇って・・・怪我はないのか?」


ウォルスは、そのでっぷりと太ったお腹を擦った。


「うむ。少し痩せたかの?」

「ハッハッハッ。」


オルタスは笑いを堪えきれなかった。


「貴殿に心より感謝する。これで戦局は大きく変わる。後は死を纏う者だけだ。」

「それは、心配無用だと思うぞ。」


ウォルスは全身に塗れた土を払い落としながら思った。

何せ、あのジーニャだもん。

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