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PROJECT・NOVA ~英雄たちの輪舞~  作者: たい平


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30/32

#30

「アキさん達遅いですね」

カガミ達はカイヤナイト基地の休憩室にいた。

新型機のお披露目が終わると、ダイとハヤテはネクティアの開発部署の人間達と工場ラインに向かい、団長のアキはアーリィとゴードンと共にネクティアの基地司令部に赴いたままだ。

ベンベンとリュウが

「さぁな。帰りが遅いって事は、あんま良い予感がしないんだよな」

「でも暫くは、新型機の製造を優先するんだろ?なら新兵訓練やらで俺等は少し楽ができんじゃね」と言うと

「そうかも知れないが、それと同時に出費が多いからな。収入も多く必要になるから、いつまでも暇って訳にはいかないぞ」

トシがそう言うと、全員が嫌そうな顔になる。

「なら今は少しでも休ませて貰いますかね」

ハルはコーヒーを飲み終えると、休憩室から出て行こうとする

そこに基地内のスピーカーから


”カイヤナイト各隊長へ。至急ネクティア基地司令部にお越し下さい。至急ネクティア基地司令部にお越し下さい”


「俺隊長名乗った事ないから、行かなくてもいいよね?」

「ハルさん、諦めて」

「いやじゃ!いやじゃ!俺は疲れて眠いんじゃ!!!」

「ほら行くよ、ハルさん」

ムックとジャガーに両腕を掴まれながら、ハル達は部屋を出ていく。


そしてこちらも同じように

「俺隊長じゃねぇ~し。そもそも誰が何の権利があって、そんなの決めたんだよ!俺絶対に行かないもん」

「ベンベンさん、お願いですから変な駄々こねないで下さいよ。俺だってそんなの名乗った事ないですけど、流れ的にしょうがないって諦めてるんですから」

「カガミンいいか?!百歩、百歩だ、百歩二百歩譲ったとしてもだ、隊長って役職を引き受けたとしてもだ」

「はい」

「あの変な二つ名みたいなの嫌だろ?」

「あぁ~」

カガミとベンベンには、ここ数ヶ月前から二つ名が付き、それで呼ばれる事がある。

「俺は嫌だぞ!あんな中二病で呼ばれるの。隊長職を受け入れるって事はだ、あの中二病ネームを受け入れるって事だぞ」

「まぁ、そうなんですけど。……もしかしてハルさんが嫌がってたのって」

「ハルさんの二つ名知りたいか?朱色の(ヴァーミリオン・)二刀闘志(ディマカエリ)だ」

それを聞いたカガミは顔をヒクつかせながら

「それはまた……結構な…名前ですね」

近くに居たリュウとエムジーはそれを聞くと

”プッ!!!”と吹き出し笑いを堪える。

「2人共!?笑ってるけど他人事じゃないんだからね!2人にだってもう既に二つ名が、TVとかで、何か付けられてたから」

「はっ!なにそれ」

「いや!聞いてないんですけど!?」

そんな事を話していると、休憩室の扉が開きメリッサが部屋の中に入ってきた。

「声が聞こえたので、もしかしたらと思ったのですが。隊長達もネクティアの司令部に呼ばれていますよね?」

「確かに呼ばれているけど、もしかしてメリッサも?」

「はい。今後の部隊編成についての説明があると聞いています」

「部隊編成?」

カガミは(そう言えば)と思い起こせば、これまでの戦闘では臨時編成の部隊で戦闘を行ってきただけで、今後もこの臨時編成の部隊のまま運行する必要はないってことだ。

リンダは「車をこちらに回します」と言い、部屋を出ていく。

カガミ達も嫌がるベンベンを引きずりながら、休憩室を後にする。


ネクティアの基地司令部に着くとアキがモニター画面前の席に座り、クライヴがモニター画面横に立っていた。

部屋には長方形の長いテーブルあり、カイヤナイトに所属になったパイロットとネクティアの小隊隊長が数人居た。

その様子を見ると開口一番にムックは「なんか仰々しいけど、どうしたの?」と少し驚く。

アキが「あぁ~、えっとね」と言いかけたが

「ムック副団長、それと各隊長方には、これから詳しく説明するので、ひとまず先に席に」

クライヴ少佐は、右腕を席に向けて座るように促す。

カガミ達も指示通りに用意された席に座る。

「取り敢えず全員揃ったかな?」とアキが聞くと

「ダイさんとハヤテさんが来てないです」とエムジーが返す。

「仕方がない。先に少し話をしてしまいましょう。いいですね?アキ団長」

「まぁ、あとで2人にも説明すればいいだけだしね。それじゃお願いできるかい?」

クライヴ少佐は頷くと

「つい先程各国に物資運搬兼販売を行っている商業連合会から、緊急招集が来た」

話を聞いていたベルナールは「緊急招集?」と首を傾げる。

その様子的に、緊急招集と言う言葉は”こちらの世界”でも聞き慣れない言葉らしい。

クライヴ少佐もその反応は、予想していたものらしく

「緊急招集とは中立である商業連合会が、危機的状況に陥り物資運搬又は所有する港・街などが危機に瀕した時に出される救助要請のようなものだ。ただ商業連合会は国とほぼ同規模とは言え、そこはあくまでも企業。言葉を変える必要があるだけだと思ってもらえばいい」

するとモニター画面に地図が表示される。

最初に大きく日本地図が表示され、東京辺りまで拡大される。

リュウは「あっ!インチキ日本地図」と言葉を出し、部屋の人間全ての注目を一瞬集める。

「インチキ二ホン?」「どこらへんの地区でしょうか?リュウ隊長」

安久瀬街(あぐせがい)辺りじゃないか、あそこはスラムだしな」


他の兵士達がリュウの言葉に反応し、話が脱線しかけたのを焦りジャガーは

「お構いなく。話を先に進めてくださーい」と先を促す。

クライヴも少し気になった様子だったが、話を進める。

「毎年ある特定のキメラは、商業連合会の本拠地であるアクタイオン社所有のアクタイオンに、群れで移動してくる。本来ならばあと4ヶ月程先の話だったが、今年になってキメラの生体行動が不安定になり、既に海上に多くのキメラを確認した。

本来ネクティアは毎年2個小隊を向かわせるのが限界だが、今年は少々事情が違う。

カイヤナイト傭兵部隊……カイヤナイト傭兵団が、ネクティアに協力関係になった事で、商業連合会代表・ハリス・長谷川氏から直接、アーリマン姫に緊急招集が届いた」

部屋の中では驚く者と別段驚く事もなく寧ろ意味が分からないといった者で、綺麗に分かれていた。

これは単純に政治を理解している人間と、普段政治に興味がない人間で分かれているようだ。

そこにハルが

「悪いんだけどさ。そう言うのに疎くて、何が凄いか説明してくれると助かるんだけど」とクライヴに聞く。

「本来近隣諸国に出される緊急招集は商業連合会から出される物で、代表直々に招待状が出される事は珍しく、今まで同じような事があったのは大国を相手に送られたものだけだ。」

「大国だけ?でもそれって…」

「カガミ隊長の考えている通りだ。ネクティアはコルレットの一角であり、残念ながら今のアーリマン姫には、それ程政治的力は無い」

それを聞いたベンベンは呆れるように

「それなのにアーリィちゃんだけお呼ばれってか?!……ただのエロオヤジなんじゃねーの」

「ハリス氏は人格者であり、また女性関係でだらしのない話を聞いた事がない」

「聞いた事がないだけで、絶対に無いって事もないだろ」とハルが突っ込みをいれる。

クライヴはため息をしながら

「言いたい事も分からない訳ではないが……、我々も裏に何も無い…などとは思ってはいないが、これはチャンスでもある」

「チャンス?」

カガミが不思議そうにすると

「商業連合会は、この緊急招集で大きく貢献した組織・国に優先的に物資の買付・運搬をする。だからこそコルレットを含め帝国側も、この時に限り戦闘は停戦。表向きは協力して、キメラの殲滅或いは撃退する。そこで…」

クライヴが言いかけた所で、部屋の扉が開き

「よっしゃー!グランバッシュとラビットファイターの量産化に目処が立った!」

「コストも予想以上に抑える事が出来そうですし!?何か新型機か武器でも作っちゃいますか!」

機嫌をよくしながらハヤテとダイが、部屋に入って来る。

「うん!?どうしたの皆?」

「お呼び?お呼びじゃない?どっち?!」


クライヴは2人に今までの説明を「とまぁ、現在までの話はこんな所だ」と終える。

アキはそこで

「実は今回の招待には、俺とムックさんも書かれてるらしくてね。一応この緊急招集とやらに、参加しようかと思ってるんだけど…皆の意見も聞きたくてね」

「俺も招待されてるの?……まぁでもアキさんが参加の意思があるなら、いいんじゃない」

ムックがそう答えるとハル・トシ・ジャガーも「異議なし」「報酬が出るなら問題ない」「親分が決めたなら」と答える。

特にその後も反対意見が出ることなく賛成的な答えがでる。

そして最後に全員の視線がカガミに集まる。

「えっ!?なんですか?」

左隣に座るベンベンは、呆れるように

「なにって、なにじゃないだろ?お前はどうなんだよ」

「俺……ですか?」

「お前自覚無いかも知れないが、ここじゃお前も幹部の1人だ。お前の意見次第で、今回の話はお流れになるって事だ」

「そんな馬鹿な!カガミ隊長1人の意見だけで変える気ですか!?アキ団長!」

驚きを隠さずクライヴはアキに意見するが

「すまないな、クライヴ君。これがウチのやり方って言うのかな~。大規模作戦なら、一応全員の了承が欲しい。どうだいカガミ君、キミの意見は」

アキに聞かれ一瞬戸惑うカガミ。

左隣のベンベンを見るが、ベンベンは自分で決めろと両手を広げジェスチャーをするだけだ。

すると右隣に座るエムジーが小声で

「元から別に反対する気も無かったんだろ。変に緊張してないで言いたいこと言え。今後も同じ様な事はあるぞ」

初めて自分の意見らしい意見を求められ、パニックになっていたカガミだが、エムジーの言葉で何とか落ち着き「反対意見はありません。俺も参加に賛成です」と答える。

それを聞いたクライヴも、胸をなで下ろし安堵する。

アキは部屋の空気を変えるかの様に両手を叩き

「それじゃ本格的な作戦の話でもしようか」と言うとクライヴに視線を向ける。

クライヴは頷くと

「まずは作戦参加する部隊数なのだが、ネクティアからアクタイオンまでは、それなりの距離がある。輸送機やトレーラーで機体を運ぶにしても、限界がある」

メリッサが

「ネクティアの輸送機はそれ程数が多い訳じゃないですからね。まさかネクティアの輸送機全てを、アクタイオンに向かわせる訳にもいきませんし」

そう呟くとクライヴはハヤテ・ジャガー・ダイに

「今回例の戦艦を3隻使いたいのだが、動かす事は可能だろうか?」

クライヴにそう聞かれた3人は、渋い顔を見合わせながら

「う~ん。使えるちゃ使えるだろうけど…」

「イカルガとフォトン・デスペラードの切り替え問題どうする?」

「アガレスの積込もまだ終わってないんですけど。てか、処女運航もまだしてないっていうね」

カガミも地下基地のドッグにある強襲揚陸艦の事は勿論知っているが、アレが動いているのを見た事がない。


よくトシが「これがまともに動かなかったらどうすんだよ。ガラクタとかそんな可愛いレベルの話じゃねぇぞ」と不安を口にしていたのを聞いていた。


ムックがアクタイオンでの作戦期日を聞くと、クライヴは2週間程の余裕があると言うと

「人員配置と訓練、それと物資搬入作業、武装テストは……道中とぶっつけ本番…多分いけ…る、かな。ギリ」

「足回りの耐久度テスト……は、やらなきゃだし。武装ハッチの耐久性は…今回は見送りにして、う~ん。まぁ、う~ん。不安はあるけど、ちょっと整備兵の皆には地獄を見て貰えば、大丈夫…かな」

「砂漠地帯で海辺が隣接となると、機体の兵装と装備の変更……あぁ~、あぁ~、いける…かな?!多分?うん!大丈夫です!」

見るからに不安しかない言葉ではあるが、一応にして3人は強襲揚陸艦を今回の作戦に投入出来ると言った。

そこから作戦会議が始まる。

その作戦会議の途中で、部隊編成の話が出たのだが…


「そうだ。アキ団長に一度伺ったのだがカイヤナイトも、今後は一組織としてネクティアと行動していくのだ。ちゃんと階級を遵守するべきだろう」

クライヴがそう言うとテーブルの端末を操作し、モニター画面にカガミ達カイヤナイトメンバーこと幹部の写真が表示される。

写真の横には階級と中隊番号が表示されていた。


団長であるアキは、階級が准将と表示され独自の0と表示された部隊の指揮も別に執る様に書かれている。

次にムックが大佐と表示され、第1中隊指揮官

トシ・中佐・第2中隊指揮官

ハル・中佐・第3中隊指揮官

ジャガー・少佐・第4中隊指揮官

ベンベン・少佐・第5中隊指揮官

ハヤテ・少佐・第6中隊指揮官

ダイ・大尉・第7中隊指揮官

リュウ・大尉・第8中隊指揮官

エムジー・大尉・第9中隊指揮官

カガミ・大尉・第10中隊指揮官


カガミ達カイヤナイトメンバー全員が啞然としていると、クライヴが

「現状カイヤナイトの兵士の数では、大隊の編成は難しく中隊の数を増やして現状をこなしていく方向に……」

そこにアキが「ちょっ、ちょっと待って!」と、止めに入る。

「ウチはホラ!階級は特に気にしな…」

「駄目です!」と今度はクライヴが止めに入り、カイヤナイトメンバー以外の兵士達も『うん』と頷く。

「いや~、そこは…ね?ね?」とアキはムック達に同意を求める。


するとムックとハルは

「堅苦しく無くていいんじゃない?ウチは」

「急に階級とか、指揮官とか言われても自覚とか無いからな!」

そこに今度はベルナールが

「いやいや。流石にムックの親父やハルの叔父貴には、それなりの地位に付いて俺等に指示を出して欲しいぜ」と言い。


それを聞いたトシとジャガーは

「これ単純に俺等をネクティアから逃がすつもりが無いって事じゃねぇーか!」

「それに少佐って!こんな階級貰えるような人間じゃないよ」

ジャガーの言葉を否定するようにヴァレリーは

「そんな事は断じて無いです!叔父貴達が居なければ、俺達はとっくに死んでいました!!」

ヴァレリーに続いてジョンも

「そうだよ!俺等はオヤジ達に付いて行きたい。そんで俺等をまとめ上げて欲しい!」


だがエムジーやリュウは

「責任とか取らされるのは、凄く嫌なんだが」

「アキさんだけ階級と責任者にして、俺等はひらでいいよ」

「リュウちゃん!ここで裏切る!?俺が准将やらされるなら、絶対に皆を巻き込むからね!!!」と言うと

「リュウ隊長!勘弁して下さいよ!?隊長達を同格に扱うとか、自分達には絶対に無理です!」と焦りながらジョセフも言い返す。


「指示だしとか訓練したりはいいけど……、階級が就くって事はアーリィちゃんの馬鹿義兄貴(アニキ)と馬鹿義姉貴(アネキ)の指示も聞かなきゃなんだろ?俺絶対に嫌だ!」

ベンベンの言葉に同意する様にカガミも「まぁ、それは俺も嫌ですね」と頷く。

そこにカガミが驚く内容をメリッサが口にする

「ですが、私も既に第10中隊のスカーレット隊の副官として着任希望を出して、先程受理されましたよ。多分ですが他の隊も既に編成の8割方終わっているのではないでしょうか?」

カガミは急にの事にむせかえり「はぁ~!?」と驚く。

「成程な。カガミンの二つ名から名前を取って、スカーレット隊…か。……なんか全滅しそうな不吉な部隊名だな!」

「ちょっ!ベンベンさん!!!」

「でもいいじゃーん。副官が女の子で、正直羨ましいじゃん」

「色々突っ込みたいですが!そう言う問題じゃない!!!」

個々で熱くなる状況を見てクライヴは

「既に階級と隊の編成は決定事項であり、各隊の隊長はその責任と自覚を持って頂きたい!これから各員に隊の人事異動届が、各端末に送られる。確認し各隊の詰め所で顔合わせを済ませろ。その後各隊長に詳しい作戦内容と指示書を送る。各隊でブリーフィングをするように。以上、解散!」

クライヴは無理矢理会議を終了させると、すぐさま携帯端末を操作し各隊のパイロットに異動届が送信される。

それを確認しながら各パイロット達は部屋を後にする。

だがカガミは、アキの方に近づき

「そう言えば、アーリィとゴードンさん達が居ませんでしたけど…どうしたんですか?」

「あぁ。それなら…」

アキが言いかけた所にクライヴが「姫は今、コルレットと会議中だ」と会話に入ってきた。

「コルレットから?」

クライヴはカガミに話すか少し考えたあと

「まぁ、カガミ隊長ならば言っても、問題ないだろう。実は今回の件でエイリス様から、連絡があってな」

「エイリスって、アーリィの…」

「あぁ。ローデンハイム家の長女にして、現第3王位継承者候補だ」





ネクティアのアーリィの所有する屋敷の一室

部屋の明かりが消され、壁に掛けられたモニター画面前には大きなテーブルが置かれ、モニター画面の対面の位置にアーリィが座り、その横にゴードンとライラが立っている形だ。


「それで緊急の御用件とはなんでしょうか?エイリス御姉様」

モニター画面に映る人物は、アーリィより少し年上と感じる女性で、服装の赤いドレスからも分かるようなお姫様である。

持っている扇子で口元を隠すように笑いながら

【危険な目にあったと聞いたけれど……元気そうでなによりだわ、アーリィ】とお決まりと言った感じで挨拶をする。

ライラとゴードンは内心

(なんて白々しい!)

(姫様に刺客を送ったのは、貴様らだろうに!)

言葉にこそ出さなかったが、2人の表情はあまり隠せてはいなかった。

だがエイリスは気にする様子もなく

【実は商業連合会から今年も、招待が来たのだけれど…残念な事に今現在帝国と国境線で少々トラブルが続いてて、戦力が動かせませんの】

「この時期に帝国側と?」

【えぇ。全く本当に困ったものだわ】

言葉とは裏腹に、困った様子のないエイリス。

その態度と言葉に我慢が出来なかったゴードンが

「失礼ながら信じられませんな!この時期に帝国側が仕掛けるなど、事実ならばこの目で確かめたい所です」

【えぇ。事実よ、ゴードン師団長。それにしても主である私の言葉を疑うなんて……忠誠心に欠ける家臣を持つなんて、あなたも苦労するわね、アーリィ】

今度はライラが何かを言いかけたが、アーリィが手を伸ばし静止させる。

アーリィはモニター画面に映るエイリスを睨みつけながら

「ゴードン師団長の非礼はお詫びいたします。ですが、ゴードン師団長の忠誠心を疑うような発言は撤回して下さい」と暫く沈黙が続いた。

エイリスはつまらないといった感じで

【そうね。ごめんなさいね、ゴードン師団長】と気のない返事で返す。

そしてエイリスは話を続け

【帝国側の件については、私の担当している話ではないから、私も知らないわ。知りたければベルクトにでも聞いて頂戴な】

「ならば!」とライラが言いかけるが

【そっちは知らないけれど、コルレット周辺に群がるキメラが異常と言ってもいい位に増えたせいで、防衛戦力に人員を回しているのは噓では無いわ。それに…】

「それに…なんでしょうか?」

アーリィは警戒しながらエイリスの言葉を待つと

【報告を聞いたのだけれどアーリィあなた、D(デッド)キャンパー崩れをネクティアの兵士に使う事にしたようね。それも普通のD(デッド)キャンパーとは違うと報告を受けたのだけれど…本当なの?名前は何と言ったかしら…そうそうカイヤナイト、だったかしら!】

先程とは打って変わって楽しそうにと言うより、凄く興味あり気に聞いてくる。


ゴードンとライラは、顔を見合わせ不味いと言った感じだった。

いつかバレると分かっていても、出来ればアキ達カイヤナイトの戦力レベルの情報はエイリス達コルレットに知られたくないのだ。

D(デッド)キャンパーではなく、彼等は傭兵団です。現在作戦会議中ですので、ご紹介はまた別の機会にでも」とアーリィは返す。

エイリスも【是非ともお願いするわ】と機嫌よさげにする。

【戦力を大きくしたのならば、アーリィ!今回の緊急招集、コルレットの代表として参加して頂けないかしら!】

エイリスの言葉に、耳を疑うライラは

「ネクティアの戦力だけで、コルレットの戦力も負担せよとおっしゃるのですか!!!」と驚く。

【勿論全く戦力を出さない訳ではないわ。少数ですがケネディスの精鋭部隊を、こちらからは送ります。それならば文句は無いでしょう?】


ケネディスとは、エイリスの実の弟であり、アーリィの義弟でもある。

つまり実質第4王位継承者候補でもある。

そんな人物を応援部隊として送られると言う以上、表向きとしてはこれを跳ね退ける事は難しい。

アーリィは暫く悩んだが、これ以上はエイリスが折れる事はないと悟り

「分かりました。今回の緊急招集は、コルレットの代表として参加致します」

【物分かりの良い妹を持てて、私は幸せだわ。それではアーリィくれぐれもよろしくお願いするわね。では、健闘を祈っているわ】

通信が切れ疲れた様子を見せるアーリィに、ゴードンとライラが近づき

「お疲れ様です。姫様」

「少しお休みになりますか?」と心配する。

だがアーリィは

「いえ、大丈夫です。それよりもアキ団長達に連絡を、もう一度作戦会議をしなければ」

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