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PROJECT・NOVA ~英雄たちの輪舞~  作者: たい平


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28/33

#28

森の中をレーダーを確認しながら、カガミはイヅナを走らせる。

メグミ達の元に急ぐのを優先させる為に、比較的キメラが密集している場所を避けて、目的地まで急ぐ。

暫く走ると、森の中でも木々(きぎ)が少ないひらけた場所に出た。

それと同時にイヅナのコックピット内では、警告音が鳴り響く。

カガミは警告音が鳴り響くと同時に、機体を左に緊急回避させる為に、イヅナを転がる様にして避けさせる。

避けたと同時にイヅナの居た場所には、ビームが横切る。

【出待ちか】

カガミはすぐにビームが飛んできた方向を確認する。

今だに夜の暗闇で辺りは暗く、レーダーと目視で正面をよく目で凝らして見ると、1機の機体がイヅナにライフルを向けているのが見えた。

そして再びイヅナに向けて、ビームを数発撃ってきた。

今度は避けるのではなく、リンダから借りたシールドでビームを受け止める。


【新装備、ではなく既存製品の装備とは…少々残念と言うのは失礼にあたるのかな】

目の前の機体から発せられる外部スピーカーの声に、カガミは聞き覚えがあった。

【お前は…オータム要塞の時に居た】

【それ程長い時間会話をした訳ではないはずだが、覚えていてくれたとは光栄だ】

月明かりが傾き暗闇に隠れていた機体が、姿を現す。


カガミはコックピット内のモニター画面を、急ぎ操作し目の前の機体を調べようとするが、画面に表示されるのは”機体照合結果…該当機無し。類似機体データ参照中…予測該当機 ガルビィードシリーズ又は、ガルビィスシリーズ”と表示される。

(新型か?それともカスタム機?見た目は前より重装甲化されてるようだけど、俺1人でどうにか出来るのか……いや、やらなきゃ。他の皆も援軍に来る余裕は無いはずだ)


今度はカガミが仕掛けるべく、シールドを前に構えながらガルビィスに近づく。

ケビンのガルビィスは、牽制なのか手持ちのゲイルガンをシールドに向かって数発撃つ。

両機がかなり近い距離で接近すると、イヅナは腕部に装備されたAMH-36をガンモードからビームスピアに切り替え、ガルビィスのコックピット付近に突き出す。

逆にケビンのガルビィスはそれを避けつつ、右腰に装備されていたビームブレードを抜きぎわに、イヅナの頭部に振り払う。

それを更にシールドで防ぎながら弾き返し、そのままガルビィスの右肩目掛けてパイルバンカーを打ち込む。

ケビンもそれを避けようとしたが、見事に右肩に命中し機体は後ろに弾き飛ばされる。

【想像以上に反応速度が速い!まさか避けきれんとは】

機体の状況を確認すると、ガルビィス・マキナの右肩装甲の一部が完全に破壊されていた。

【くそ!もう駄目か】イヅナの頭部は、左に持っているシールドに視線を落とす。

シールドの先端部分は歪むように潰れており、杭もシールド内に半分近く戻るだけで、そこから一切動作しなくなっていた。


実は以前にカガミはジャガーから「ウチの機体はかなりのパワーがあるけど、そのパワーが故に安い武装を使うと直ぐに駄目にしちゃうんだよね。だからレンタル品の武器とか扱う時には気を付けてね」と言われた事を思い出していた。

【やばいな…どうするか】

不格好になったシールドを持ち、構えながらカガミはどう戦うか考え込んだ。



※



コバルトの装備であるシールド内蔵式パイルバンカーは確かに強力だが、ガルビィス・マキナの追加装甲を打ち砕く程の威力が無い事は、何度も実験を繰り返し検証済みであり、それ以上の強力な武器での実験でもそれを証明していたのだが目の前で起きた事実がそれを否定する。

ケビンと離れた場所でモニター画面越しに見ている帝国側の人間達にも驚きと衝撃を与えていた。

「まさか一撃で打ち砕くだと!」「それ以上になんだあの動きは!」「乗っているのは、本当に人間か!?」と反応はそれぞれ。

ソニアはモニター前の席に着き、ガルビィス・マキナの被害状況を確認しながら

「見た目程のダメージは機体にはありません。ですが、駆動系の一部に異常負荷が掛かっています。今すぐに影響は無いと思いますが、あまり長期戦は…」と博士とオルクスの方を向き報告をする。

「ふむ。腹立たしい話だが、ケビンの操縦技術に機体が追い付いていないのも原因だろうが」

「あの機体が異常なのも、原因って所ですかい」とオルクスが言った所で、ジョシュア博士が急に笑いしだし

「素晴らしい!実に!!実に不愉快極まりない!!!これ程までに研究意欲と屈辱を与えられたのは、いったいいつ以来か。実にいい!実にいいぞ、ネクティアの新型!!!」と言葉とは裏腹に喜んでいた。

オルクスが「は、はぁ?!」と困惑する横で、ソニアは苦笑いを浮かべていた。

その間にも、モニター画面に映る2機は激戦を繰り返す。



※



カガミは敵のガルビィスに反撃の余裕を与えない勢いで斬り込む。

ケビンもメグミ達スカルルージュ隊を相手にしていた時とは違い、完全に防戦に追い込まれる。

【情熱的だな。こちらからのアプローチを、一切させてくれんとは】

【状況分かっているのか!?お前なんかに構ってる余裕は、俺達には無いんだよ!】

カガミがイラつきながら、ビームスピアでコックピットを突こうとするが

【させんよ!】とガルビィスはアームリングを高速回転させ、スピアのビーム刃を消滅させる。

【関係無い!】と左手に持っていたシールドを投げ捨て、イヅナの左腕でガルビィスの頭部を殴り飛ばした。

【なんだと!?】

ケビンは何とか機体の態勢を戻そうとするが

【まだまだぁー!】と言いながらイヅナをしゃがませ、足払いをし完全にガルビィスを横転させる。

ガルビィスのコックピット内では、ケビンが激しく揺さぶられ身体を激しく打ち付けられていた。

【まさか…そんな機体で、格闘戦を仕掛けてくるとは】


アーマードブレイン戦において近接格闘戦は世代機が上がると、マニュピレーターの精密さ故に、接近戦闘用武器が無い限り行うことが少ない。

特に正規軍のパイロットになると、尚更武器使用による戦闘を前提としている為、下手をすれば格闘戦が出来ないパイロットもいる。

対人戦に慣れ過ぎているケビンから言わせれば、その2つの要素がある為に絶対に格闘戦は行わないと無意識に刷り込まれている状態なのだ。


逆にカガミは、師であるベンベンに

「なんでアーマードブレインが人型であるか考えろ。砲弾や弾丸撃つだけなら、戦車や戦闘機でいい。相手を切り裂きたいなら、戦車にチェーンソーでも付ければいい。なのにだ…人型兵器が戦車や戦闘機よりも戦果をあげられるのは何故か、分かるかカガミン」

「何でです?」

「人型って事はだ、人間に近い動きが出来るって事だ」

「つまり?」

「武器が無くてヤバい状況に追い込まれても、俺達人間には”コレ”がある」

そう言うとベンベンはカガミに、握り拳を突き出した。

カガミがベンベンから特に指導を受けていたのは、アーマードブレイン戦を含め対人戦の格闘戦であった。

余程のパイロットが相手でない限り、アーマードブレインでの格闘戦でカガミが遅れを取る事は少ないと言っていい。


ケビンは急ぎ態勢を整え、武器を構え直しながらイヅナの構えを観察する。

(柔道・空手・ボクシング……いや、どれも近いが違うな。……喧嘩拳法か?だとすると、少々厄介だな)

ガルビィスはビームブレードを両手に持ち、スラスターを吹かしイヅナに近づく。

カガミも【来るか】と警戒をする。

するとガルビィスはイヅナの目の前で飛び上がり、ビームブレードを2本とも投げつけてきたのだ。

カガミは咄嗟の相手の動きに驚き、隙を見せてしまう。

【ここからは、反撃をさせて貰うぞ!】

ガルビィスはスラスターを上手く使い一気に急降下し、イヅナの前にしゃがみ込むように着地する。

そしてイヅナの懐に潜り込み、アームリングを高速回転させ薙ぎ払うよに殴りつけた。

イヅナのコックピット内が激しく揺さぶられるが、カガミは操縦桿を強く握り、それを耐えながら

【くっ!?油断した!でも!!!】と、ガルビィスを蹴り飛ばす。

その後もアーマードブレインによる、攻防一体の殴り合いが続く。

暫くすると、否が応でも機体の性能差が目に見えてくる。

世代差による機体の装甲差だ。

既にガルビィスの装甲は、ボコボコにへこんでいるが、それに比べてイヅナの装甲は傷が少しある程度。

【全く…細身の癖に、よく耐えるものだ】

【そっちこそ図体デカい割に、限界が近いんじゃないか】

ガルビィスとイヅナは距離を取り、互いを睨み合うようにして構えなおす。

【だがまだ…】とケビンが攻撃を仕掛けようとした時、ガルビィスのコックピット内モニター画面に、オルクスが映り込み。

”団長、時間切れです!作った前線が崩壊し始めてます”

ケビンが送られてきた映像を確認すると、ビショップ級キメラが次々と倒されていくのが映されていた。

そこに更にレーダーに反応があった。

1機輸送機が低空で近づいて来ていた。

既に目視出来る位置まで近づいて来ている。

ケビンはため息をし

【残念だがここまでだ。ネクティアの騎士…いや、緋色の(スカーレット・)破壊騎士(バスタードリッター)くん】

【なに!?】

ケビンは再度オルクスに通信を繋ぎ

【オルクス、撤退の用意は】

【既に済んでます!団長援護しますぜ!!!】

森の奥にもう1機のガルビィスが現れる。

通常のガルビィスにビームガトリング砲を装備しており、背中には球体型のタンクが装備され、そこからケーブルがビームガトリング砲に繋がっている。

それがオルクス専用機のガルビィスだ。

【博士はご機嫌斜めか?】

【いえ。寧ろボソクサと何か言いながら、ご機嫌でしたよ】

オルクスのガルビィスは、ビームガトリング砲を撃ち出す。

カガミは急ぎ近くに投げ捨てられていた、シールドを掴み攻撃を防ぐ。

ケビンのガルビィス・マキナも、ゲイルガンに持ち替えビームを撃ちながら後退して行く。

【ここまで来て逃げるのか!】

カガミが怒りを隠さず声に出す。するとケビンは

【今回は俺の負けだ!だが我々にもまだやる事があるのでね。命を差し出す訳にもいかんのさ】

【前のように、逃がすと思うのか!】

【逃がしてくれるさキミは】

ケビンのガルビィス・マキナは、倒れているメグミのコバルトに銃口を向ける。

【彼女達は無事なはずだ…今はな】

【汚ねぇ!】

【戦場で殺さず生かしておいたんだ。寧ろ優しいと言って貰いたいものだ】

【団長!輸送機が来ます。早くずらかりましょう】

オルクスのガルビィスは、輸送機に狙いを変えビームガトリング砲を撃つ。

輸送機もそれを避ける為に、一度上昇しながら離れる。

カガミは下手に動けない状況に追い込まれ、どうしたらいいか考えていると。

【まぁ、勝者に何も無しでは、負けた身としても失礼にあたるか。戦利品だ!”コレ”を受け取りたまえ!】

ガルビィス・マキナの右腕がイヅナの足元に向けられ、手首の隙間部分から筒状の何かが射出される。

【それでは失礼する!】

オルクスのガルビィスは、周辺に仕掛けていたスモークを一斉に作動させる。

同時にジャミング電波を発し、イヅナのレーダーは一時的に機能不能になる。

一足遅く輸送機が上空からゆっくりと降下してくる。

輸送機からトシのヘルハンターとラーカスが数機出てくる。

【なんだこのジャミングは、それと煙いぞ】

【すいません、トシさん。また逃げられました。急いで追います!メグミさん達をお願いします】

急いで逃げるケビン達を追おうとするカガミをトシが

【逃げるなら放っておけ!今はアイツ等に構ってる暇はない】

【えっ?でも今回の件に絶対に関わっているんじゃ】

【だろうな。だが、群れを束ねていた女王と準女王を倒したせいで、群れが完全に暴走している。幸い近隣の町なんかの住人の8割方は、コルカタウンにほぼ避難していたようだが、そのコルカタウンにはまだネクティアに逃げ遅れた住人が多くいる】

【でも元々コルカタウンに、キメラは向かっていましたよね?】

【あぁ。統率された群れなら、それなりの手順で各個撃破していけば、群れごと殲滅するのは難しくない。だが暴走状態になると…】

【……行動の予測が出来ない…ですか?】

【元々コルカタウンにキメラは向かっていた訳だが、暴走した状態で我先にと攻め込んできてる。全戦力でキメラと真正面から迎撃しなきゃコルカタウンの壁なんて、簡単に破壊される。どっちを優先するか分かったか?】

【分かりました。ならスカルルージュ隊の輸送機搬入作業を手伝います】

カガミはスカルルージュ隊の搬入作業をする前に機体から降り、先ほどケビンが射出した鉄で出来た筒状の物を地面から引き抜く。

「なんだ?これ」と筒を掴み見回す。

振ってみると、微かに何かが入っている音がする。

するとそこに【なにしてるカガミ!?急げ!】とトシが急がせた。

カガミは急ぎ機体に戻り、スカルルージュ隊の機体と隊員を輸送機に運んだ。


その後カイヤナイトメンバー全員とコルカタウンの防衛部隊全てと合流し、攻めて来るキメラと正面からぶつかり合う形で、数時間に及ぶ攻防戦が続いた。

その激戦とも呼べる戦いの末、何とかキメラの殲滅……までは行かなかったが、撃退する事が出来た。

全員がボロボロの状態になりながら、一部の部隊を残してカイヤナイトは基地に帰還する。

基地について直ぐにカガミは会議室にアキやアーリィ達を呼び、鉄製の筒をアキに渡した。

その場でケビンに渡された時の状況なども説明をした。


「一応調べた限りでは、爆発物や毒物の類ではありませんでした。中に入っていたのは、写真と何かの資料それと……」

「何かのデータが入ったディスク…か」

資料には”アマルディスト”と書かれている。

ムックが資料に書かれたタイトルを読み上げると、ゴードンとライラが反応し物凄く驚く。

「馬鹿な!なぜ帝国側がアマルディストのデータを持っている!?」

「そんな!?ありえません!」

「2人は知っているようだが…いったい何なんだ?このアマルディストってのは」

トシが資料に目を通しながら、2人に聞く。

「アマルディストとは、コルレットで極秘研究中のエネルギー結晶体のことだ。だが……」

ゴードンが写真を見ながら、説明に息詰まるとライラが

「…この結晶体は随分と純度が悪いですね」と答える。

写真に写し出されている結晶体は、赤黒く光っている物だった。

「純度の良し悪しが、簡単に分かるものなのか?」

ハルが疑問を投げかけると、アーリィが

「純度の高い物になりますと、青く光り輝きます。この写真のアマルディストは、恐らく量産を目的として実験的に作られた物でしょう」

カガミが「ゴードンさんやライラさんが詳しいのは分かるけど、アーリィが詳しいのは意外だな」と言うと、アーリィは少し俯きながら

「アマルディストの研究は……お兄様が…していましたから」と答えると、暫く会議室に沈黙がながれる。

カガミの隣にいたベンベンは、カガミに「おい!」と脇腹を肘で突く。

「いや…ごめん」とアーリィに謝る。

アーリィが「大丈夫です…気にしないで下さい」と返すが、無理に笑顔を作っているのが分かる。

その空気を少しでも変えようとハヤテが

「あ、あ~。このアマルディストって、何に使えるの?帝国側だって何かに利用してるから、量産化してた訳でしょ」

するとライラが

「熱・電力・液体燃料、加工次第で色々な物に変換可能です。他にも医療関係にも転換可能らしいですが、詳しくは私も…」

すると資料に目を通していたトシが

「どうやら使用用途はエネルギー関係じゃないようだ」と言いだす。

ゴードンは首を傾げるように「ではいったい何に?」と聞き返すと

「捕食剤とやらに使われているらしい」と読んでいた資料を、ゴードンとライラに渡す。

2人は急ぎ目を通すと

「まさかこんな使い方が!?」

「コルレットでの研究では、キメラに影響は出ないと説明がされていましたのに…これは」


2人の様子からみても、帝国側で生産されているアマルディストとは、コルレットで研究されている物とは随分と違うという事が分かる。

「これはまた随分と」

「きな臭いね」とムックとアキは考え込む。

そこにジャガーがディスクを機械に読み込ませ、プロジェクターに映像を映し出した。

そこには色々な商品の注文書と受領書など、金品のやり取りをしたデータが写し出される。

次々にジャガーが映像を切り替えていくと

「ちょ、ちょっと戻してくれ」とゴードンが声にだす。

ジャガーは指示通り映像を戻すと、1枚の受領書に映像が止まる。

すると今度はライラが「これは…オッズ商会の承認印!」と驚く。

「オッズ商会って、ネクティアの街の中にもそんな名前の店なかったか?」

「あぁ、なんかありましたね。色々と扱ってるみたいで、ウィンドウショッピングするだけでも楽しかったですよ」

リュウとエムジーが思い出したかのように言い、エムジーの方は店内にすら入った事があるようだ。

「軍と民間の両方で商売をしている商会はそれ程珍しくはないが、このオッズ商会は”ベルクト”と”ミリィーシェル”の息が掛かった連中だ」

ゴードンは顔に力が入り、怒りを押さえ込んでいた。

「ベルクトとミリィーシェルって、確か…」

アキが言いかけた所でアーリィが

「はい。…私の義兄(あに)と義姉(あね)です」と答えた。

ベンベンとハヤテは資料を手にしながら

「つまりどっちかが、情報を帝国側に売ったって事だよな、これ」

「まっ、そうなるわな」


「なんにせよこれだけじゃ情報が少ない。敵が混乱させる為に渡したフェイクの可能性もある。こっちでも情報を集めるけど、そっちでも出来るだけ情報を集めておいてくれ」

アキはゴードンとライラにそう頼み、話し合いはそこで終わった。


そして次の日の朝、朝食を取ろうとカガミが食堂を訪れるとメリッサとベルナール達が朝食を食べていた。

「あっ!兄貴!こっちこっち」と手を振る。

カガミは促されるままそちらに向かう。

「おはようございます。カガミ隊長」とメリッサに挨拶される。

「あぁ、おはよう。…でも、なんか慣れないな。その、隊長って呼び方」

「慣れて下さい。既にカイヤナイトの幹部の皆さんの事は、中隊長以上の扱いをせよと、ゴードン師団長から指示が出されています」

「そうなの?」とカガミがベルナール達に聞くと

『さぁ~?!』とお互いの顔を見合わせて、首を傾げる。

更に続けるようにメリッサは

「私自身カガミ隊長の勇気ある行動に励まされ、そのような人物になりたいと尊敬しております」

目を輝かせているメリッサに押されるように、一歩後ろに下がるカガミ

「あの…俺そんな尊敬されるような事したっけ?」

カガミ自身には、全くと言って覚えが無いが、そこにベルナール・ジョン・ヴァレリーが


「いやいや兄貴、あの病院内で殿務めるとか、まともな奴じゃやらないぜ」

「確かに俺もカガミの兄貴がいなきゃ、医者なんか見捨てて逃げてたかもだ」

「屋上からヘリに飛び移った時も思ったが、カガミの兄貴はそこいらの人間とは度胸が違うと思う」と個々に思い出すようにいい


ジョセフとラッセルは

「お前達は知らないだろうが、カガミ隊長はキメラに囲まれてた時に単身機体から降りて、歪んだ装甲車の扉を開けて、姫様を助けに来たお方だ。度胸が有る無いなんかの言葉で片付けないで欲しい」

「他の隊長もヤバいって、他の隊の連中言ってたけど、見たことあるのカガミ隊長とエムジー隊長だけなんだよなぁ。取り敢えずヤバいの来たら、隊長の指示に従って隊長に任せておけば生き残れるってのは、今回のことでよく分かった」と思い思いに口にする。


その間にいつの間にかメリッサが、カガミのために定食を運んで来ていた。

カガミもテーブルに着き食事を始めようとすると、他のテーブルに居た兵士達が椅子から立ち上がり、入り口方向に一斉に敬礼をする。

カガミは何事かと振り向くと


「な、何事!!!」「びっ…くりしたぁ~」「な、なんだよ!?」と驚くアキ・ハヤテ・ベンベンがいた。

そこに代表するかのように、他の席に座っていたトッド伍長が

「おはようございます!」と大きな声で挨拶すると、他の兵士も続くように『おはようございます!』と3人に挨拶をする。

3人も「おはよう」と返す。

アキはベンベンとハヤテに

「ねぇ。この挨拶の仕方、毎朝続くの?」と小声で聞く。

「続くでしょ…雰囲気的に」

「有り難いんだけどさ、有り難いんだけどさ。俺等そんな人間じゃないよ」

アキ達はカガミに軽く挨拶をして、同じ席に座った。

昨日の戦いのせいか、今朝の挨拶で驚き疲れたのか、3人の顔は疲れ気味だった。

その理由をカガミが聞くと

「人が増えて、書いたり見たりの書類が多い」とアキがぼやく。

ハヤテとベンベンも同じらしく、今朝方まで作業をしていたらしい。

因みに他のメンバーも、今だに書類作業と格闘しているようだ。

「手伝わなくて良かったんですか、俺?」

カガミがベンベンにそう聞くと

「安心しろ。カガミンにもいずれ嫌だって言っても、やらせるから。ただ今回は教えながらやる余裕が無かったからな」

ベンベンはうどんを啜りながら、眠そうに答える。


暫く皆で朝食を取りながら会話をしていると、廊下から数人の整備兵を引き連れたダイが現れる。

そしてハヤテと目が合うと

「あっ!見つけた」と一言いうと、足早にハヤテに近づき

「よし、キャスター付きの椅子だな。ハヤテ先生手伝って」

「はっ?俺は今朝食を食ってるのが見えないのか」

「見えてるけど、見たくないので見えてません。確保!連れて行け!」

ダイは整備兵達にそう指示を出すと

『ハヤテ隊長、失礼します!』と言い車椅子を押すようにして運ばれる。

「おい!待てって!?せめて、せめて豚汁を持って行かせろー!!!」

ご飯茶碗と箸を握ったまま、ハヤテは何処かに連れて行かれた。

そこにダイが戻って来て

「あぁ、いい忘れてました。お昼過ぎ辺りに、第3区画の実験場に全員集合で」

カガミが「何かあるんですか?」と聞くと


ニヤリと笑い「新型のお披露目会」とドヤ顔で言った

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