#22
カガミとベンベンは急ぎ、別棟の格納庫に急いだ。
格納庫に着くとDキャンパーとベテランパイロット同士が、あちらこちらで言い合いをしていて、それをハルが止めていた。
「なんで俺等の機体をテメェ等に渡さなきゃいけないんだよ!」
「さっきから言っているだろ!俺達はお前らよりも訓練をして、機体を上手く動かせる。だから俺達に貸せと言っている」
「ふざけんな!お前らお坊ちゃんパイロットが、俺等より強い訳あるか!!寝言は寝てから言え!!!」
言い合いをする者同士の間に、ハルが入り込み
「いい加減にしやがれ、この馬鹿共が!なに勝手な事を好き勝手に言ってやがる」
「ですがハル隊長!我々は軍での訓練を受けた、正規パイロットです。コバルトは我々が使うべきかと」と正規パイロットは言い
「んだと、調子こきやがって!ハル隊長、俺等は常日頃からキメラと殺りあってる。こんな瘦せっぽちの役立たず共より、俺達の方が役に立つ。アイツ等からコバルト取り上げて俺達に機体を回してくれ」とDキャンパーがハルに詰め寄るように言った。
ハルがキレながら「いい加減に!!!」と言いかけた所で、格納庫に入って来たベンベンが、銃を上に向け発泡した。
「はい!ちゅうもーく!!!」
格納庫全体にベンベンの声が響き渡り、喧騒としていた場が静まり返る。
「どうするんですか、ベンベンさん」とカガミが聞くと、ベンベンはニヤリと笑う。
そして争いあっていたパイロットとDキャンパー達に近づき
「お前らが口で言い合ったって、俺達の判断次第で当分の間コバルトに乗るパイロットが決まる。お前らに決定権は無い。…だが、俺達もお前らの実力が分からない。そこで各出身別代表者を数十人選んで、模擬戦を行う。時間は1時間後、準備しろ!」
ベンベンは言いたい事は言ったと言わんばかりに、格納庫から出ていく。
それをハル・カガミが後を追い、ゴードンは格納庫に残りパイロットとDキャンパー達に準備の指示を出していた。
「おいおい。いいのか、ベンベンさん?勝手に模擬戦でパイロットを決めるなんて」
「そうですよ。せめてアキさんに聞かないと」
ハルとカガミがベンベンにそう聞くと
「一応アキさんには、メールで軽く説明を送っておいた」
ベンベンは後ろを歩く2人の方にSa-Jiruを向けると、画面にはアキからの返信が映し出されていて
”こっちも色々忙しいから、パイロットの選別は任せるよ”
そう書かれていた。
ハルとカガミはベンベンのSa-Jiruをジト目で睨みながら
「投げたな、アキさん」
「投げましたね」
「問題は機体だよなぁ。ダイ君達の所にまた戻るか」
ベンベン達はダイ達が居る格納庫に再び戻った。
格納庫に戻るとそこには、ムックも来ていた。
ハルが「どったのムックさん?」と聞く。
「ハヤテさん達からパイロットの適正の話が来たから、トシさんに何とかしろって伝言をね。つう事でダイ君どうにかして」
「丸投げ!俺にどうしろと!!」
「適正値が低くても乗れる機体を作って」
「いや、さすがにダイさん達でも、急にそんな都合よく機体を作れないでしょ」
カガミがムックにそう言う横でダイは
「そうですよ。カガミ君の言う通りそんな適正値が低くても乗れる機体なんて……作れるか?」
『作れるんかい!』とその場に居るメンバーに突っ込まれる。
「作れると言いますか。要は戦力になる機体なら、アーマードブレインじゃなくてもいいんでしょう。なら試したい事があります」
「なら早めに取り掛かって。人員が多くても動かせる人間が少なかったら、人を増やした意味が無い」
「でもその作業は後回しかな」とハヤテが言いながら近づいてきた。
「何か問題でも?」
カガミがハヤテに尋ねると
「今あらかたの機体をチェックしたけど、ベルナール達が持ち込んだ機体と他の土地から来たパイロットの機体を含めて、半分近くの機体は廃棄せざるを得ない状態だ」
「噓でしょ」とムックが頭を掻く。
「そんなに酷い状態なんですか」とカガミが聞くと
「今まで動いていたのが奇跡のレベルさ。動く機体もニコイチ機体が多くて、点検・整備を一からしないと多分危ない」
「どうすんだよ」とベンベンが言うと、ハヤテは溜息をし
「ダイ君諦め…」
「嫌です」とすぐにダイは返事を返す。
「嫌じゃねーんだよ!」
「絶対に嫌ですよ!トシさんの説得にどれだけ苦労したか、ハヤテ先生も忘れた訳じゃないでしょうが!!!」
カガミとベンベンは2人の間に入るようにして
「諦める?いったい何の話です」
「何の話か分からないけど、落ち着け2人とも。ドードー」と落ち着かせる。
「今新型機を6機作ってる話は覚えてるだろ」ハヤテがそう説明する。
「機体自体は6機とも85%完成してるんだよ。後はバリエーション装備と各専用武器を作る予定なんだが……、まだそっちは時間が無くて手を付けてないんだ」
そこでハルが「あぁ、成る程。予算も手付かずなんだな」と手を叩く。
「その通り。その予算で旧式の機体を購入してくるって話なんだけど」
「勘弁してくださいよ。ここまで完成させておいて諦めるなんて、生殺しのようなもんです」
「因みに85%程度だと戦闘は可能なのか?」
ベンベンがそうハヤテに聞くと
「今言った2つを諦めればそもそも100%で、戦闘に十分出せる」
「ならいいじゃねぇ~かよ。何が不満なんだよダイさんは」
「今回作った6機は第二世代機でありながら、第三世代機に引けを取らないスペックになるはずなんですよ。しかもコストと整備性を抑えた状態でです。長い時間を掛けてようやくトシさんから予算の取り付けが出来たんですよ。その苦労分かります!」
ハヤテは再び溜息をし
「俺も機体を完成させたい気持ちはある。でも今回は諦めろ、また今度トシさんに予算取り付けに行ってやるから」
「……武装関係も追加で作らせてくれます?」
「コノヤロウ!…たくよ。分かった、分かった。作らせてやるから、今回は諦めろいいな!」
「俺も手伝いますよ、ダイさん」
ハヤテとカガミの説得にダイは渋々納得した。
「それじゃアキさん達に話て、機体を買い付けに行ってくるか。ベンベン氏、模擬戦に出ない連中何人か借りるぞ」
「おう。ゴードンのとっつあんに話してくれ」
ハヤテ・ダイ・ジャガーは格納庫から出て行き、ベンベン達も時間まで休憩場に移動しようとした。
「カガミン、今時間は?」とベンベンが聞いてきたので、Sa-Jiruを取り出そうとポケットの中に手を入れたがどこにもない。
「あっ!上の受付にSa-Jiru置きぱなしだ」
カガミはしまったといった様子でベンベンに、Sa-Jiruを取ってくると言い格納庫を出た。
航空基地の建物の中に入り、先程まで自分が座っていたテーブルの周りを探すとすぐにSa-Jiruを見つける。
建物から出ると意外な人物が車に乗り近づいてきた。
車を停めて降りてきたのはキツそうな性格の金髪ツインテール少女のリンダだった。
「カガミさん、お久しぶりです」と挨拶をしてきた。
「あぁ、久しぶり。どうした?リンダがウチに寄るのは珍しいな」
リンダが「実は…」と話だそうとすると茶髪のショートヘアーの女の子が
「受付時間ってもう過ぎましたか?」と車から降りてきた。
そしてもう一人の男が「姉貴諦めようぜ、もう絶対に時間過ぎてるって。もう誰もいねぇじゃん」と先に降りた女の子に語りかける服装からチャラい見た目に茶髪のロン毛の
青年。
「アンタがごねるからでしょ」
リンダは呆れた様子で2人を無視するように
「実はこの姉弟をメグミ中隊長の指示で、カイヤナイトに送り届けるように言われまして。
姉のメリッサ・パーカー、彼女は スカル・ルージュ隊の第6小隊隊長を勤めておりました。
父上はゴードン師団の率いる第3中隊のビル・パーカー指揮官です。
そして弟ですが…その……」
リンダが言い淀んでいると後ろから
「弟はただの遊び人です」と姉のメリッサが、カガミに向かって言ってきた。
「メリッサ・パーカーです。オータム要塞奪還作戦には、私も参加していました。カガミ隊長の戦闘には、味方全員が励まされました。さすが名立たき緋色の破壊騎士です」
「姉貴!誰が遊び人だよ。俺はラッセル・パーカーっす。今名前が売れてるカイヤナイトに入隊すれば、女子にモテ…」
ラッセルが話している途中で姉のメリッサが、恥をかかせるなと言わんばかりの顔で肘鉄を入れた。
弟のラッセルが苦しみながら転げまわる横でカガミは苦笑いをしながら
「受付自体に時間を設けている訳じゃないから今からでも大丈夫だろうけど、これからコバルトのパイロットを決める模擬戦を行うとこ。あと30分後くらいか。参加するなら今直ぐ第5格納庫に行って、ゴードンさんに話にいこう」
カガミはリンダ達が乗ってきた車に乗り込み格納庫に向かった。
格納庫に着きゴードンの所まで送ると、ベンベン達の元に戻った。
休憩室ではベンベン達はコーヒーを飲みながら、模擬戦について話をしている。
「取り敢えず6人1チームでそれを5組。それを東側の森でサバイバル戦をさせるのでどう?」
「時間制限を設けて、チームの残り人数で勝敗を決めればいいか」
「ペイント弾とペイントロッドの数足りるかな。そんなに数は無かったはずだけど」
ハル・ベンベン・ムックがそんな話をしていると、エムジーも一仕事を終えたようで、休憩室に入ってきた。
エムジーが何か飲み物を飲もうと自動販売機のボタンを押しながら
「何か面白そうなことをやるみたいですね」と言うと
「あっ!そうだ。エムジー君とカガミ君に、模擬戦で頼みたい事が」
ムックが2人にそう言うと、カガミとエムジーは顔を合わせてなんだといった表情になる。
「実は……」
※
あれから時間が経ち格納庫には、模擬戦に参加するパイロット達が、パイロットスーツを着込み機体の前に待機していた。
そこにベンベン達が現れ模擬戦について説明を始める。
「模擬戦は基地から少し離れた東側にある森の中でやる。6人1チームを5組作り制限時間内までに、1人でも多く生き残ったチームを勝ちとする」
ハルが説明していると模擬戦参加者のパイロットが
「お待ちください。このチーム編成はおかしいです!なぜ私はDキャンパーと同じチームなのですか!?」
「そうだぜハル隊長。なんで俺等がこんな連中と、これじゃ各代表者を決めた意味がないぜ」
その後にも色々とヤジを投げる者もいたが
「うるせぇ!誰が代表戦なんて言った!!あくまでコバルトのパイロットを決める為の模擬戦だ、嫌ならやめろ。ただし、模擬戦から降りた奴は今後便所掃除係だからな」
ムックがコホンと咳払いをすると
「今回の模擬戦は仲間意識向上と、より実戦的にして行う。余程の事がない限りこちらからは指示などは出さない。つまり指示が無い限り、それは模擬戦の一つとして考えて欲しい、以上」
ベンベン・ハル・ムックは指揮車に乗り込み、模擬戦参加者と東側の森に向かう。
他の模擬戦に参加しないパイロット達は、基地のブリーフィングルームのモニター画面前に待機した。
森に着き各スタート位置に向かうパイロット達、その中ベルナールは同じDキャンパーのヴァレリー・ジョンと同じチームになった。
だが他の3人のうち1人は見知った顔だった。
以前ネクティアの牢から出た時、送り出しにいたジョセフ・アレン伍長だ。
自分の師団用コバルトで模擬戦に参加するようだ。
他の2人はカガミが後から連れて来た メリッサとラッセルと呼ばれる姉弟で、姉の方は専用機のようだが、弟の方はカイヤナイトから貸し出しされた機体のようだった。
【このチームの隊長…当たり前だが、メリッサ小隊長にお任せするべきだろう】
ジョセフがそう言うと
【なんでだよ!どう考えてもベルナールが隊長だろ。この中で一番強い】と怒りながら機体の腕を振り回すジョンのコバルト。
【誰でもよくね。それよりも楽して勝つこと考えようぜ】
こっちはやる気が感じられないラッセルが、ジョセフの機体に寄りかかる。
【君はメリッサ隊長の弟だろ!?優秀な姉上に指揮を執って欲しいと思わないのか】
【いや全然。つうかこの模擬戦って、Dキャンパー達との友好的になる為のもんでしょ?副団長もそう言ってたし】
【それは……そうだが…、だが!】とジョセフが言ったところで
【俺は別にアンタの指示で動いてもいい】
意外にもそんな事を言ったのは、ベルナールだった。
その言葉にヴァレリーとジョン、それにジョセフも驚く。
【俺はカガミの兄貴や団長の下についた。そんで副団長がネクティアの兵士と上手くやれって言うなら俺はその命令を聞く】
それに続くようにメリッサは
【私は小隊の運用にはそれなりに慣れているつもり、そちらの2人が納得してくれるなら私が指揮を執らせてもらうわ】
それを聞いたヴァレリーは
【俺としても異論はない、敵はお前達じゃないしな。模擬戦で勝ち抜いて、ここに居るメンバーが1番優秀な人材である事を、隊長達に見せつけよう】
メリッサはジョセフ機に手を乗せ【なら伍長、彼らに謝罪して】という。
【一時的な事とは言え、あなたの発言がチームの輪を乱した。チーム一丸となって戦わなければならないのに、ここで味方同士に遺恨を残しておきたくないでしょ】
【す…すまなかった】とジョセフが謝ると、ベルナールがジョンにも謝る様にとジョンの機体を押す。
【俺も悪かった】とぶっきらぼうに謝る。
お互いに打ち解けていると「これより模擬戦を開始する。スタート!」とゴードンが無線越しに合図した。
【取り敢えず動きながら、作戦を伝えるわよ】
メリッサ機が動きだしそれに続く。
暫く森の中を進み、木々が多く生い茂る場所で機体をかがませ円陣形を取る。
【まずは、他のチームの出方をみる】
メリッサの指示にベルナールは
【他の連中も最初は隠れながら索敵して、動きを見るんじゃないのか】
【そうでしょうね】
【なら】
【でも慣れないチームで、尚且ついがみ合ってお互いの意見がバラバラだったら…どうなると思う】
ヴァレリーは成る程と口にし
【そこに手柄なんて更に考えているヤツがいたら、そんな大人しくしていられないだろうな】
すると直ぐにコバルトのペイント弾が撃たれる音が響き渡る。
その音を皮切りに、森の中をコバルト同士の銃撃戦が始まる。
メリッサ達の近くにも別チームの機体が居たようだったが、2機で行動しているようで索敵能力はメリッサ達と比べて低い。
そこにメリッサの指示で後ろからジョセフ機が近づき、ペイントロッドを振り下ろす。
だが、ジョセフ機がペイントロッドを振り下ろそうとしたのに、もう1機のコバルトが気がつき、ペイントロッドで防がれる。
ジョセフは【今だ!】と言うと、木の後ろに移動し隠れていたヴァレリー機がペイント弾を数発撃ち込む。
するとベンベン達の指揮車のモニター画面に映る各チームの機体が表示されていて、画面に表示されているコバルトの部位が緑色の物から黄色に変わる。
「まだ破壊されるレベルじゃないな。ダメージレベルレッドまでいったら、腕部をロックしろ」とベンベンがモニター前に座るオペレーターに指示を出す。
「どこもかしこも、自由に動いていやがるなぁ」
「評価するにしても、本当に酷いとしか言いようがないね。せめて1組でもまともに動いていたら、真似をする連中も出てくると思うんだけど」
ハルとムックがそんな話をしていると、ベンベンは
「いや、1組まともなチームがいるようだ」と1つの画面に注目する。
その画面にはメリッサ達のチームが映し出されていた。
ハルとムックもその画面を見る。
メリッサ機とベルナール機が正面で敵を引き付け、ラッセル機とヴァレリー機で両サイドからペイント弾を撃ち続ける。
その隙を突きジョセフ機とジョン機が敵機に突っ込み、ペイントロッドで斬りつける。
画面に映し出された2機のコバルトが、全身赤色に変わる。
「7番機8番機、総合ダメージレベルレッド!機体をロックします」とオペレーターが報告をする。
「やるなぁ」
「まともなチームが居て良かった」とハルとムックが安堵する。
ベンベンは画面を見ながら「まぁでも、この後はどうなるかな」
暫く戦闘を繰り返し時間が経ち、一旦身を隠し小休憩する。
【各機、機体と武装チェック!】
メリッサが各機に指示を出し、全員が問題無しと返事を返す。
【他も激しくドンパチしてるようだけど、思ったほどやられた様子はないな】
【まっ、敵対して戦ってたら全滅して、コバルトパイロットから外されるって思ったんだろう】
【レーダーから目を離すなよ。いつ襲われてもいいようにな】
ラッセルとジョンが会話に集中しその注意をジョセフがしレーダーに目を落とすと、そこには赤く点滅する二重丸マークが映し出されていた。
【馬鹿な!なんでこんな所に危険種が!!!】
ジョセフの焦り声に全員が反応しレーダーを確認する。
だが更に驚くべき事に、反応は1つではなく2つあるのだ。
するとその危険種の反応は、今正に撃ち合っているチームの方に一直線に向かって行った。
メリッサは【動くよ!】と言い、危険種の向かった先に向かう。
全員で急ぎ向かったが、そこに居たのは危険種でもなければ、キメラですら無かった。
そこに居たのは、ペイントロッドを両手に掴んだダークパープルの機体、アルダートが居た。
【なんでココにエムジー隊長が!?】
ジョセフが驚いているとヴァレリーが【待て!】と近づこうとするジョセフ機を止めた。
【まさかエムジー隊長が、危険種役で模擬戦に参加してくるとは】
メリッサは直ぐに何かを察したのか、ゆっくりと後ろに下がりながら全員に下がる様にメッセージを送る。
ジョセフがオープン回線にしていなければ、焦り下がる様に指示を出していただろう。
そこに他のチームの機体がアルダートに近づきながら
【エムジー隊長これはいったい!?アルダートの反応が危険種に…】
迂闊に近づくコバルトに、アルダートは容赦なくペイントロッドで斬りつける。
するとコバルトは直ぐに機体をロックされ、機能停止に陥る。
やられたチートメイト達は、直ぐにこれも模擬戦の一つと理解し、アルダートにペイント弾を乱射する。
だがアルダートは、ペイントロッドで飛んでくるペイント弾を弾き返す。
そして撃ってきたコバルト数機に突撃して、次々と斬りつける。
その隙を見てベルナールは【逃げるぞ!】と言い、メリッサも【そうね。他のチームを囮にして、逃げるわよ】と指示を出す。
ベルナールを先頭に、来た道を戻る。
【ま、待ってくれ!エムジー隊長達が模擬戦での敵役なら、立ち向かって一撃でもダメージを入れなきゃいけないんじゃないか?】
ジョセフが焦りながら言うと、ベルナールは【馬鹿かお前!】とこちらも焦っているのか、イラつきながら返す。
【なんだと!】
【模擬戦が始まる前に、ハル隊長が言ってたろ。1人でも多く生き残ったチームの勝ちだって。それはつまり、元々エムジー隊長達が乱入して俺達の数を減らすのが前提だったって事だ】
【その通りでしょうね。制限時間を設けたのも、時間内まで仲間と連携して生き残る事を優先させる為でしょう。勿論ジョセフの言う事も一理あるでしょうけど、今の私達じゃ一撃どころか、ただ一方的に狩られるだけよ】
【隊長達と戦ったけど、マジで化け物を相手にしているようだったからな】
【出来れば死んでも2度と戦いたくないな】
メリッサの説明を聞きながら、ジョンとヴァレリーがそんな事を口にしていると、ラッセルが【そんなにヤバいのか?】と緊張無く聞いてくる。
するとジョセフが
【なら試してくるか?少なからずカガミ隊長の戦闘を俺も間近で見たが、異名の通り 緋色の破壊騎士だったぞ】
そんな会話をしていると、先頭を走っていたベルナール機が止まる。
メリッサが【どうしたの!?】とベルナール機の前方を見るとそこには、白に所々に赤いラインが入った機体がペイントロッドを構え立っていた。
それを見たベルナールは
【逃がしてはくれないよな、カガミの兄貴!】




