#20
ネクティアに戻ったその日の夜。
屋敷に着き個々に用意された部屋に行こうとした時、トシが全員を呼び止め、会議室の一室を借り全員をそこに集めた。
「全員集まったな」
「トシさん、今日はもう疲れたよ。明日にしない?」
「俺も早く寝たいです」
ムックとダイは眠そうにしながらテーブルにもたれる。
だがトシの目は寧ろ鋭く、蛍光灯の光に反射し掛けている眼鏡も光る。
「俺達の現状を整理するとだ。まず、片桐博士の指示でネクティアに拠点を造り・周辺のキメラを討伐しつつ、周辺の小国もしくはそれに準ずる街の人間を助けつつ俺達の名前を売ることだ」
カガミは
「だからその為に拠点、つまりカイヤナイト基地を造ってキメラ討伐の依頼を受けながらお金を稼ぐって話ですよね?」
「その通りだ。そうなると基地はネクティアから貰った報酬だけじゃ、航空基地程度の物しか造れない」
「長期的な運用と周辺事情を考えると、攻守に優れた基地じゃなきゃキツイってことか」とハルは腕を組みながら考え込む。
「そうだ。ハルさんの言う通り攻守に優れた基地を造る必要がある。だがそれには金が掛かる。…誰かがどこぞの人助けついでに、金を渡したりしたからな」とトシは隣に座るアキを見る。
アキを「こ、こっち見んなし」と視線をそらす。
だがトシはまぁ仕方がないといった感じで
「まぁ、あのまま下手に見捨てても後味が悪くなるし、別にいいっちゃいいんだがな。問題は基地の設計だ」と言うとハヤテとジャガーが
「一応基地の設計図は作ったけど、…予算を軽くオーバーするね」
「それと攻守を固めにするとなると、11人だけで運用するのも非効率的だね」
そう言いながら基地の設計図を、全員の携帯情報端末サージルSa-Jiruに送る。
それを見てベンベンとリュウは
「こりゃ確かに金がかかるな…」
「こんなに大きくする必要がある?」と画面を見ながら言う。
だがジャガーとハヤテは
「確かに俺達だけで攻守を考えたら、こんなに規模を大きくする必要なんてないんだけどね」
「一度基地を造って完成させて、そこから更に拡張ってなると多分この基地設計だとキツイと思うんだよね~」
そこでカガミは色々と話し合いがされている中、隣にいたダイに
「珍しくダイさんは基地の説明とかしないんですね」
「あぁ、一応関わってはいるんだけどね。格納庫とアーマードブレイン研究所と内装設計にだけ関わってる。それ以外は全部ハヤテ先生とジャガーさんにお任せさ」
「俺はてっきりもっと、グイグイと説明しだすかと」
「今回俺は”別の事”に忙しくなりそうだからね」
「別の事?なにかやるんですか?」
「そのつもりだったんだけど……、予算の話を聞く限り…ダメかなぁ」と1人悩み込む。
そして1時間位が経過した頃
「取り敢えず今日はこの辺にして休もう。行動は明日から移すってことで」と会議を終わらせた。
次々と部屋に戻るメンバー達、カガミも用意された部屋に行こうとすると、ダイがアキ・トシ・ハヤテ・ジャガーを呼び止めていた。
近くに行き話している内容を聞くと
「俺としては別にいいよ」とアキが何かを許可し
「本当にこの予算で収まるんだろうな」と眉間にシワを寄せるトシ
「アーマードブレインの方は少なからず。”こっち”の方は……ね」
何かを必死に説得するダイ。
「でも”コレ”今必要か?」とハヤテがダイに言うと
「でもあれば超がつく程便利じゃないですか?戦力図も大きく変わると思いません?」
そこに今度はジャガーが
「この設計図……構造が…、これはもしかして3枚ある?」
「1枚は俺が、後はハヤテ先生とジャガーさんの分です」
それを聞いたハヤテは疲れたように
「ダイ君、キミは馬鹿か!?そんな時間と予算が何処にある」
「誰が馬鹿ですか!失礼な!!後回しにしたら絶対に造る余裕なんて無くなりますよ。俺達の性格からして」
「否定はしないが…、う~ん、うぅ~ん。せめてこの1枚だけにしないか」
「無理です!メカ魂に火が着きましたから!!」
ハヤテは諦めたように溜息をし、そこにジャガーが
「それでこれからL・N研究開発所に戻りたいと…、俺はいいよ。ただ機体で行くと時間が掛かるから、ゴードンにヘリを借りて行こう」
仕方がないといった表情でハヤテは
「それじゃ行ってきます」と言い、ダイ・ハヤテ・ジャガーの3人は皆と違う方向に歩いて行った。
そこにカガミがアキとトシにダイ達と何を話していたのか聞くと
アキは楽しそうにし、トシは呆れ気味にSa-Jiruに映し出された設計図を見せてきた。
それを見たカガミは、少し笑いながら
「まぁ、あの3人らしいって言ったら、らしいですけど。…出来るんですか?」
カガミはトシとアキに聞くと
「時間的な話で言えば、いつも通りの睡眠時間をフルで削る作業になるだろうな」
「でもまぁ。ああして見ると、俺達は何処に行こうと俺達なんだって思えるよ」とアキは笑う。
そしてカガミ達も喋りながら廊下を歩き、自分達の部屋に戻った。
※
次の日からネクティアの東側の開拓が始まった。
まずは森の中に居るキメラの掃討が開始された。
號龍を先頭に、マークスマイン・アルダート・イヅナが森の中心部に居るナイト級キメラを担当し、ルーク級・ポーン級キメラを残りのメンバーで討伐する。
ある程度のキメラが殲滅されると、森の整地作業に入った。
その間もネクティアの要請で付近の警備をし、ネクティアの警備部隊に追従しDキャンパーやキメラの討伐といった仕事もこなした。
そしてそれから3ヶ月が過ぎた頃。
カガミはアキの指示で装甲車を運転し、1人アーリィの屋敷に向かった。
屋敷の前には既にアーリィを含め、ライラ・クロエ・ゴードン・メグミが居た。
今日カガミが呼ばれたのは、カイヤナイトが建設中の基地の視察のためだ。
カガミが「おはようございます。アキさんの指示で迎えに来ました」と挨拶をすると
「おはようございます、カガミさん」とアーリィが笑顔で挨拶する。
アーリィ達はカガミが乗って来た装甲車に乗り込むと、カイヤナイトが建設中の基地に向かった。
道中アーリィが
「最近よく報道などで、カガミさんとベンベンさんの名前をよく見ます。この前テレビで見たものでは、近隣の街に近づいてきたキメラを単機で倒し住民を救ったとか。さすがカガミさん、とてもカッコイイです」
アーリィは目を輝かせるように、カガミを褒める。
「いや、機体の性能のお陰だよ。しかもソードスパイダーを5匹倒しただけだし、そんなに凄い事じゃ」とカガミは返す。
「そんな事はないぞ、カガミ殿。住民を助けた事に意味がある。どれだけ機体が良くても乗り手が悪ければ、そこの住民達は戦闘に巻き込まれたり、キメラの犠牲になっていただろう。もっと自分を誇っていい」
「そうだな、ゴードン師団長の言う通りだ。雇われのDキャンパー達では、報酬を優先するあまりキメラの討伐を優先させ、住民を囮に使うなど卑劣極まりない戦法を取る連中もいる」
メグミがまさかそんな事を言うと思っていなかったのかクロエはつい
「まさかメグミ中隊長が、カガミさんを褒めるなんて」と口にした。
クロエは自分が無意識のうちに口にしたのに気付き、慌てて謝った。
だがメグミは気にする様子もなく
「私とて、人を認める時は認めるさ。特に最近の働きを見ればな。部下達からの評判もなかなかだ」
カガミは運転をしながら「ありがとうござい…」と言いかけるが、そこに付け加える様にメグミは
「だが!評判を利用して、ウチの部下に手など出すなよ」と釘を刺される。
オータム要塞奪還作戦では、臨時編成で他部隊と混合編成になっていた。
その為少年兵や老兵と、男女・年齢関係のないパイロット達が集められた。
だが基本スカル・ルージュ隊は、女性パイロットで構成されている部隊な為、カガミに一応釘を刺したのだ。
カガミが「そんな事しませんよ」と言っていると、ライラが覗いていた装甲車の窓の外の風景が変わる。
ネクティアの北門から抜けて、暫く走るとネクティア東側に航空基地が見えてくる。
航空基地は中々に広く規模も大きいが、特に周りにはキメラ対策用の壁やフェンスは無い。
それを見たゴードンとメグミは
「なんというか…貴殿等の造った航空基地にしては、そのぉ~……無防備だな」
「いくら建設途中とはいえ。防護壁すらない場所に、姫様を連れて来るとは……。やはり私の部隊だけでも連れてくるべきだったか」と不安げだ。
カイヤナイト航空基地内に入ると同時くらいに、緊急警報が航空基地内に響きわたる。
基地から離れた所に3体のロックビーストが、航空基地目掛けて走って来ていた。
車内は騒然となり、メグミは「それ見たことか!」と言い
ライラとクロエは「カガミさん!すぐにアキ団長に応援を!!!」「それよりも、ここから離れるべきじゃ」と慌てふためいていた。
ゴードンは「近くにアーマードブレインは無いのか!?カガミ殿!」とカガミに聞くが、当のカガミは慌てる様子がない。
それを見たアーリィは「カガミさん?」と尋ねるとカガミは
「大丈夫だ。管制塔にはリュウさんも居るし」
航空基地の管制塔を見ると、リュウが居て何か操作している。
すると緊急警報とは別に警告音が鳴ると、基地周辺が振動する。
暫くして基地の周りに柱が地中から出て来て、その柱を繋ぐかのように防護壁が出てくる。
気付いた時には、基地の周りは防護壁で全体が覆われていた。
防護壁の高さは約23メートルあり、柱の上部からビームタレットが出てきた、全てのタレットがロックビーストに狙いを付けると一斉にビームが撃たれた。
そしてビームの発射音が消えると、防護壁と柱が下がる。
下がった防護壁の先には、丸焦げになり倒れるロックビースト。
そのロックビーストから少し離れた場所から地面が盛り上がり、地下に続くハッチが開き重機が数機出てきて、死骸になったロックビーストを回収しだす。
死骸をトレーラーに積み込むと、出て来たハッチの地下道に戻って行く。
ハッチが閉じられると、ハッチ周辺から土を霧状にした物が噴射され、ハッチは完全に隠され周りの風景に溶け込む。
カガミは後部座席に座るアーリィ達に「な、問題ないだろ」と返す。
ゴードンは
「完成してないと言っていたから、てっきり基地の周りに壁を作れていないとばかり」と驚く。
そこにクロエとメグミがカガミに
「あのカガミさん、基地が完成してないって言っていましたけど、他の方々は何処に?機体も格納庫にあるように見えませんけど」
「確かにな。とても外で作業している様子はないが…、建物の中を改装工事でもしているのか?」と不思議そうに聞いてくる。
「建物の中……間違ってないのか?いや、でも建物の中じゃないような…着けば分かるとしか言えないかな」と考えながらこたえる。
そして装甲車は管制塔付近の建物から明らかに離れた場所にある、ヘリポートの場所に止まる。
そしてカガミは「取り敢えず着いたか、ちょっと待って下さいね」と言うと装甲車から降りて、ヘリポート付近にある操作盤をいじると、装甲車に戻ってきた。
アーリィが「降りないのですか?」と聞き
ライラは「まさかここから、あそこまで歩かせる気ですか!?」と管制塔の方を見る。
だがカガミは
「一応危ないから、全員座席に座ってくれると」と言う。
全員が疑問に思っていると、音楽調のブザー音が鳴り”ガコン”と鉄の鈍い音がする。
そしてヘリポートの周りに柵が出てくると、ヘリポートごと地面に潜って行く。
そこで全員が『まさかココの基地は!?』と驚く。
全員の反応を見てカガミはドヤ顔で
「カイヤナイト基地の本体は、地下基地になってます」とこたえた。
ヘリポートを模した大型エレベーターは、装甲車を乗せてどんどんと下に降りる。
暫くするとエレベーター正面側の視界が開ける。
するとアーリィ達の前にはとんでもない光景が入り、啞然とする。
メグミは「な、なんだこれは!?なんでこんな地下施設に、戦艦がある!」と驚き
ゴードンは「よくこんな物を造る予算があったものだ。大きさだけでも全長400メートル以上はあるな」と感心しながら、戦艦の分析をしている。
全員の視界には見下ろす形で、強襲揚陸艦の全体が見渡せた。
するとカガミは説明をしだす。
「ここは造船施設とドックが併用されている所で、ジャガーさんが担当しているブロックです。因みにあの戦艦、正確には水陸両用のホバー艦だったかな?分類にすると強襲揚陸艦らしい。詳しく知りたいなら、ジャガーさんをはじめ、ハヤテさんとダイさんに聞くといいと思う。取り敢えずここにあるのが、強襲揚陸艦 ヴァルキュリア」
そこにメグミがまさかと言った感じで
「今取り敢えずと言ったな?まさか他にも同型艦があるのか!?」
「ここ以外にも、ハヤテさんとダイさんが担当するブロックに、1隻ずつありますね。ハヤテさんが建造したのが強襲揚陸艦 アプサラス・ダイさんが建造したのが強襲揚陸艦 神電。確かアプサラスと神電は最終チェックがまだ終わってないって、話してたはず」
その話を聞いていたネクティア一行は、驚く者も居れば、疲れた様子を見せる者、そしてアーリィのように楽しそうにしている者と、反応は様々だ。
エレベーターが下に着き、装甲車が再び走り出す。
だがネクティア一行が驚くのは、これからだった。
造船所ブロックを抜けトンネルに入り、暫く車両は走りトンネルを抜ける。
トンネルを抜けた先の光景を見て再び全員が驚く。
全員の目に入ってきた光景はなんと、ネクティアとほぼ同じと思われる敷地面積と空間が広がり、地下にいるはずなのに空が存在するのだ。
メグミは驚きなのか?それとも呆れたからなのか?声にならない声で唸り
ライラは「もう頭が痛いです」と額に手を乗せ疲れたように座席にもたれる。
ゴードンは「この短時間でココまでの物を造るとは……、やはりアキ団長!同盟を結んだのは正解だった」の繰り返しだ。
一方でアーリィとクロエは
「見てください、クロエ!地下に空が」
「はい、姫様!他にも高いビルが幾つもあります」と観光気分だ。
「地下施設の壁全体に大型モニターを貼り付けて、外の管制塔カメラからの映像を映しているんだ。外で雨が降ればここでも疑似的ではあるけど、スプリンクラーを利用して人工的に雨を降らす事も出来るらしい。まだ工事中で、実装はされてないけど」とカガミが説明をする。
そしてアーリィ達も乗せた装甲車は、軍事施設と思われる敷地に入る。
建物の前に車両を止め、カガミは基地の司令部らしい建物の中に案内をする。
既にメグミとライラは疲れた様子だが、アーリィ・クロエ・ゴードンは建物を見回しながらついて来る。
廊下を暫く歩き突き当りの扉を開くと、広い部屋に出た。
そこには幾つものモニターや機材がある。
部屋の奥にある、大きなモニター前にアキとトシが立っており、そのモニターにはジャガー・ハヤテ・ダイが映っていた。
アキとトシはアーリィ達が来た事に気付かず、3人と話をしていた。
モニターに映るジャガーが、アーリィ達が来た事に気づき「アキさん、お客さんだよ」と言う。
それでやっとアキとトシは気づき、アーリィ達の方に向く。
「おっと、気付かなかったごめんごめん。いらっしゃいみんな」
「おいカガミン、入る時くらい声を掛けろよ」
「すいません。なにか大事な話をしているのかと」
アキは再びモニターの方に向き
「それじゃ、そっちの方は3人に任せるよ。人手が必要なら言って、俺達も手伝いに行くから」
モニターの3人は『了解です。それじゃ、また後で』と言い、モニターの映像が消える。
アーリィはアキとトシに近づき
「アキ団長、この度はお招きありがとうございます」と挨拶をする。
「いえいえ、まだゴチャゴチャしててね。たいしたお構いは出来ないけど、お茶くらいは用意するから、隣の会議室に移動しよう」とアキが案内をする。
案内された会議室には、円卓状のテーブルがありそこに幾つかの椅子がある。
全員が適当に座り暫くするとコックの服を着たベンベンが、紅茶・コーヒー・ケーキを乗せたキッチンワゴンを押して入ってきた。
「なぜ貴様が給仕のまね事をしている」とメグミに言われるとベンベンは
「まぁ、俺のリアルでの本職だったからな」と返すがネクティアの全員が『リアルでの本職?』と不思議な顔をする。
ベンベンはそれ以上に説明はせずに、全員に飲み物をどちらにするか聞きはじめる。
それを見てクロエは立ち上がり「手伝います」と言い、紅茶とコーヒーを入れ始めた。
「お客さんなのに悪いね」と言いつつベンベンは、クロエにそちらを任せて、ケーキをテーブルに置く。
ケーキを目で楽しみ一口食べると、アーリィとライラは
「とても美味しいですね!」
「本当に!こちらのケーキは、いったいどちらでご購入された物ですか?」と聞く。
「俺の手作りだけど」とベンベンが言うと、予想道理としか言いようのない反応でアーリィ達は驚く。
「まさかその顔で、こんな物を作れるとは…」とメグミに言われ、ベンベンは
「顔は関係ないし!つうかそんな顔って、酷くね!!」
「ベンベンさんはお顔が……その…お怖いのに素晴らしく、お料理がお上手なのですね」とライラに言われ
「本当に!怖いだけではないのですね」とクロエに言われる
「なにさ!さっきから顔が怖い怖いとか!?おじさん傷つくぞ!!!俺そんなに怖くないよね?」とベンベンは、近くの椅子に座っていたゴードンに聞くと、ゴードンはケーキを食べながら
「大丈夫だベンベン殿。皆戦場で見た貴殿の事を、非常に恐ろしい戦士の顔つきだと褒めていたぞ」
「それ褒めてないし、寧ろ止めを刺された!」と泣き崩れる。
カガミはアーリィに小声で
「俺もさ、初めて知ったんだよ。普通の料理以外にベンベンさんが、こんな綺麗なケーキを作れたとか……やっぱり普通に驚くよな」
「お弟子さんのカガミさんでも、知らなかったのですか?」
「知らない。だから初めてケーキ作りをしているベンベンさんを見て、ベンベンさんマジですか!って驚いたら凄く怒られた」
カガミとアーリィがコソコソ話をしていると、トシは紅茶を一口飲み
「今回ネクティア側に見て欲しい物なんだが」
情報端末サージル Sa-Jiruを操作すると、円卓状のテーブルの中央にホログラムが映し出され、そのホログラムにはアーマードブレインが表示される。
「この機体は今カイヤナイト基地で建造中の機体で、第二世代アーマードブレイン。3種類の機体を実験的に6機作成中の物だ」とトシが説明をする。
「まさか戦艦や地下基地以外にも、アーマードブレインを造っているとは」
「よくもまぁ、そんな予算と時間が」とメグミとライラは、疲れたように驚く。
アキは
「時間は不眠不休でやれば何とかね、これでもまだ完成には程遠い状態でね。それに今回が初めてじゃないから、慣れって言葉で片付けられるかな。予算の方は……近くの”とても友好的”な輩達に寄付して貰ったのさ」
「とても友好的…な」とメグミは呆れた感じで話を聞く。
「基地や予算の事はどうでもいい。聞きたいのは、あのドックにあった戦艦と、このアーマードブレインだ!アキ殿説明を」
ゴードンに促され、アキは
「今ダイ君たちには、強襲揚陸艦と、第二世代アーマードブレインの建造をして貰っている。戦艦建造を最優先にしているから、アーマードブレイン開発は少し遅れてる。この第二世代機はコストを抑えつつ、性能を第三世代機に近づけた物らしい」
「アキ殿この機体、完成したら是非とも…」とゴードンが話していると、トシが
「勿論ネクティアに安価で売るつもりだが、2機までにして欲しい。こちらも戦力の増強をさせたい。現状予備機が無いぶん、俺達の機体を出撃させる度に、整備コストが掛かって予算は火の車状態だ。本当は他にもビジネスを広げるべきなんだろうがな。人手不足でそれどころじゃない」
「その件なんだが……姫様、話しても宜しいでしょうか?」とゴードンはアーリィに尋ねる。
アーリィが頷き返すのを確認し、ゴードンがいざ話そうとした時の事だ。
基地内にアラート警報が鳴り、機械音声で
”警報発令!警報発令!基地周辺に敵性勢力と思しき機体を確認。直ちに防衛体制に移行。繰り返す。基地周辺に敵性勢力を確認直ちに防衛体制に移行”
トシがSa-Jiruを操作すると、アーマードブレインが表示されていたホログラムが、管制塔カメラに切り替わり映像が映し出される。
映し出された映像には、Dキャンパーと思われるコバルトと、何台もの装甲車や車両が近づいて来ていた。
それを見たアキは
「ベンベンさん・カガミ君!」と指示を出すと
『了解!』と返事を返し、会議室を後にする。
「トシさん、俺の機体もここから近い格納庫にある。俺も迎撃に上がる」
「分かった、こっちの事は任せてくれ」
「それじゃちょっと行ってくる」とアキはアーリィ達に右手を軽く上げ挨拶をする。
「アキ団長、お気を付けください」とアーリィに言われ部屋を後にした。
カガミとベンベンは、近くの格納庫にある自分の機体に乗り込むと、操縦席の横の小型ディスプレイにジャガーが映し出され。
【7、8番緊急リニアエレベーターから射出する】
二人は『了解!』と返事をする。
【それとイヅナは、試作高出力ビームライフルがオーバーホール中で使えない。戦闘はバスターソードのみで対応して。秋水も同様に、バスターアームをメンテナンス中。使おうと思えば使えるけど、どうする?ベンベンさん】
【いや、大丈夫。代わりにクロスドクターの装備を貸してくれる?】
【分かった。使って】
イヅナと秋水は格納庫から出て、近くの緊急射出エレベーターに移動する。
エレベーターは機体1機分の射出スペースがあり、背中側を専用アームで固定する。
そこにクレーンでコンテナが運ばれ、機体の前に止まりコンテナが開かれる。
その中には武器が入っており、それを取り出す。
すると再びジャガーが【射出準備よし!二人共準備はいい?】
確認を取られたカガミとベンベンは
【大丈夫です、いつでも行けます!】
【こっちもOK!】
返事を確認しジャガーが【射出!】と言うのと同時に、イヅナと秋水は物凄いスピードでエレベーターが上昇し運ばれる。
直ぐに地上の航空基地に着くと、既に基地周辺には防壁が展開されており、防壁の一部をリュウが管制塔から操作して開けていた。
イヅナと秋水の2機が防壁の外に出るのを確認したリュウは、開いていた部分の壁を閉める。
大規模と言える量のコバルトと軍用車両が、肉眼で捉えられる場所まで迫ると突然動きを止める。
カガミとベンベンが『なんだ?!』と警戒をしていると、1機のコバルトだけが近づいてくる。
イヅナと秋水は手持ちの武器で構え、攻撃態勢に入ろうとすると後ろの方から
【ちょっと待った2人共!】とアキに止められる。
気づけばアキも自分の機体に乗り込み、後を追ってきていた。
【アレ!?】とアキが言った場所を見ると、コバルトの手の上に白旗を掲げて振っている人影が見えた。
機体のモニターを拡大して見ると、見た事のある人間が乗っていた。
カガミはその人物を見て【あれは…ベルナール!】と驚く。
コバルトがカガミ達の目の前まで来ると、コバルトはベルナールが乗っている手を前に出す。
そしてベルナールは「待ってくれ!攻撃の意思は無い。アキのオヤジさんと話がしたい」
急な申し出に3人は戸惑ったが、アキの乗る號龍が前に出て
【これはどう言う事かなベルナール君?】と警戒しながら質問するとベルナールは
「折り入って頼みがある、あります」
『頼み?』とアキをはじめ、無線を聞いていたカイヤナイトのメンバーも不思議そうにしていると
「俺達を……俺達全員をアンタ達の部下として雇って欲しい!!!」




