#18
トンネル内に入り暫く道を下ると、広い場所に出る。
そこには多くのタランチュラと思われる機体がハンガーに収められており、小型のドローンが機体の整備をしている。
人の気配は全く無く、カガミ達がどうしたものかと立ち尽くしていると、各機体の画面にハンガーの位置が表示される。
その指示に従い機体をハンガーに収め機体から降りると、ハンガー奥の扉に電気が灯り、扉が開く。
開いた扉から筒状の1メートル位の機械が出てきた。
それを見てベンベンとリュウは
『動くゴミ箱じゃん』と声を合わせて口にする。
他のメンバーも声にこそ出なかったが、同じような事を思っていた。
するとゴミ箱のような機械は、アキの前まで移動すると機械音声で
「ようこそL・N研究開発所へ。皆様を歓迎致します。私はB-27ビュールです。片桐博士が地下32階で、皆様をお待ちしております。」
ゴミ箱のような機械ことビュールは反転して、奥に進んで行く。
その後ろをカイヤナイトのメンバーが、武器を構えながら後に続く。
通路の奥まで行くと、搬入用?なのか大きなエレベーターがあり扉が開く。
「どうぞ」とビュールが、エレベーターの中に誘導する。
「罠くさ」とリュウが小声にだす。
「ここまで来たら、罠でも行くしかないさ」とハヤテが言う。
全員がエレベーターに乗り込むと、ビュールが操作しているのか、エレベーターの扉が閉まり動きだす。
エレベーターで暫く下に降りると、扉が再び開きビュールが道案内をする。
広い通路を長いこと歩かされる途中にも人の気配はなく、通路の掃除をしている機械やドローンが往来しているだけだ。
カガミはつい
「薄気味悪いですね。…まるでホラーに出てきそうなワンシーンみたいだ」と言うと
ベンベンとトシが
「それならきっと俺等は、最初のプロローグで全滅する軍隊の役だな」
「そうならない様に、前後左右の警戒をしておけよ」
そこから1,2分更に歩くと、第12研究室と書かれた扉の前にたどり着く。
「博士が中でお待ちです」とビュールは言い、扉の横にある待機場所らしい所に移動し、待機モードに切り替わる。
扉の前に立つアキは、ゴクリと唾を飲み込むと
「皆入るよ」と言うと、扉のスイッチを押し部屋の扉を開け、中に入って行く。
部屋の中はそれなりに広く、非常灯らしき物が壁や床にいくつか光っているだけで、全体的に暗い。
全員の緊張が高まるなか、急に老人らしき渋い声で
「よく来た…と、言うべきか。来てしまったと言うべきか」と部屋の中心部から聞こえてきた。
カイヤナイトのメンバー達が警戒し、銃口の向きを部屋全体に向けながら、声の主を探す。
すると”ヴォン”と音と共に、カイヤナイトのメンバーが囲む形で、その中心部にホログラムで老人の映像が映し出される。
老人は背が低く白衣を着ており、見るからに研究者といった見た目だ。
すると全員が一斉に銃口をホログラムの老人に向ける。
「まったく野蛮なことだ。その物騒な物を下ろせ、話しを聞きに来たのだろ」
老人らしき男は呆れる様に、そう言ってきた。
「生憎と怖がりなものでね、信用出来ない相手には銃口を向けるのがウチの流儀さ」
アキがそう返すとメンバー達の殺気が強くなる。
相手は特に気にする様子もなく
「だが話しは聞きたいのだろ?ならばそれなりの態度という物があるのではないか」
暫くアキと老人が睨み合いをするが、アキの方が折れて
「みんな」と口にし、右手で銃を降ろすように指示を出す。
それに従い全員が銃を降ろす。
「それで貴方は?」とカガミが老人に尋ねると
「私は 片桐 真造 ここの研究所、もとL・N社の研究開発所の責任者だ」
ハヤテは「もと?」と気になったのか尋ねようとしたが、そこにハルが
「んなぁ事はどうだっていいんだよ!それよりも俺達をとっとと、リアルに返せ!!こちとらもう何日も会社を無断欠勤状態にさせられてイラついてんだ!!!」
ハルの怒りは最もで、既にこちらの世界で数日を過ごしており、それは元の世界の時間にしても経過時間が同じものだからである。
だが片桐は、まるで小馬鹿にするように”フッ”と笑う。
それを見て更にハルはイラつき
「なに笑ってやがる!このクソジジイ!!!」と再び銃口をホログラムの老人に向け、数発撃つ。
「落ち着いてハルさん!」「気持ちは分かりますけど、今はダメですって!」とハヤテとダイに止められる。
「全くもって、何か勘違いをしているようだなお前たちは」と片桐が言い出した。
トシは「なに」と眉を吊り上げるようにして聞き返す。
「まずお前達をこの世界に連れてきたのは……、いや連れてきたと言う表現も少々違うが”私”だが、”私”ではない」
その場に居た全員が、何を言っているんだといった感じになり、それを代弁するようにハルが
「このボケジジイ!こっちは頓知きかせた話を聞きたい訳じゃねぇーんだよ!!」
「ハル君、落ち着いて、取り敢えず話を聞こう」とムックが言い、ハルは仕方なく黙る。
その様子をみた片桐は、また説明を始める。
「まずお前たちは、自分達の身に起こった事をどう捉えている」
片桐の質問に、ジャガーが
「ゲーム内のバグによって、テストサーバーに閉じ込められたか、もしくは異世界転生させられたかって、話が出てますね」
「ゲーム?シュミレーターの事か。そして異世界に転生したか……、全くもって非科学的な考えだな」
「俺達の考えた答えとは違うと?」
「全くの見当違いと言うわけではないが、当たらずとも遠からずだな。正確にはココの世界は、お前達の知る世界とは違うifの世界。お前達に分かりやすく説明をするならば、1999年7月に枝分かれしたもう一つの世界。そしてお前達の知る世界感の時間にして1000年以上経過している別世界だ」
「待て!1000年!?俺達の知る世界からってなると、西暦にして3020年位って事か!」とベンベンが驚く。
「実際にはもっと年数が経過しているがな、その考えで概ね間違いではない。最も今は西暦読みではないがな。また西暦での読みかたを知る者も、今は歴史研究家位なものだろう」
「ちょ、ちょっと待った。オレ全然話について行けてないです」
「俺も何がなんだか。1000年?if世界?もう一つの別世界?もう何がなんだか」
エムジーとカガミは頭が痛くなると言わんばかりに、手を頭にのせる。
そこにアキが
「この世界の事は、驚いたし理解した……いや理解出来ていないけど、取り敢えず理解した。それよりも俺達は元の世界に戻りたい、どうすれば戻れる」
「そうだ!アンタのところのロボットに邪魔されて、俺達は帰れなかったんだからな」
アキに続いてリュウが言う。
片桐は再び呆れた様にして
「まったく、ここまで説明をしているのに、まだ理解していないのか」
痺れを切らしたハルが
「いい加減にしやがれ!俺達を誘拐まがいの事をしておいて、悪びれる様子も無ぇ!!!」
片桐はまた”フッ”と小馬鹿にした様な笑いをした後に
「まるで私がお前達を、誘拐もしくは拉致した様な言い方だな」
「違うのかよ!」
「私にもしも罪状を付けるのならば、誘拐などではなく窃盗だろうな」
「まるで俺達が物扱いに聞こえるんだが」とアキが片桐を睨むようにして言う。
「比喩表現や嫌味を言っている訳ではない」と片桐は言ったが、カイヤナイトのメンバーが納得いく様子が無いのを見て
「ならば分かりやすく聞いてやろう。お前達の記憶にある姿形は、今の体と同じものか?」
全員が近くに居るメンバーと顔を見合わせる
そしてカガミは「ゲーム内の姿とまった同じですけど」と言う。
それを聞いた片桐は
「聞き方を変えてやろう。シュミレーター、ゲームと言ったか?そこで作った仮想空間での姿とお前達自身の体は同じか?」
その言葉を聞いてハヤテ・トシの顔が真っ青になる。
そしてハヤテが「なにが…言いたい」と感情を隠すように返すが
「どうやら気付いている様子だが、気付かないふりをしているようだな。諦めろ、貴様の考えている事は正しい。それが現実だ」
カガミはハヤテに
「どういう事ですか!?俺全然分からないんですけど」
ハヤテは自問自答するようにしつつ、カガミに説明をする
「この片桐博士はさっき窃盗って言ったろ、そしてココは俺達の世界とは違う別世界。
そんで異世界に転生した説を馬鹿にしていた…だから、俺達は……」
「俺達はなんなんです!?」
ハヤテの言葉を聞いて、察しのいいメンバーは顔を青くし
ダイ・ベンベン・エムジーは
「んな馬鹿な」
「それこそ中二病全開じゃん」
「いや無理があるでしょ」と言葉にして誤魔化す。
カガミは未だ理解出来ていない様子でいると
「分からない者もいるようだな。ならば答えてやろう。お前達は”私”がシュミレーター内で、お前達の本体。つまりマザーデータであるお前達本体の脳内データを回収し、こちらの世界で用意した肉体を元に生み出し作り上げた、人工英雄兵器だ」
「有り得ないだろ」とアキがボソッと言うと、片桐は
「確かに私の言葉だけでは、納得もいかんだろ。これを見て少しでも、私の言葉を納得させるといい」
部屋の天井から大型のモニター画面が降りてきて、とある映像が映し出される。
映し出された映像を見て全員が固まる。
映像にはブラックホール状の空間から出てくる、自分達の機体だった。
場所にも見覚えがある。そこはこちらの世界に来る前に居た森の奥深い場所だ。
その証拠に画面端に、カイヤナイト所有のトレーラーがあった。
そして
「なんだよ結局ただのバグかよ」
「期待して損した。ダイくん責任取って」
「知らないですよ!」
「俺はここらで落ちるは、明日仕事早いし」
「俺も落ちます。今日はちょっと眠い」
「トシリン・ムックさんお疲れ」
「カガミン、このまま機体馴らしついでに、拠点潰しに行くぞ!」
「了解です。エムジーはどうする?」
「西に下りません?あそこの周辺なら他のプレイヤーも来ないでしょ」とハル・ハヤテ・ダイ・トシ・ムック・アキ・ベンベン・カガミ・エムジーの声が聞こえ。
声はしなかったが、ジャガーとリュウは機体から降りてトレーラーの荷台で、何かを作業をしているなどの映像だった。
この映像がブラックホール状の空間に入った日の映像である事がわかる。
だが、この映像はカイヤナイトのメンバーが、無事ブラックホール状の空間から出て来ているもので、尚且つこちらの世界に居るカイヤナイトのメンバーにはこんな事をした記憶は無い。
無意識にベンベンは「合成…じゃないよな」と口にすると
「そんな事をする必要性が、どこにある」
片桐は無関心そうに返した。
そこでトシは何かを思い出したように
「百歩譲って、アンタの話が本当の事だとして、俺達をこの世界に呼びつけた理由はなんだ」
その言葉にムック・ハルは
「確かに。なんの理由も無いわけじゃないんでしょ」
「適当な理由とかだったら、マジでぶち殺す」
するとホログラムに映し出された片桐は、空中にキーボードでも有るかのように目を動かしながら
「そうだな。”私が”説明するよりも、”私に”説明させよう」
「だからさっきから、なんなんだよ!私とか私じゃないとか!!いい加減に…」
ハルがブチ切れる瞬間、片桐が「繋がったな」と言い、壁に取り付けられていたモニターに電源が入り、一人の男が映し出される。
映し出されと男は、黒縁メガネをかけた大人しそうな30代位の男だった。
するとモニターに映し出された男は、手を振りながら
「えっと、皆さん見えていますか?」
「安心しろ、繋がっている」と片桐が返す。
モニターの近くに居たアキは、片桐の方に一瞬向き「あ~、誰?」と聞く。
だがアキの疑問に答えたのは、モニター画面に映し出された男からだった。
「初めまして、カイヤナイトの皆さん。私は 高瀬 仁志 そこに居る片桐 真造と同一人物です」
その紹介に全員が『はっ?!はぁぁぁぁ!!!』と声を上げた。
「ちょ、ちょっと待て!アンタ何を言ってるんだ?」とハヤテは頭がこんがらがっているのか、半分パニック状態で聞き返す。
「ですよね、そうですよね。理解しにくいと思いますが、本当に私は片桐 真造なんです!」
「でも今 高瀬 仁志って言いましたよね?」とカガミが返すと
「そうなんですけど……参ったな、何て説明すれば…」
そこに片桐がため息まじりに
「私から説明をした方が良さそうだな」と言い、高瀬に代わり説明をしだす。
「そこに居る高瀬 仁志は、昔私がとある実験でお前達の世界に送った、私のマザーデータだ」
「マザーデータ?さっきも言っていたけど、なんなんだ?」
ベンベンが尋ねると
「マザーデータ、つまり私の記憶をデータ化した疑似人格とでも言うべき存在。それがお前達の世界で脳死した、高瀬 仁志と呼ばれる存在の肉体に入り込んだもう一人の私だ」
「頭が痛くなってきた。つまり同じ人間が2人存在してるってこと?」
ダイが頭を悩ませていると
「正確には違うが…お前たちが理解するには、その考えでいいだろう」
そこに今度はムックが
「それにしては、だいぶ性格が…その……違うようだけど」と怪しむ
「それについては、難しい話ではない。肉体・住む場所・環境・人間関係、これらが大きく変われば、基本的な部分を除き、その人物の人柄が変わる事はお前達の世界でも研究結果が出ている」
ダイが隣にいるハヤテに「そうなんですか?」と聞き「知らん。俺に聞くな」と返す。
「こちらの世界にお前達を送り込んできたのは、そちらの”私だ”」
片桐は少し考え込むと
「今後は私を片桐とし、向こうの私を高瀬と呼ぶ」と言うと、モニター画面の高瀬は
「そんな勝手な!私だって片桐 真造だ。君一人で勝手に決めるのは、如何なものか」
「お前は既に、別の肉体・別の人格になっている。それにそちらでは高瀬 仁志と名乗っているのだろ?なんの文句がある」
「それはそうだが。僕が言いたいのは、何でも相談せずに決めるのは良くないと言っているんだ」
片桐と高瀬が言い合いをする横で、エムジーは何かを考えている様子だった。
カガミが
「どうした?なんか高瀬って人が出てきてから、何か考え込んでるみたいだけど」
「高瀬 仁志、高瀬 仁志…う~ん。どこかで聞いたような。高瀬……あっ!思い出した!!!」
近くにいたベンベンも「どうした!」と驚く程大きな声で
「この人アーマード・ブレインのプロデューサーだ!」
全員が『えっ?!』と驚いていると、高瀬もよくぞ思い出してくれたと言わんばかりに興奮した様子で
「知ってくれている人がいましたか!いや~嬉しいな」と喜ぶ。
その様子に少しイラっとしたのか、アキは少し語気を強めにして
「片桐博士の話だと俺達をこの世界に飛ばしたのは、貴方だと言うことだが……。いったい俺達になにをさせる為に、こんな世界に送り込みやがった」
アキの話を聞き真面目な表情に変わり、高瀬は
「はい、そうですね。そろそろ本題に入りましょう。私があなた方をそちらに送り込んだのは、そちらの世界を皆さんに救って頂きたいと思ったからです」
その言葉聞いてハルは
「ずいぶんと大層な話が出てきやがったな」と近くにいた、ジャガーと顔を見合わせる。
「確かに。しかも大雑把に言い過ぎて、俺達が何をすればいいか分からなさ過ぎる」
「今そちらの世界では、キメラが地球の約三分の二を占めています。このまま行けば、あと数百年もしないうちに、人類はキメラにより滅ぼされるでしょう。
ですがそちらの世界の優秀なパイロット達は、既にキメラとの大きな戦いにより命を落とし、また後継者たるパイロットの育成は進んでいない状況。
そんな状況で新人パイロットを前線に送り込めばどうなるか。死者は増え、その情報は更に誇張拡散され、戦う意思を持つ者は減る。
そちらの世界の人間はいま、キメラへの恐怖心が体の奥底に刻み付けられ、武器を取ろうとする者が少ない。
そして数少ない物資を奪い合い、人間同士が争う状況。
だからこそ必要なんです!
キメラに戦いを挑み、人々を導く英雄的存在が!!
それも1人や2人ではなく、数多い英雄の存在が!!!
私はこちらの世界で、アーマード・ブレインと言うゲームを作り、そちらの世界と同じ状況・環境を作り、寸分の誤差なく同じ環境化の中で戦えるパイロットを、英雄を創る事にしました。
そしてそれが貴方、カイヤナイトの皆さんなんです」
高瀬の熱弁とも言える話を聞き、アキは疑問をいくつか聞き始めた
「なぜ俺達なんだ?確かにウチのコミュは、ランカー入りしている。でも1番じゃない。なんなら下から数えた方が早いレベルだ」
アキの言う通り、カイヤナイトはランカー入りこそしているが、30位あるうちの12位と半端だ。
高瀬は
「確かにランクだけ見ればそうでしょう。私がカイヤナイトを選んだ理由は、いくつかあります」
一つ目は、チート・グリッチの類の物を敬遠し、それを使う者達と既存の武器で戦い戦略を立てるとこ。
アーマード・ブレイン自体は、戦闘用に作り上げたゲームですが、そちらの世界は現実です。
言うまでもなくゲームの穴を利用した戦い方や、チートコードなど使えません。
そんな戦法でのし上がった人間の操縦技術は、たかが知れていますしね。
二つ目は、新人プレイヤーを襲わず、むしろ襲われているプレイヤーは率先して助けるところ。
先程も言いましたが、私が皆さんに望むのは英雄的存在になって頂くこと。
戦闘時はともかくとして、人としての道を外れた人間に英雄的素質がある訳がないです。
三つ目、これは意外と重要な部分ですが、皆さんの年代がバラバラな事です。
別の世界に飛ばされるとなると、そこに住む人間とのコミュニケーションは必須になります。
内気な人間では人々の助けを得るどころか、導くことなど無理でしょう。
世代関係無くコミュニケーションを取ると言うのは、恐らく皆さんが思っている以上に難しい事です。
「他にも色々と有りますが、基本的に選んだ理由としてはこんな感じです」
アキは話を聞き
「俺達を買いかぶってくれていることは、よーく分かった」と答えると、高瀬は喜ぶように
「では!」と大きな声で続きを話そうとするが、アキは右手を前に出し“待った”と言わんばかりに
「但し!アンタも俺達を調べ尽くしているなら分かると思うが、俺達は元の世界に戻る方法を探す」
その言葉を聞いた片桐は
「なにを馬鹿な。貴様は今迄の説明を聞いていなかったのか。お前達は…」
「アーティフィシャルなんちゃらだろ?聞いてるよ、俺もアキさんも、皆な」とベンベンが片桐の言葉を遮る。
「まぁ、ウチは負けず嫌いが多いからね。自分達で納得いく答えを得ないと気が済まないたちだから」とムックが続く。
「アンタ達に協力はする。少なからず目の前で困っている人間見捨てる程、薄情な人間の集まりじゃない。その代わり俺達全員が元の世界に戻る方法を探すのを手伝ってくれ、それが条件だ」とアキは強めに出る。
「下らん。不可能だ」と言う片桐に対し、高瀬は「分かりました」とこたえる。
それに驚いたのは片桐だ
「正気か高瀬!そちらの世界には、既にコイツ等の本体が存在しているのだぞ!?それを…」
「分かっている。だがこちらも無理難題を押し付けているんだ、こちらも出来る限りの手は尽くすべきだろう。皆さんの望む帰還方法になるかは分かりませんが、最善を尽くす事はお約束します」
片桐は「馬鹿馬鹿しい」と一言付け加えただけで、それ以上は何も言わなかった。
高瀬の言葉に納得がいったのか、メンバー達の表情をアキは見渡したあと
「契約成立だね。それじゃ今後について話そう」
「そうですね。では、み―さん―は、こん―」
急に高瀬の映るモニター画面が乱れ始め、音声も途切れ途切れになる。
片桐は先程同様に、何かを操作しているように目を動かしながら「限界か」と一言いうだけだ。
高瀬の方でも異変に気付いたのか、重要な事だけ説明をしようと必死になっているのが伺える。
「――は、ネク―アを――しんに―各国との――を取ってくだ――。世界中のキメ―を減―すに――ング―キメ――」
更に激しい砂嵐の画面になり映像が途絶える瞬間に、高瀬は
「あ―は、かたぎ―か―詳―い――つめいを――……」と言い残して画面が切れた。
片桐は深い溜息をしたあと
「私自身、高瀬の計画を全て知っている訳ではないが、知っている部分を話そう」と言い出した。
そこにハルとカガミが
「それよか片桐博士よぉ。いつまで姿を隠しているつもりだ?いい加減姿を見せたらどうだ」
「確かに。実はこの研究所には居ないとか?どこか別の場所から通信をしているとかですか?」と言うと。
「まぁ、姿をを見せろと言うならば構わんが、直接話をするのは無理だぞ」
片桐がそう言うと、床から筒状の分厚いガラスに覆われた柱が出てくる。
その柱の中には緑色の液体が満たされており、その中にホログラムに映し出されている
片桐 真造氏その人が入っていた。
リュウが「マジか」と呟くと、更に片桐は
「ついでだ、これも一応見せておこう」と言うと、壁だと思っていた部屋の片側がまるでシャッターが上に開くように壁が上がっていく。
上がっていった壁の手前には厚いガラスがあり、本来の壁はこのガラス窓である事が分かる。
そしてカイヤナイトは、ガラス窓の先にある物をみて啞然となる
『なんだこれは』と




