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嫉妬

 「やあ、おかえり。久しぶりだね、蒼」

アニバースの基地に帰った蒼を迎えたのは、雷を纏うひょろりとした怪人──フレイムボルトだった。

「フレイムボルトさん……?どうして……」

その先の言葉は──言いたいことが多すぎて、形にならない。

蒼はそれらの言葉を飲み込み、ぽつりと言う。

「おかえりなさい」と。


 「あーあ、帰ってきちゃったか……まさか生きてるなんて」

自室のベッドに寝転がり、タタラは呟く。

フレイムボルトが帰ってきたなら、蒼はそっちに戻ってしまうだろう。そうなれば、タタラのところに来る時間も減ってしまう。ひょっとしたら来なくなってしまうかもしれない。

「蒼が喜んでるんだから、それでいいはずなんだけどな……」

胸がちくちくと痛むのを誤魔化すように、タタラはタロットカードを引く。

「恋人の逆位置……嫉妬か裏切り……はぁ」

──なんでこんな嫉妬なんて。らしくない。したって誰も得しない。それでも……

「ああ、もう!」

タタラはカードの束を床に投げつけ、布団を頭から被った。

──こんな気持ち、どうすればいいの?


 薄暗い研究室、デスモダスは──吊根つりね 夜雲やくもは目を覚ました。

「私は──」

二人のヒーローに敗北し、囚われて──

その後の記憶はない。が。

「ここは、私のラボ……のようですね……」

夜雲は床から身を起こす。

節々がピキピキと音を立てる。割と長い間気を失っていたようだ。

「チェンジャーは……ありますね……」

同じく床に転がっていたチェンジャーを拾い上げる。

少し石油臭い。夜雲は先程の業火を思い出し、身震いした。

「夢では……なかったみたいですね……」

敗北と、囚われたことは間違いようもない事実。

では、なぜラボに?

「お目覚めかい、夜雲。私にはまだ君が必要なんだ。あんなところで捕まってしまっては困るよ」

扉が開けられると共に懐かしい声が聞こえた。

「フレイムボルトさん……お久しぶりですね……」

「少し、この力の制御に手間取っていてね。しかしこれで、我々の求めるものに近づけたはずだよ」

フレイムボルトは雷光のほとばしる腕から鱗のような皮膚を一枚剥ぎ取り、夜雲に手渡す。

「目覚めたばかりで悪いけれど、分析を頼むよ。私の遺伝子情報はまだ残っているよね」

「ええ、今すぐに。」

夜雲は受け取った皮膚をシャーレに置くと、ばたばたと分析の準備を始めた。






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