和解
「で、良かったのか?」
薬品の匂いが漂う病室、シオンは包帯の塊のようになった蒼に尋ねる。
満身創痍の蒼と意識不明のタタラを連れてきたとはいえ、ここは曲がりなりにも敵の組織の大本営だ。肩身が狭い。
「お前をここに案内したことか?問題ねえよ。既に喧嘩してる場合じゃないって言われてるしな。それにお前が運んでくれなきゃ帰る前にのたれ死んでた」
「そうか」
「まあ、その……助かったぜ、ヒーロー」
「なんかお前が言うと気持ち悪いな」
「だな」
シオンと蒼は、目の前のベッドに横たわるタタラに視線を戻す。
「この子は大丈夫なのか?また暴走したりとか……」
「俺に聞いたってわかんねえよ。とりあえず命に別状はないらしいし、そのうち目覚ますだろ」
「ならいいんだけど……ここにいてもやれることないだろうし、そろそろ帰るよ」
「ああ、気をつけてな。あ、そうだ。ちょっと待ってろ」
と、蒼は病室から出ていくと、数分とせず持ってきた平たい小箱をシオンに手渡す。爽やかな水色地に、[アニバース饅頭]と楷書体で書かれた包装紙。
「何だこれ?」
「アニバースまんじゅうだ。礼ってわけじゃないが、手土産の一つも渡さずに帰らせるのは心苦しくてな。持ってってくれ」
「こんな落ち目の観光地みたいなお土産作ってんのかここ…何の用途で?」
「構成員のおやつとか、あいさつ回り用の手土産とか……」
「なるほど、なんか変なもん入ってたりしないよな」
「入ってるわけ無いだろ、裏に原材料載ってるぜ」
「ふーん……ありがたく貰っとくよ」
「おう、また入り用になったら言ったら持ってきてやる」
「昨日か一昨日くらいまでは敵同士だったやつの会話か、これ?」
シオンは首を捻り、蒼に問いかける。
「昨日の敵は今日の友って言うだろ」
「ものの例えじゃないのかそれ」
「気にすんな。ま、これから仲良くやろうぜ。」
蒼は包帯がぐるぐると巻かれた手を差し出す。
「お前らのやり方は気に食わないけど……今いがみ合ったら共倒れだからな」
シオンはその手を握り、握手に応じた。




