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閉鎖

 「嘘……ですよね?」

シオンは工場長である中年の男に尋ねる。

「すまないな、この工場は本日を持って操業終了となる。働いてくれたぶんの給料は振り込まれるから、安心してくれ。」

男はシオンに答えると、他の工員への説明のためか去っていった。

工場のシャッターは開かない。 工員も、皆帰ったらしい。


 それはあまりに唐突だった。 朝早く工場に到着したシオンは、シャッターに貼られた張り紙の前に人だかりができているのに気が付き──「本日を持って閉鎖します」と書かれた張り紙によって工場の閉鎖を知ったのだった。昨日までは普段どおりだったのに。

「はぁ……またバイト探しか……この辺求人少ないんだよなぁ……」

帰り道、シオンはため息をついた。

『シオン、怪人が出た。退治をお願いしてもいいかな。』

シオンの気持ちなどどこ吹く風というように、鞄の中のチェンジャーからサテライトの声がした。

「今そんな気分じゃ……トオルとかキキとかいないの?」

『トオルはリハビリ、キキは福岡に出張してるよ。』

「このタイミングで最高戦力が出張!?」

キキがいない時にまたヴォイドが来たら、今度こそ誰か死ぬ。

『数日のうちには帰ってくるらしいから多分大丈夫。さ、早く行こう。』

「仕方ない……変身!」

シオンはジュピターに変身し、いつものように視界に表示される矢印の示す方向へ向かった。


 「あれは…ヴォイド?いや……」

たどり着いた先で戦っているのは、ヴォイドにも似た銀色の怪人。

そして装甲がヒビだらけになった、紺色の騎士のような姿の……

「あれは……ヒーローか?」

『いや、こちら側で開発したスーツにあんなデザインのものはない。ということは……』

「敵か。となると……何故あいつら仲違いしてるんだ?まあいい、被害が出る前にどっちも倒すぞ!」

シオンは拳を握りしめ、紺と銀の敵のもとへ駆ける。

足音に気がついたらしい紺の戦士は、安堵したかのように地面に倒れ込んだ。

銀の怪人は、シオンの方に赤い目を向け、真っ赤な口を開いてニヤリと笑う。

「新シイ、オトモダチ!」

その声に、シオンは僅かな聞き覚えがあった。

「まさか……」

『シルバーマナ……?まさか、暴走か?』

「暴走でなんであんなことに!」

銀の怪人の蹴りをかわし、シオンは叫ぶ。

『ヴォイドの体細胞が使われてるからね。呼応しすぎるとああなる可能性がある、らしい。』

「らしいじゃない!なってる!」

怪人の大振りな拳をシオンは外小手で受ける。

その衝撃に腕が痺れる。 力が強い。なるべくなら回避を優先したほうが良さそうだ。




 



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