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三本の剣

 怪物は完全に動きを止め、その全身が灰色に染まる。

「また脱皮か……今のうちに倒せないのか?ほら必殺技とか」

ロムルスがシオンに尋ねる。

「そう思うじゃん?」

シオンはチェンジャーのボタンを操作する。

『データが足りないよ。現在75→38%解析完了』と音声が流れる。

「な?」

どうやら蛹の状態になられるのも良くないらしく、またデータが減っている。この調子だと必殺技は永久に出せそうにない。

「ならなんか武器とか……」

「さっき折れた剣があるな。ウェポンギアだっけか、もう一回入れ直したら使えるかな?」

シオンはギアを取り外し、再度装填する。

『ウェポンギア!オーディナリソード!』

チェンジャーが鳴り、飾り気のない剣が現れる。

「できるみたいだ……これもう一回やったらどうなんだろ?」

ギアを取り外し、装填。

『ウェポンギア!オーディナリソード!』

チェンジャーが鳴り、二本目の飾り気のない剣が現れる。

「……」

『ウェポンギア!オーディナリソード!』

三本目。

「これ刺してったら、こいつの頭が吹っ飛んだりしないかな?」

と、シオンは剣を蒼に差し出す。

「どこの危機一髪だ。それにそもそも刺さんないだろ、ほら」

蒼は剣でガンガンと灰色に固まった怪人を叩く。

金属音がするが、怪物には傷一つつかない。

「ならさ、例えばここにこうやって剣を固定して」

シオンは剣を二本まとめて持ち、怪物に切っ先を当て刀身を地面と平行にする。

「これをお前が思いっきり蹴れば、刺さるかもしれないぜ?」

シオンは得意げにロムルスの方を向く。

「前から薄々感づいてたけど、お前だいぶアホだよなぁ。」

ロムルスは呆れ──

「二本じゃ折れるかもしれないだろ。三本にしとけ。毛利だったか潜りだったかなんか偉い人が3本だったら折れねえって言ってたしな。」

と、シオンに剣を手渡す。残念なことに、二人共同程度に頭が残念だった。

「おお、たしかに!見かけによらず頭いいんだなお前!」

シオンは剣を受け取り、三本まとめて怪物にあてがう。ここに頭のいい人間は不在だ。サテライトはいるものの、現在彼にツッコミを入れる余裕はない。

「よっしゃ、しっかり抑えとけよ!行くぜーっ!」

ロムルスは少し離れたところから助走をつけ、三本まとまった剣の柄に飛び蹴りを浴びせる。

剣はミシッとたわみ──パキィと音を立て、三本とも折れた。

「「おっ、折れたぁー!?」」

シオンと蒼の驚愕の声が重なる。

カラカラカラン、と折れた三つの切っ先が地面に落ちる。当然ながら怪物には傷一つついていなかった。



オーディナリソード


ウェポンギアにストックされた圧縮原子によって作り出される武器。

鉄製だが脆いためわりと簡単に折れる。

武器としては木の枝以上鉄パイプ以下といったところだろうか。

武器としての実用段階に至るまでには精錬や材質の見直しなどが必要である。

ウェポンギア一つで作り出せるオーディナリソードは26本。

なおウェポンギアは基本的に使い捨てである。残り22本が使われる日は来るのだろうか。

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