10話
今回はちょいグロ?です。
〜9月7日 AM8:30 TK都大学病院院内〜
〜響視点〜
「はい、これが今週分の薬ね」
「やっぱり飲まないとダメですか先生?」
「ダメだね〜。僕は君の主治医だよ?それに桔梗さんの娘さんとなれば絶対に死なせるわけにはいかないからね。嫌がっても無理矢理飲ますよ僕はね。響くん」
「うへぇ……」
丸椅子に座らされ、渡された薬の入った紙袋にゲンナリしつつ私は目の前にいるお医者さんに視線を向ける。
この人の名前は"真堂 誠"先生で、私の主治医の今年で40歳になる人だ。
そして年齢が年齢のために頭に白いものが多くなってきて、口元にもシワが深くなっているけれどその優しそうな雰囲気で私は好きだ。
それに、お母さんとも古い付き合いらしい。
「それにしても……ココ最近はなにかいいことがあったのかい?バイタルがかなり安定しているのだけれど」
「えーっとですね。多分インデスをやり始めたからだと思います」
「インデス……ってあの"Infinite・Destiny・Answer・Online"かい?」
「はい。あの世界なら体の弱い『響』じゃなくってなんでも出来る『ヒビキ』になれるんです」
「そうかい。たしかに思う存分動ければストレスの解消にもなるし病は気からというからね。ウン、但しゲームのし過ぎはダメだからね響くん。ちょくちょく休憩を挟むんだよ?」
「は〜い」
「よろしい。じゃあ今日の検診は終わりだよ。帰り道は気をつけてね」
「ありがとうございました」
椅子に掛けられていた上着を手に取り、誠先生の病室から出るとすぐ外に沙知さんが待っていた。
「お疲れ様ですお嬢様」
「うん。待っててくれてありがとう沙知さん」
「いえ、これも従者たる私の務めですので」
「沙知さんがいてくれていつも助かってるからねー。私にとって沙知さんがお母さんでお姉ちゃんかも」
「お嬢様……!この斜陽沙知になんともったいないお言葉ッ!」
感極まった様子で涙ぐむ沙知さんに私は目を白黒させてしまう。
「ど、どしたの沙知さん……」
「いえ………改めてお嬢様に生涯をかけて仕えようと誓い直した次第でございます」
「壮大だね!?」
〜インデスログイン〜
「わーたーしがーキター!」
「テンション高いね桜子〜」
「常に元気よくが座右の銘ですからな〜───どしたの響!?」
「ハハハハ」
桜子の声には私は目をそらして、ジャッジメントが説明をした。
「マスターがログインした直後に鶏子がいきなり咥えたのよ」
「なるほど」
「いやー、行きたい方向を伝えると勝手に進んでくれるからもういいかなって」
「それもう諦めてない?」
だって私がログインした直後にコイツ咥えてきたんですもん。
もう言う気もありませんよ。
「それじゃあ行こうかー。鶏子アッチ」
「クエ〜」
全員集まったということで、いざ目的地へ。
「やっぱりぶら下がったままなのねマスター」
放っておいてください。そしてさっきからすれ違う人が必ず2度見するのがなかなかに苦痛なんです。
そして、要塞都市ラーガの出入口でもある門へ向かっていく。
ここの都市の建物は基本、石材で作られており、周りがモンスター達のいる森に囲まれているのか、武器や防具のお店に薬品系や素材買取の店に飲食店が多い。
それに、なにより冒険者の大地人やプレイヤーもよく見かける。
このクエストが終わったら色々てみて回るのも良さそうだ。
「いけー鶏子〜」
「コケッー!」
「シャァァァァア!?」
私の指示を聞いて鶏子は早速見つけたジャイアントスネークへ突撃していき、その鋭い鍵爪のついた両足で蹴りを放つと続けて尻尾の蛇が噛みつき毒を流し込む。
その様子を少し離れた場所から見て、私達はなんとも言えない顔になる。
「うひゃあ……鶏子強いねー」
「私たちの出番ないね〜」
「そういえば響って鶏子のステータス見た?」
「?モンスターってステータスあるの?」
「テイムしてあるモンスターは見れるんだよ?」
「知らんかった……」
ということでシステムからパーティー項目を開き、鶏子の名前をタッチしてステータスを開示。
名前:鶏子
種族:コカトリスキング(純竜級種族)
性別:雌
親:エル
主人:ヒビキ
レベル:99(25)
スキル:《鶏王の威光》《鶏王の咆哮》《鶏王の神威》《鶏王の羽毛》
装備アイテム:《騎乗王の鞍》
んんんんんんんん?
なぁにこれ………
「わぁ……鶏子ってば王様だったんだね!」
「通りで強いわけか……」
「鶏の王様ってなんというか……変なものね」
「コケッー!」
「シャガァッ──」
そしてとうの鶏子は相手のジャイアントスネークの頭を蹴り潰したところだった。
私と桜子の手元にリザルト画面が表示される。けど、テイムモンスターが倒すとその経験値とかはそのモンスターの持ち主に入るので桜子には少なめだ。
「えーと、これで4匹目だね」
「ほとんど鶏子がやっちゃってるけどねー」
「楽でいいわね本当に」
ジャッジメントがいつの間にか調達していたキャンプ椅子に座り、水筒に注がれていた冷たいハーブティーを飲みながら口からそう漏らし、私達もそれに頷いた。
そうしていると、鶏子は少しだけ身体を震わせ返り血を落として私たちの元へ戻ってきた。
「コッコッコ」
「お疲れ様鶏子。凄かったよ」
「クルル〜♪」
私が労いの言葉を投げかけると、鶏子は嬉しそうに私にその顔を擦りつけてきて、フワフワと柔らかい羽毛が触れてきてとても気持ちいい。………若干血なまぐさいけど。
「すっかり懐いたわねマスター」
「咥えるのはやめて欲しいんだけどね……「コケー!」──こんな風に」
「諦めなさい」
プラーンと子猫が親猫に運ばれる時のように鶏子に咥えられ、ジャッジメントの言葉にガックシと肩を落としてしまう。
──うわぁぁぁぁぁ…………
「コケッ?」
「どったの鶏子」
「コッコッコ。コケーコッコッコ!」
「ふむふむなるほど」
「え、響何言ってるかわかるの?」
「わからん!」
「あっちから悲鳴が聞こえたって言ってるわよこの子」
「「ジャッジメントさんすごい……」」
そんな特技あるなんて知らなかったよ。
とりあえず気を取り直し、一応気になるので向かうことにしたのだけれど。
「やっぱり咥えられたままなのね……」
「これもまた運命……なーんちゃって!」
「F〇ck」
「わー、ネイティブ……」
「鶏子あっちよ」
「クエ〜」
鞍に跨ったジャッジメントがペシペシと鶏子の頭を叩き、鶏子がひと鳴きすると程々の速さで走り始めた。
〜移動中〜
「クソッ、なんだコイツ!?」
「や、やめ───ギャァァ!」
「ジェイクー!グゥ!?」
「ガハッ!」
「ゲギャギャギャ!」
鬱蒼とした森の中、4人の大地人の冒険者パーティは突然現れたモンスターらしき存在にズタボロにやられていた。
そのモンスターは人のように手と足はあるのだが、人と言うにはあまりにも姿がかけはなれていた。
人間で言う両手の指には全て鋭くなんでも切ってしまいそうな刃になっており、身体中を黒い帯のようなもので巻かれて木乃伊のような姿なのだが、口元だけが露出されている。
しかし、その口にはギザギサと鋭い牙が乱雑に生え、ボタボタと涎が地面へと垂れている。
「クソがァ!」
そして冒険者の1人が異形へと切りかかる。
しかし、その攻撃は左手の爪の刃で防がれ、右手で胸の中心を貫かれる。
「ゴハッ……ぢぐじょう………」
「ゲハァ!」
口から血を零し、恨み言を漏らす大地人の首元にその異形はニチャリと笑うとその鋭い牙の生えた口で食らいついた。
「ゴッ、ガッゲッ、ゲベッ」
グチャグチャと嫌な音が鼓膜をふるわせ、その度に血が吹き出し地面を濡らしていく。
自分たちの仲間が喰われているというのに、冒険者たちは目の前の現実離れした光景に金縛りにあったかのように動けずにいた。
そして、仲間だったモノはただの肉塊へと変わり果て、口元を赤い血で濡らした化け物はニチャリと次の獲物へと狙いを定め腐った果実のように歪める。
「ヒ、ヒィィィィ!?」
1人が全員の心を代弁するかのように悲鳴をあげ武器を放り出し、一目散に逃げていく。だが、
「ゲ、ゲガガガガ……」
ボコボコと肉塊から変な音が聞こえ、ビュルリと何かがそこからかなりの速さで生えたかと思うと、真っ直ぐ逃げた冒険者の腹にナニかが突き刺さった。
「アッ……がぁ…………?」
パァン!続けて風船が割れるかのように冒険者の体が四散する。
赤い霧が周囲を漂い、残り2人になった冒険者たちは股間から汚い液体を垂らしガチガチと歯を鳴らす。
「ゲシャシャシャシャ」
肉塊から化け物の笑い声が聞こえ、そこからは新しい化け物が生まれた。
全身が木乃伊のように黒い帯で巻かれているのは同じだが、今度は四足歩行で背中からは鞭のような骨髄が生えていた。
今度こそ2人はそこから逃げ出した。
「ゲシャシャ」
「ギシシシ」
そしてそれを後ろから見ている異形2匹は楽しそうに笑い声を上げ、ゆっくりと歩き始めた。まるで、狩りを楽しむ狩人のように。
新しいおもちゃを見つけた子供のように。
──フフフフ。殺しなさい響。貴方がアナタであることを証明するために……
「ッ………」
ゾワリと首筋に撫でられたかのような感覚に私な顔を顰め、後ろを見るけれど何もいない。
なにもいないけど、何かいる。
「キャヒ……」
自然と口の形が歪む。
本能が目覚めてくる。
牙が研がれていく。
アア………コロシタイ。クライタイ。チヲミタイ。
──空間リソースを消費、使徒の尖兵を創造
──スキル『感染』『増殖』を付与
──優先目標P510329『ヒビキ』
──ARCANA NO.20《THE・JUDGMENT》の進化促成とP510329『ヒビキ』の負荷試験を開始します。
「キヒヒ、さぁてP510329よ。人の可能性を俺に見せてみろ」
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↑のはホンヘに関係あります。
えー、じわじわーと見てくれていただきありがとうございます。
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