下編 2
無事に家にたどり着き、ソフィアは心の底から安堵していた。一時は矢を受け死ぬ思いもしたが、それでも生きて再び家族に会わせてくれたカインには感謝しか無い。
だが心の隅には小さな不安が渦巻いていた。
カインが自分の前からある日突然消えてしまうのではないか。別れを告げて、樹海の底に再び戻ってもう会うこともないかもしれない。
今はまだ客間にいてくれている。でもそれは時間の問題かもしれない。
カインは家の者が寝静まった真夜中に、再びリカルドと面会をしていた。ソフィアの前で元婚約者の名前を出して怖がらせないよう、彼だけに会う手筈だった。
リカルドは近日中に国の騎士団長に就任するという重要な案件を控えていたが、それも今回の件に深く関係しているという。
「ソフィアの婚約者について、貴殿は聞いているのか」
落ち着いた様子で話すリカルドだったが、目は獣のようにギラギラとしていた。誰かの事を考え恨む目だ。カインはその目をよく知っていた。
今はその『ソフィアの元婚約者』について考えているのだろう。
「ソフィア様からは婚約者がいたということ、事務的な手紙で突如呼び出されたが屋敷には人一人すら居なかったということ。
この二点についての説明がありました」
「男はダン・エクレイアという名の、隣の領地の子爵だ。そしてエクレイアという性は君も覚えているだろうと思うが……今回退位する騎士団長は、ダンの兄にあたる。団長はずっと王都にいて、職務を全うしていた。なので今回の就任は俺にとっても不本意な結果だ」
「そうでしたか……先の戦争でのエクレイア団長の采配は見事でした。極めて優れた騎士であるあの方が退位されるのは不自然に感じていましたが」
「団長は弟の一方的かつ理不尽な婚約破棄に怒り、我が家への責任を感じている。自ら王に申し出て後任を俺に譲ると言ったそうだ。
……父も妹も気にしていないと何度も説得したが、団長の意思は固かった。そしてすぐに荷物をまとめて王都を離れてしまった」
リカルドはうなだれて視線を落とし、長く息を吐いた。
「……これは言うべきかどうか考えていたが、団長は何かを掴んでいるようだ。そうでなければ新しい団長への譲位や引き継ぎも済んでいない状態で王都を離れるなどという、無責任なことはなさらないだろう。
あの人のことだ、ダンとの何らかの接触があったかもしれない。
カイン殿、君に頼みたいことが出来てしまった。
君が賊から聞いたという『赤髪の女』と、団長の消息を探して欲しい」
リカルドはランプの仄暗い灯りに映るカインの表情を見ていた。しかし何を考え、どういう感情なのかは一切理解できない。金の髪と藤色の隻眼の男は兵士として『活用』されていた頃も全くの無表情で、今よりもっとくたびれた顔をしていたが、彼の周りはいつも森の中のように静謐だった。
これもまた治癒の力の片鱗であるということは今なら分かるが、戦場の疲れ切ってささくれた兵士の中ではとても浮いており、有り体に言うと不気味だった。
カインは残された右目を一つゆっくりと瞬かせ、静かに首を縦に振った。
「その依頼を受けましょう」
「……君には、本当にすまないことをした」
「そんなに気にする必要はありませんよ。自分が死にたくないからああやって戦っていただけですから。
それに調査や人探しの類はうまくやれる方ですから、必ずなにかの手がかりを持って戻ります」
「ありがとう、カイン殿……
俺はここを離れられないのだが、少し調べる事があるのでそちらにかかることにする」
「それは……俺の耳に入っても良いことですか?」
「ああ、少なくとも俺は貴殿を信用する。
ソフィアの容姿について、一つ気になる事がある」
「容姿……?」
カインは密かに首を傾げた。ソフィアの黒髪はこの国では少々珍しいが、父親であるバルドーメラ子爵の髪も黒い。瞳はよくありがちな夜のような藍色。四肢は……血まみれの時にしか見ていないが、異常など無かったと思った。
絶世の美女でもない、ただ貴族の令嬢というだけの、自分より他人をの命を優先するような損な性格をした、カインにとって可愛い女。
「カイン殿は、聖女の話はご存知だろうか」
「……あまり深くは」
「特別な力を持った聖女と、導き手という男が伝承には登場する。導き手とはその名の通り聖女を導き、ともに生涯の旅に身を捧げる存在のことだ」
カインは特に教養のある家庭では育っていないため、聖女が国にはびこる悪しき気を浄化したということしか知らなかった。
導き手というのは聖女のお供のような存在だろうか、リカルドの説明は簡素すぎて想像ができないでいた。
◇◇◇◇◇
ソフィアが久しぶりの自室で朝目を覚ますと、ベッドサイドにはカインがいた。
毎日見慣れた光景だったのでソフィアは大して驚きもなかったが、ぼんやりと、どうやってこの部屋に入ったのかは気になるところだった。
「……用が出来た。すこし外で仕事をしてくる。
またこの屋敷に戻ってお前に会いに来るから、心配はするな」
ものすごくザックリとした説明だったがそれはソフィアが一番恐れていた事態だ。布団から飛び起きてまっすぐカインを見つめる。
「ど、どこに行くの……?」
「仕事だから言えないが、人探しのようなものだな」
「それは、私に関係する人?」
一瞬隻眼が見開かれたが、すぐにいつもの凪のような表情に戻る。しかしソフィアはそれを見逃さなかった。
「私も行」
「また泥塗れで寝転がってたいのか?」
「…………」
「俺はごめんだな」
カインは嘆息混じりにそう言うと、自然なしぐさでソフィアの手を取り指先に唇で触れると、すぐに部屋の窓を開けて枠にひらりと乗り上げた。
朝陽に光るつややかな金糸が寝起きには眩しすぎて、ソフィアはクラクラした。
「2ヶ月以内には一旦戻る。お前の兄からも言われると思うが、俺が帰るまで単独で出歩くな。
じゃあな」
そして音もなく窓から消えた。
あまりに素早くナチュラルだったから思わず受け流すところだったが、ソフィアは手にキスされたことに遅れ馳せながら赤面した。
◇◇◇◇◇
ソフィアがカインに置いていかれて、早くも一月経っていた。
ソフィアは待つだけの時間は長いと思っていたが、兄のリカルドが騎士団長に就任したことで王都の夜会に出るための準備で忙殺されていた。
これからコルセットで胴体を締め付けられるという謎の拷問作業が待っているというだけで、ソフィアは今すぐにでも自宅に帰って山に行ったり図書室に籠城したくなったりした。
「ねえリリィ……本当にもう大丈夫なの?
馬車とか怖くありませんか?」
「それはそうですが……ソフィア様のお世話をしていた方が心が塞がないのですよ」
「まあ減らず口」
ソフィアを殺されたと思い心に傷を抱えて使用人寮で寝込んでいたリリィは、主が生きていたことを心の底から喜んで号泣した。
現在は職場復帰し、再びソフィアの侍女として奮闘している。
城の一室でギッチリと締められたコルセットの上にシンプルなドレスを身に着け、リリィは黒髪の付け毛で髪が短いことを何とか隠そうとソフィアの頭上で長いこと奮闘している。
座ると余計に息苦しく堪えるが、ソフィアは必死のリリィに幾分かの申し訳無さを感じ、やや汗ばみながら黙って座っていた。
「ソフィア様、ちょっとギリギリですが、馬車に忘れた不足分の付け毛を取りに行きます……」
「分かったわ、早くね」
「はいっ」
走るに近い速度でリリィは退室した。他の侍女達も何だかんだと出払い、慌ただしい廊下の様子をぼんやり眺めながら、座るに耐えきれなくなったソフィアはつっ立っていた。
他の令嬢達の侍女だろうか、様々な女性が廊下を右往左往している。元婚約者が夜会嫌いだったため社交デビュー以降こういった大々的な夜会への参加は控えていたため、こんな惨憺たる状態は久しぶりに見た。
白粉が崩れていないかを鏡で見ていると、背後でドアが閉じる音がした。
「リリィ、早かったわね……貴女は……」
「お久しぶり、ソフィア・バルドーメラ。
私の事を覚えていて下さるなんて光栄だわ。ねえダン?」
ソフィアにしてみれば一生会いたくないと思っていた真紅の髪の女が、ドアを後ろ手に閉じて立っている。
その隣にはいつの間にか元婚約者のダン・エクレイアがいた。消極的で派手な場が好きではない性格の彼が何故、呼ばれてもいない城の中にいるというのかあまりにも不可解だった。
逃げ場のない部屋には今彼らと自分しかいないという状態に、一切油断がならない。
ソフィアはコルセットで苦しい胸に無理やり息を押し込み、すっと吐き出した。それからすぐに能面のような貴族の顔を作り、ダンと女を睨む。
「なにかご用かしら? 私は貴方の名前もご存知ありませんけれど?
ダン様もどういうお積もりかしら? 私達は既に他人同士。即刻お引取りくださいませ」
「あら……子供のような可愛い顔をしてつれないのね。では来た目的をお話しましょう。
ソフィア・バルドーメラ、お前は今この場で『婚約者との痴情のもつれで惨殺されて、婚約者も自殺』される予定ですのよ。ねえダン?」
背筋が凍るような計画だが、すでにその手筈が整っているとでも言うかのように、ダンは懐に隠し持っていたナイフを取り出し、ソフィアに向けていた。
ソフィアはダンのその抑揚のないだらしない表情に違和感を覚えた。
しかしこんな些事では、ソフィアの貴族の仮面は揺るぎもしなかった。
「……まあ、随分と下品な計画ですこと。
ダン様、しっかりなさって? 何か仰ったらいかがかしら」
「ウフフ、ダンってば『私に見合うような男になりたい』って仰っていたから……
とても素敵なお薬を紹介しましたのよ」
「あらそう、大層なお話ですこと。
そのような世迷い言は私ではなく、城下の酒場でされてはいかがかしら? 刺激のあるお話に飢えてらっしゃいますもの。私は忙しいのでそのような話は間に合っておりますわ」
凛とした立ち居振る舞いを崩さぬまま、ソフィアは必死でこの場を切り抜ける方法を考えていた。
背後には窓しか無く、ここは3階なので落ちて生きていられる保証はない。
操り人形のようになっているダンがこちらの言うことを聞くことも無いだろう。
「チビのくせに、その度胸に免じて理由を教えてあげましょうか。
その目よ……
私は、その目を持つ人間を探していたわ。随分長いこと探したわ。勿論殺すためにね」
「……人違いではなくて? ただの藍の目の淑女などそこかしこにいらっしゃるわ」
女に注目を向けさせる作戦らしく、女は多弁に喋り、ナイフを両手で固く握ったままのダンはソフィアにじりじりと近づいてくる。
口元を扇子で覆いながら、ダンとの距離を取る。
「ありきたりな色ではないのよ。お前の藍の目には銀と金が砂粒のように混ざっている。
現世にただ一対の、『ラピスラズリの目』と呼ばれるものよ」
「…………」
さすがに毎日鏡を覗くソフィアにはその心当たりがあった。
ソフィアの目はありふれた藍色だが、瞳孔の周囲の虹彩には黄色のような白のような色が小さい粒として無数に点在している。
勿論その程度の色が目立つわけもなく、じっと見なければ気が付かないほどだ。
「ダンが教えてくれたの。彼は貴女の不思議な目に興味があって調べてたんですって。
私がラピスラズリを探していたと知って接触していらしたわ。まさか殺すつもりだなどとは思わなかったんでしょうけど?」
「……っ」
「最初は樹海で強盗に遭ったというシナリオだったんだけど、ほんとアイツら仕事が雑だったわね」
ダンはソフィアにナイフを突き出したまま突進してきたが、直線的すぎるその動きにさすがにソフィアも横に逸れて逃れた。
ヒールのある靴を捨て、裸足のまま部屋の壁まで走る。ドレス姿のせいで息は上がるし動きづらいしで散々だ。
「そう、淑女とは到底お呼び出来ない口調でのご説明どうもありがとう。
たかがそのような物の為に殺されてなどやるつもりなどありませんわ」
ソフィアは壁をつたいながら、何か防衛できそうな物をまさぐってはダンに投げつけたりした。
しかし正気を失っているダンは何が当たっても歩みを止めることはない。
「減らず口を叩けるのも今だけよ!
あのやたらと強い眼帯の護衛がお前の周りに居ないのは調査済みだ! 手間かけさせないでとっとと死」
「誰が居ないって?」
この部屋に一つしか無いドアが勢いよく開き、戸を背にしていた女は悲鳴を上げながら勢いよく体を背後にそらした。
のけぞる姿勢のまま廊下に引きずり込まれるのが、逃げ惑うソフィアの横目に映った。
「あ、あ……ああああああ!」
そこにダンがソフィアに突進してきたが、もう投げる物も見当たらず身を固くした。
「ダン! やめろ!」
低い声の大男が叫んで、ダンの襟首を掴み引き倒した。流れるようにナイフを蹴り飛ばし、腕を取って床に抑え込む。
ソフィアはその男に見覚えがあった。ダンの兄で元騎士団長のザイン・エクレイアだ。
気でも失ったのか、ダンは床に突っ伏したままぴくりとも動かなくなった。
一瞬にして室内は静まり返った。
◇◇◇◇◇
むかし、ある国に少年がいました。
少年は黒い髪に満点の星空のような藍色に星が浮かんだ目をしていました。少年はある日神様に導かれて旅に出ることになりました。
導きのまま進むと、少女と出会いました。神様は少女を『聖女』だと言いました。
少年は神様の導きに従い、聖女を連れ国中を旅しました。少年は何の才能もありませんでしたが聖女を心から敬愛していて、聖女はどんなに屈強な騎士から旅の同行を請われても少年を信じ、絶対に離れようとはしませんでした。
聖女が通ればその場所は邪気が払われ、踏んだ土は豊穣をもたらし、疲弊し傷ついた人々は癒やされ、やがて魔の者は国に踏み入ることすら出来なくなりました。
聖女が清らかにしたその国はついに人の国となり、千年の繁栄が約束されました。
「つまり、私は伝承に出る『導き手』という少年と、容姿が酷似している……ということでしょうか」
「そう、ラピスラズリの目は万に一つよりももっと稀有な虹彩なんだ。
そんな目を持った人間を生きて見られるなんて……と私は舞い上がってしまった」
ダンはベッドに体を横たえたまま、苦渋の表情でソフィアを見た。
ベッドサイドの椅子に座るソフィアの背後ではカインがダンを睨んでいる。
ダンは出処の分からない薬を投与され傀儡にされていた間の記憶が曖昧になっていたが、やった事は兄から説明されていた。
王都での騒動から一週間経った今もまだ体の震えが止まらず力も入らない状態で、屋敷の部屋から未だに一歩も出られていない。
「私はソフィア……君こそが『導き手』じゃないかと思っているんだ。
昔の文献にも度々聖女は記されていたが、導き手の事はあまり情報が無いんだ。でも明らかに重要な役割だよ」
「……でも、私には神のお導きは今の所ありませんし、聖女様にもお会いしてないので、なんとも……」
「それは……まだ分からない。でもそれほど稀有な目なんだ。それに導き手ともなれば私との婚約どころじゃなくなる。だから内々で調べていたんだ。
本当に、本当にごめんよソフィア……その髪も、殺されかけたことも、全ては私が……」
「悪いのは、あの女です!
貴方は罠に嵌められていいようにされ、今は薬の副作用で苦しんでいる。……早く良くなって、お兄様と共にお家を立て直すのが先決ですわよ!」
ソフィアは励ますようにダンの手をぎゅっと握った。
その背後でカインは心底不快といった顔をしている。
ダンはそんな二人を見て、弱々しく笑った。
「……本当に、大変なお人好しだなあ……」
「ダン様はとても頭がよく、伝承の研究をしていたんです。まさかそれが私に関連してあのような事態になるとは正直考えもしませんでしたが……」
ダンの家から戻る馬車の中、ソフィアは馬車の窓を開け馬上にいるカインと話している。
話していると言っても視線は合わせてもらえず、真っ赤になりながら横目でチラチラ見てくる仕草にカインは首を捻っていた。
「……どうした? 俺に何か付いてるのか?」
「い、いえ……なんでもありません……」
馬にも乗れるのね……
しかも乗馬してるだけで格好いいなんて……ちょっと理不尽ですわ……
という心の呟きは一切封殺された。
「女は魔の者の国、つまり隣国の間者だったそうだ。かなり眉栂だが、伝承にある聖女の復活を妨害する目論見だったらしい。
お前の兄いわく、ザイン殿は騎士団長を辞し行方知れずの弟を探していたそうだ。彼を見つけ出すのは思いの外早かった。だからお前は助かったが、お前が王都に行っていて結構危なかった。お前の兄が裏から手引きをしなければザイン殿と俺は城にも入れなかったからな」
人の国、魔の者の国。と、この国と隣国の俗称は異なるが、そこに住む国民は毛色や肌色以外に違いが見受けられない。だが隣国の者がこの国に入るのは難しい。体がこの国の空気を拒絶するそうだ。それは聖女の千年の浄化があるからだと言われているが、人として100年と生きないであろうソフィアには及びもつかない事だった。
それが薄れれば獣や魔の者と呼ばれる隣国の兵士が一気に押し寄せてくる。
先の戦争はそんな浄化の綻び突かれた事による侵略だった。運良く力で押し返す事に成功したが、年々力を増す隣国に唯一決定的に対抗できるのは、もはや聖女の護りの他にはない。
「聖女……」
導き手かもしれないと言われたソフィアは、聖女という不確かな存在に思いを馳せた。
ダンから得た情報によると、そこに存在するだけで空気が清らかとなり、土は毒素を抜かれ、人々は癒やされる。というとんでもない存在。
「……あら?」
そういえば……と思いながら、ソフィアはカインを真っ直ぐ見すえる。
カインの近くにいればいつも澄んだ森の匂いがして心地が良い。彼はソフィアの致命傷を難なく癒し、土……はよく分からないが、そういえば樹海の畑は森のなかなのに生き生きと育っていた。
「もしかして……」
「……おい、なんだ、どうした?」
「馬車を止めて! す、少しお休みしましょう!」
「は? どうした??」
ソフィアは急に御者に馬車を止めさせ、無理やり休憩にした。
慌ててカインは下馬し、心配そうに藤色の目でソフィアの顔を覗き込んだ。
「ソフィア……何かあったのか? どこか痛いのか? 体が辛いのか?」
「せ……聖女……」
「ん?」
「カインさんは聖女ですか!?!?」
「なわけねーだろ! 俺は男だ!!」
昼下がりの街道に、二人の声が響いていた。
◇◇◇◇◇
それから数年の後
金色の髪の、騎士の出で立ちをした青年と少女と見紛うあどけない黒髪の女性は長い旅をしていた。
騎士は妻を乗せた馬を引いて歩き、常に仲睦まじく初々しい夫婦の姿が各地で目撃されている。
夫はその姿に違わぬ強さで、魔獣や山賊を単騎で蹴散らすほどの強さで誰からも恐れられたが、妻は愛想が良かったが何の才もなく、しかし夫を誰よりも愛し信じていた。
そんな彼いわく、次の行き先は妻が勝手に適当に決めてしまうので、いつも困っているという。
二人が通り過ぎた後の道には、深淵なる森の匂いがしていた。
終わり
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最後までお読みいただきありがとうございました。




