The thought that I get in touch (つながる想い)
朝から、雨が降っている。英美里は窓から伝わる雨音を聞いていた。
8月も終わろうとしているのに、もう一週間以上続いている。
せっかくの休みなのに、とため息をついた。
流し台の窓を開けると、カバーのかかったバイクが見えた。
キャブまでかぶらなけりゃいいけど。
キャプはどうしても、雨の日は弱い。
湿気のエアーは点火しにくい。
豪雨なら、一度エンジンが止まると、かけるのに苦労する。
英美里は、軽く朝食を取ると、うっとうしい雨で、部屋に閉じ込められるのが嫌で、傘をさして外にでた。
数分も歩けば、バス停なのでバス停に向かって、中心部方面のバスに乗った。
佐世保のアーケードは、直線の長さでは日本一だそうだ。
雨の日の買い物には、向いている。
バスは、佐世保駅を過ぎて、アーケードの入り口付近で止まった。
英美里は、整理券とお金を入れると、バスを降りた。
アーケードの中に、入ると、ポテトの匂いとハンバーガーの匂いがした。
なぜか、子供のころからポテトとハンバーガーが大好きだった。
そういえば、妊娠中に母親が好んで食べたものが、子供の大好物になるらしい。
逆に、母親が嫌いなものは、子供も嫌いになるという研究結果が出ていたことを思い出した。
生みの親は、きっとポテトとハンバーガーが好きだったのだろう。
昼食は、ハンバーガーにしょうと思った。
アーケードのウインドショッピングを楽しみながら、だらだらと歩いた。
外は雨なのに、通行人はそんなことは気にしていないように歩いていた。
アーケードの路地に古着屋さんがあった。
英美里は、特に古着に抵抗があるわけではないので、学生時代から古着を着ていた。
今の時代にデザインもあり、人と違う感覚も味わえた。
店の中に入り、狭い店だったので一回りしてみた。
店のカウンター横の、マネキンが置かれてありコーディネートで、チェック柄のシャッツワンピースとオープントゥの赤いミュールサンダルがあった。
サイズを確認すると問題もない、生地も洗濯くたびれもなく、ミュールのかかとにも傷もなくきれいなルビーレッドの光沢があった。
「安くしとくよ、バブル時期のもんだし、どうせ 倉庫の奥にあったもんだよ。ほとんどの新品だよ」
と店のマダムは言った。
英美里は、自然にあたり前の様に、購入した。
ハンバーガーをとポテトとコーラのトレイをもって、みせの2階に上がって、ぱくつきながらアケードの人の流れを見ていた。
家族連れや、恋人たち、学生、軍人さんたちが、川の流れの様に動いていた。
女の子が、濡れたアーケードのタイルで滑ったのだろうか、こけてしまった。
すぐに、男の子が駆け寄ってきて、女の子をおこしてハンカチで汚れたところを拭いてあげていた。
そして、仲良くてを繋いで歩き出した。
英美里ははっとした。
どこかで、こんなことがあったような気がした。
ポシェットの中の携帯を取り出した。
ストラップの鈴がなった。
記憶がよみがえってきた。
野球帽を被った、男の子、アイスクリン、そして、鈴。
全部、夢で見た記憶だ。
そして、あの人、川端さんの別れた時に見得たような気がした、女の子と男の子。
なつかしい場所にいる。
そんな安心感に心が満たされていた。
英美里は、理解した。
きっと、母親や父親が見たであろう景色をいま、見ているのだと。
最近夢の中で、過去をさかのぼっている気がしていた。
だれかの、過去をさかのぼっている、そんな気がした。
いま、英美里は確信した。
それは、生みの母親の過去だと。
なぜだかわからないが、そう思えばすべてに理由がつく。
導かれたと思った。
ここ、佐世保に。
母は、ここにいる。
だから、いま自分がいると。
長らく書けませんでしたが、また書きます。プライベートでの苦労が多いです




