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短編集  作者: 安楽樹
【どこにでもある恋の話】
37/42

【vol.2】11.pay it forward.

pay it forward.


駅からの帰り道、俺は可愛いハニーの待つ自宅へと急いでいた。

外は軽く小雨が降っていたので、傘を持っていない人たちはみんな雨宿りをしていた。

でも俺はそんな事も気にせず、しとしとと雨に濡れながら川沿いの道を歩いた。

しばらく進むと、前に女の子が歩いている。よく見ると、どうやら裸足のようだった。

片手にはサンダルを持って。そしてその横をサラリーマンが足早に通り過ぎる。

その光景が何だかとてもやるせなかった俺は、少しだけ考えた後、横から声を掛けた。


「あの~、サンダル使えないんですか?」


声をかけられた女の子は、少しびっくりした後、答えた。


『え、何?何か用ですか?』

「いやあの、通りすがりの者だけど、もし良かったらこのサンダル使って」

『え?』

「俺うち近くだから」

『何で?何でそんな事するの?』

「いや裸足で歩くのは可哀想だなと思って」

『てゆーか傘持ってない?』

「あ~傘は無いなぁ」(は?)

『じゃあいいです、悪いし』

「そう?うち近くなの?」

『ホントは隣の駅でで降りる予定だったんだけど、乗り過ごしちゃって。でももうそんなに遠くないから。え?うちどこ?近くなの?』

「あぁ、すぐ近く。ここから歩いて5分ぐらいだし。だから大丈夫だよ」

『でも何で?何で私に声かけたの?……あ、分かった女の子と話したかったんでしょ!?』

「いやいや、そうじゃないって」

『うちに行けば傘ある?』

「え、あるけど……。傘買うお金とか無いの?」

『うん、無い。』(ここで携帯が鳴る)

「あ~、そうなんだ……。誰か迎えにきてもらえる人とかはいないの?」

『うん、いない。』

「そっか……、じゃあやっぱりこれ履きなよ」(サンダルを脱ぐ、そして地面に降りる)

『え、何で何で?女の子と話したいんでしょ?いいよいいって』(といいつつ足を伸ばしてサンダルを履く)

「それじゃ、気をつけてね」

『え、女の子と話したいんじゃないのぉ↑?そうでしょそうなんでしょ?』

「いやそうじゃないって。んじゃ」

『絶対そうでしょ。え?家に行けば傘あるんでしょ?』

「まぁあるけどねぇ……。傘買う金とか無いんだよね?」

『うん。……でもなんでこんな事するの?』

「何でって……、世の中には親切な人もいるって覚えときな?」

『ウソだ女の子と話したかったんでしょ?』

「あ~、何で女の子と話したかったわけじゃないかって言うとね、うちに女の子が待ってるから」

『……。』

「じゃあこれで傘でも買いな?お嬢さん」(500円渡す)

『あ、うん』

「うん、じゃあ気をつけてね」


そんな感じの出来事だった。

マジで家まで来られそうで怖かった。ちなみに可愛くなかった。サンクスでも教えてやればよかったかと思ったが、これ以上話すのはやばいと感じた。家まで靴下で歩きながら、ふつふつと笑いが込み上げて来る。なんだぁ~都会ってこえぇ~、送られ狼だよこえー後でTに電話しよ~都会でも出会いあるじゃんか~うわ~危なかったこええ~。


まあでも、うちに俺一人で顔が可愛かったら連れてきてただろうけどね。はは。


反省点/

「何でこんな事するの?」と言われたら、『世界を変えるため』と答えるべきだった。

最後に『3人の人を助けてあげる事』という条件を言い忘れた。



そして最後に、家に帰ってマリちゃんに報告した後の一言。


「……バカな男。」


以上。

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