【vol.2】12.三度目の正直
7/25
誰かが家で待っているというのは、とてもいい。
すごくいい。
「えへへ。」
……。ドアを開けた時の彼女は、いつも嬉しそうだ。
俺もつられて微笑してしまった。
一日中H。
雨のおかげでどこにも行く気がしなくなってしまったからだ。
でも俺にとってはその方が助かった。これでゆっくり寝れるからだ。
……と思っていたのだが。
「決めた。今日は飽きるまでHする」
なんて台詞を聞いて、俺のフェルナンデス(改名)→ハリーポッターは大ピンチを迎える事となった……。
*
別離。
別れ。
さよなら。
東京駅まで見送りに行く。
電車の中では、いつもの二人だった。
何も変わらない。……何も変わっていない。
彼女が乗るバスが来た。
……隣で佇む彼女を、少しだけ促す。
彼女は俺にしがみつき、少しだけ泣いた。
人目も気にせず、軽くキスをすると、
「バイバイ。」
それだけ言って、彼女は振り返らずにバスに乗り込んだ。
俺はその後ろ姿をじっと見ていた。
……いなくなってからも、ずっと見ていた。
……。
彼女の姿は、もうそこにはない。
俺は空を見上げた。
それが別れの印とでも言うように、夜空には月が輝いていた。
?/? 三度目の……
……いや、さすがにそれはもうないだろうな。
今でも相変わらず彼女は、自由に遊んで暮らしている。
僕には出来ないその生き方が、少し羨ましくも思えた。
気を使わない相手の心地良さを、彼女に教えてもらった。
あのおせっかいとも言える無邪気なまでの愛情を、どうかずっと失わないでいて欲しいと思う。




