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短編集  作者: 安楽樹
【どこにでもある恋の話】
38/42

【vol.2】12.三度目の正直

7/25


誰かが家で待っているというのは、とてもいい。

すごくいい。

「えへへ。」

……。ドアを開けた時の彼女は、いつも嬉しそうだ。

俺もつられて微笑してしまった。


一日中H。

雨のおかげでどこにも行く気がしなくなってしまったからだ。

でも俺にとってはその方が助かった。これでゆっくり寝れるからだ。

……と思っていたのだが。

「決めた。今日は飽きるまでHする」

なんて台詞を聞いて、俺のフェルナンデス(改名)→ハリーポッターは大ピンチを迎える事となった……。



別離。

別れ。

さよなら。


東京駅まで見送りに行く。

電車の中では、いつもの二人だった。

何も変わらない。……何も変わっていない。


彼女が乗るバスが来た。

……隣で佇む彼女を、少しだけ促す。

彼女は俺にしがみつき、少しだけ泣いた。

人目も気にせず、軽くキスをすると、


「バイバイ。」


それだけ言って、彼女は振り返らずにバスに乗り込んだ。

俺はその後ろ姿をじっと見ていた。

……いなくなってからも、ずっと見ていた。


……。

彼女の姿は、もうそこにはない。

俺は空を見上げた。


それが別れの印とでも言うように、夜空には月が輝いていた。



?/? 三度目の……


……いや、さすがにそれはもうないだろうな。



今でも相変わらず彼女は、自由に遊んで暮らしている。

僕には出来ないその生き方が、少し羨ましくも思えた。

気を使わない相手の心地良さを、彼女に教えてもらった。


あのおせっかいとも言える無邪気なまでの愛情を、どうかずっと失わないでいて欲しいと思う。

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