人生ではじめての!
蒼井林檎です。
魔法少女アップルやってます。
県庁で、お仕事しています。
離れの小屋で仕事しているので、トイレとかでいちいち外に出ないとダメなの。
面倒だけど、仕方ない。
ふと隣接する女子校の方を見た。
今日は、学校見学会かな。親御さんつれた生徒さん達がいる。
あれっ!
あれ、千葉さん?
数人の凄い美少女達に囲まれて、なんか締まりのない笑顔。
……魔法少女引退の決意が……
正直揺らいじゃうな。
さっきチェリーさんの妖精で、職員の山形サクラさんに、千葉さん情報もらって、引退の決意固めたのに…
まぁ、千葉さんが童貞捨てても良いとなっても、私を相手にしてくれるかは、また別の問題なんだけど……
あれ、千葉さん!私に気付いて美少女達からスッと離れる。
ん、私に気付いて離れた?
やましい気持ちあるのかな?
なんか、覚醒したペアーちゃんに対する目線や、お尻触ったりしてるし……
引退が伸びたかな?コレっ!
……あれっ!ん?
私に気付いて?
もしかして、千葉さんっ。
私を意識してくれているの?
……まさかねっ!
でも、ワンチャンあるかな。コレっ!
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蒼井さんを見て、反射的にみんなから離れた。
莉乃に先に帰っておくように言ってから、県庁に入る。
「こんにちは。蒼井さん。」
挨拶は大事。いつも莉乃に言ってること。
「千葉さん。今日は有給だったのでは?」
蒼井さん。どこかよそよそしい。
俺が中高生に囲まれて、ヘラヘラしてたの見られたか…
でも、しゃーないやん。
あんな可愛い子達に囲まれたら嬉しいって。
モテたこと無いんだから、今回くらい良いじゃん!
とはいえ、蒼井さんには嫌われたくないな。
「いやー、娘の進学先の見学に来たんだけどね。」
「なんか、可愛い子達に囲まれて、モテモテでしたね。」
ん、なんかトゲがある言い方?
「まぁ、小学校とか幼稚園の頃から知ってる子達だから…」
だから何って感じか。どう言えばいいんだろう。
「ふーん。で、千葉さんはそんな子達が良いと…」
うーん。やはりトゲあるよね。
……勘違いだったら死んじゃうけど。
妬いてるの?
だとしたら。だとしたら。だとしたら。
もしかして、イケる?
まさかね。こんな美人で若いコが、俺なんか相手にしてくれるはず無いよね!
「いや、せめて成人してないと……」
そうだよ。成人してないとだよ。うん、良い言い訳だ。
蒼井さん?ちょっと考えてる?
「成人………」
どのくらい時間がたったのだろう。蒼井さんがこちらをまっすぐに見てきた。
「私。今日、誕生日なんです。」
「えっ、そうなんだ。おめでとう!」
ん、何の話だ。
「二十歳になるんです。成人するんですっ!だからっ」
この流れで、二十歳アピール?
こ、これはっ!
イケる。イケるぞエイスケ!
「ちょっと、待って!」
勘違いなら、死んじゃうけど…
いや、もう、死んでもイイや。
「今日、仕事終わったら、二人で誕生日の祝いしようか?」
蒼井さんの表情が、分かりやすく明るくなる。
「本当ですか?良いんですか?二人でって勘違いしちゃいますよ!」
「蒼井さんが良かったらなんだけど……勘違いじゃないよ。」
蒼井さんの手をとる。握り返してくれた。
良かった、イヤじゃないんだ。
「アップルさんとチェリーとしてだけど、一緒に戦って、凄く安心だった。蒼井さんとなら、…蒼井さんとなら……」
こういう時、何て言うのか?経験値無いからわからん。
「千葉さん?大丈夫です。私も……」
そっか、蒼井さんも処女で馴れてないよね。
「「好きっ!」」
絞りだした声は、被ってしまった…
「ふふふっ。リンゴって呼んで下さい。」
あ、蒼井さん。笑ってくれた。
「はははっ。俺は、エイスケだから…ま、でも、何でも良いや」
俺も笑った。
その夜、ちょっと奮発したレストランでディナーをご馳走して、誕生日を祝い。お互いの気持ちを確かめあった。
人生で初めての彼女ができましたっ!
とはいえ、上手く手も繋げずに、この夜はお開きになりました。
今後の展開?
…う、そんなのわからんよ。手を繋いだり、キスするタイミングとか。
誰か教えて!
でも、帰り際
「おやすみ、リンゴっ!」
って、初めて名前で呼んだら嬉しそうだった。正解だったらしい。
コレ何の話だっけ?
魔法少女をめぐる父娘の物語ですっ!
のはずです。
たまには早朝更新っ!
読んで頂き、ありがとうございます。




