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scene15 コンテスト① 予選

挿絵(By みてみん)


新宿、某所─────




コンテスト当日。

強い日差しに刃向かうように、人の流れも活発だ。ビルとビルとの間からは、差し込んでくる日差しと、人が行き交う影が交差する。


トニー事務所のビルから近いイベント会場で、コンテストは行われる。


さすがのトニー事務所の監修だけあって、小さな雑誌のモデルコンテストなのに、観衆は会場に入りきらない程集まっていた。


コンテストが終わった後に行われる「輪廻 ─ロンド─」というトニー事務所所属人気グループのイベントも控えており、きっとそれが目当ての人達が多いように思われた。


そのほとんどは女性で、10代か20代の女性で占められていた。


コンテストに出るユウとヤマトとは別行動で、私はこの会場に到着した。



頑張って…!

2人とも!



整理券を持って並んでいると、ふと声をかけられた。


「サオリちゃんじゃない?」


振り返ると、見たことのある女性が立っていた。


「アキちゃん!どうしてここに!?」


やや切れ長の目に、小顔でシャープな顔の輪郭。

可愛いというより綺麗という形容が合っているその女性は、学校で1番キレイと評判のアキちゃんだった。


「え?いや…クラスの男子がコンテストに出るっていうから応援しに来たんだよ」


明らかに動揺した様子だった。

アキちゃんとは同じクラスだから、リュウジではなく、ユウかヤマトを見に来たに違いない。


どっちだろう…?


そういえば、リュウジは面接受かったんだっけ…?


「サオリちゃんもユウくんとヤマトくんを見に来たの?」


「そうだよ!どっちも優勝してほしいね!」


しばらく、女子トークで盛り上がった。

アキちゃんとは同じクラスだけれど、クラスで話したことはあまりなかった。


アキちゃんはどちらかというと、おしとやかで、大人しいグループと一緒にいることが多かった。

外見はずば抜けてキレイなのに、その性格から、異性の影はまるでなかった。



*******


会場内に案内され、アキちゃんと始まるのを待っていた。


開始時間に近づくと、司会のような人物が登場し、イベントの案内をし出した。


「本日は暑い中、ご来場頂きありがとうございます!未来のモデルスターを決める本日は、投票する皆さんにとっても重要な日となるでしょう!」


イベント内容としては、エントリーナンバー順に、それぞれ用意された衣装を来たモデルがウォーキングパフォーマンスするということだった。


衣装は1人3着。


2着目までは予選。

2着目が終わった時点でその場で投票し、残ったモデルで3着目を着て後日ネット投票。

3着目のみ、ネットでも公表される。


つまり、まずはこの会場で投票される予選を勝ち抜かないと、ネット投票まで進まないのだ!


用意された衣装を、本人達が選べるのかどうかは不明だけれど、本人達が競うところは、ウォーキングや表情、雰囲気、外見…その人そのものを出せるかどうかだと思われた────




急に音楽が変わったかと思うと、突然にイベントが開始された!



エントリーナンバー1番のモデルが、舞台に現れ、ウォーキングをする。


ステージ脇から登場し、歩いてセンターへ来てパフォーマンス。ステージ反対側の脇まで行ってターンしてさらにセンターへ戻ってパフォーマンス、そして退場。


大体1分弱の短い時間のパフォーマンス。


短い…!

こんな短いパフォーマンスで、良いか悪いかなんて誰が判断できるのだろう。



エントリーナンバー1番のモデルは、20代前半に見えた。


黒いシックな衣装に身を包み、歩き方から顔の表情まで、ファッションモデルそのものだった。


他の出場者も、それなりに準備してきたのか、全員素人のはずなのに、素人には見えない緊張感のようなものが伝わってきた。


「みんなカッコイイ人ばかりだね」


アキちゃんは隣りで心配そうに呟いた。


全員イケメンで、そんなに大差ないように見えた。

きっと他の人から見たら、ユウもヤマトもリュウジも、たった1分弱のパフォーマンスでは同じように見えるに違いない。



違うように見せるとしたら────



ユウ、頑張って…!!



祈るような気持ちで、ユウの順番が来るのを待っていた。

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