ベラドンナの暗躍
※エリスちゃん→イリスちゃん。修正しました<(_ _)>
―――私はベラドンナ。愛する妹フィアのため馬に跨り、ひとり吸血鬼の土地へとやってきたわ。そして市民会館に乗り込んだところ、なんとそこにローゼンクロス辺境伯さまがいらして。私がついつい誰だか知らずに肩をぐわしりっと握り込んでしまったせいで、ローゼンクロス辺境伯さまが女性アレルギーを発症して倒れてしまったの。
暫くするとローゼンクロス辺境伯さまの弟君であるゼンさまが来られて、治療をされて暫く医務室でお休みになることになったの。
その間、ゼンさまに私とおじいちゃんたちが事情を聞かれたのだけど。私ったらついつい熱くなっちゃって。
「だから!私の妹はどうなるって言うの!?そう言えば妹が言っていたの!私の初恋のひとは、ブリックウォール辺境伯のパーティーでカイムバカ殿下から助けてくれた吸血鬼の男の子だって!ダークブラウンの髪色に赤い瞳を持つ男の子。けれどフィアは貴族!貴族令嬢!貴族令嬢として望まぬ結婚だってしなくちゃならない!でも、2度も婚約破棄された挙句逃げ道が狂血王子しかいなくて、それも拒否されて、最初の婚約者のカイムバカ王子に逆戻りってあんまりじゃない!それよりは、運命の出会いを捻出できないかしら!もし、あなたたちがダメなら、あなたたちに嫁いだ後に私がお嫁にもらうわよっ!!」
※なお、この小説の舞台となる世界では、同性婚兄弟姉妹婚は認められておりません。
※あくまでも比喩です。比喩。ただのシスコンです。
「お話はよくわかりました。ベラドンナ夫人」
金茶色の髪にオレンジ色の瞳を持つ爽やか系青年はそう、頷いた。
「まぁ、長老たちの言葉を兄上が呑んだのでしたら、縁談は本決まりになるでしょうね」
「うぅっ!フィア!待っててね!何があってもお姉さまはお姉さまだからっ!何かあったら必ずお嫁にもらうから!」
「いえ、ベラドンナ夫人。兄弟の誰が婚約者を迎えることになろうとも縁談を受ければ、吸血鬼はそんな簡単に手放したりしませんよ」
「兄弟の誰がって、その噂のセシナさまじゃないのかしら」
「まぁ、最終的には本人の気持ち次第ですけどね。でも、兄弟たちの中では同い年のセシナくんが一番の候補ですね」
「私は、セシナさまに賭ける!」
「じゃぁ、わしも」
「わしもじゃ~」
「・・・ウチの弟で賭け事やめてくれませんか。ご長老方とベラドンナ夫人」
―――その後、私の元にお父さまから手紙が届いたわ。
フィアが無事セシナさまとの婚約を結び、セシナさま自らフィアを迎えに行ってくれたって。ふぅ、やはり私の見立ては最高だったわね。
「どうして、どうしてよ!?何でフィアナが吸血鬼と結婚するのよ!ずるいわ!相手があのセシナだからって、それでも周りは美形のお兄さま揃いじゃない~~~っ!」
と、私のかわいい義妹のイリスちゃんが騒ぎ出したので。
「そう。わかったわ。実は先日出会ったローゼンクロス辺境伯家のゼンさまとは個人的に文通をしているの。今のイリスちゃんの言葉も伝えておくわね」
「ちょっ、お義姉さま!?いつの間にあのご兄弟たちと個人的に文通を!?どうか私を紹介してください!」
「縁談を断られたのにみっともなくてよ、イリスちゃん」
「け、けど、あのフィアナがセシナとは言え美形揃いの吸血鬼に嫁ぐなんてっ!」
「あらぁ、私のかわいいかわいいフィアがなぁに?“あのフィア”ってどう言うフィア?お義姉さまに聞かせて頂戴な?ねぇ、イリスちゃん。実は今年のふれあい合同演習の人質役がまだ決まっていなくて困っているそうなのよ。だからゼンさまに是非イリスちゃんをと推薦するつもりなの。辺境伯令嬢として、常に危機管理を怠ってはいけないものね」
「あぶぶぶぶ・・・っ」
イリスちゃんがまた昔のトラウマを思い出したところで、その後のことはメイドに任せ私は屋敷の伝令係に手紙を渡しに行くことにしたわ。
―――フィアの新たな門出に祝福を。
そして、王城での勤務を辞し、領地にお帰りになると言う両親と兄妹たちのことを楽しみに待つと。
でも、でもねぇ。まさかソフィの婚約者が余所に子どもを作ってソフィとの婚約が解消になり、更にはフィアや両親、兄の目の前でローゼンクロス辺境伯家の次男・ルシウスさまに取り入ろうとしただなんて醜聞を聞くとは思わなかったわ。これは夫に断りを入れて、私も出迎えの準備をするためフローリア公爵領に向かおうかしら。




