ー01ー「アリス」
うららかな春。
職員室の横、カウンセリングルームの横にある物置場の扉に掛けられたO・Tのプレート。
「だぁーかぁーら!!折角こうやって部活作ったんだから、私達も入部者確保しないと!」
扉を開ければ、そこには積み上げられた教材の山。
「そーゆうても有李栖、こないなポスターやと部員なんざ誰も来おへんで?」
「なにおー!これでも頑張った方だよっ!」
彼女はこの部活、お助け団(通称O・T団)の団長、御神楽有李栖である。
「でもなぁ……これ、誰や?」
団長、アリスの前でピラピラと紙を揺らす少年は、O・T団の団員メンバー、新居坂和美。
「っちゅーか、これがホンマに人ゆうんか?」
「人だよ!黒いのが和美で、茶色のが私!」
紙に描かれた絵は、まるで幼稚園児が描いたかのような低レベルの絵。
もはや人とは呼べない、未知の生物にカズミははぁっとため息をつく。
「有李栖、紙貸しィ。オレが描いたるわ」
アリスから紙をふんだくり、腰のポケットから色鮮やかなペンを取り出す。
カズミは小さく鼻歌を歌いながら、サラサラと紙の上にペンを躍らせた。
その間、僅か3分程。
「――ん。でけた」
カズミがペンを腰ポケットに戻すと、アリスの手に紙を返す。
そこには元気そうに笑うアリスが、「貴方のお悩み、私達がお助けします!」と言っていた。
「すっごい!本物そっくりだぁ!」
「ふふん、オレの手にかかればどんな不細工でも綺麗なお嬢さんにできるでェ」
「不細工って私のこと!?」
「知るかいな。ホレ、行くで」
カズミはアリスの手を取り、物置場を出る。
「えっちょ、どこいくの!?」
「決まっとるやろうが、ポスターの貼りだしや」
廊下に飛び出した二人は、高校のエントランスに向かって駆け出した。




