13話 隣国の歴史
今日の放課後は、いつもの生徒会室でなく、学園内の図書館に向かった。
この学園はこの国、フォルテ王国の中では、一番大きく、歴史も長い。
そのため、図書館には、無数の本や資料が存在する。
「なんで急に図書館に来たんだ?」
一緒に連れてきたシアンが、そう聞いた。
「隣国に行く前に、わかることだけでも調べておこうかなって。あっちの国も、かなり大きい国だからね。」
「ああ、そういやそうだったな。つーか、それなら俺別に来なくてよかったんじゃねーの。」
シアンは不満そうに言った。
「一応ね。今回は俺しか行かないけど、シアンも第二王子の側近なんだから、行くタイミングはどこかであるだろうし。何より、シアンは、連れてこられないと絶対自分で来ないでしょ、図書館なんて。」
「それはそうだな。わからねぇことは聞けばいいし。」
しばらくフラフラと、図書館内を歩き回ってみたけど、大きさの割にそんなに来てる人数が多くないから、気楽でよかった。
また、落ち着きたい時に来ようかな。
なんて考えながら歩いていると、他国に関する本がある場所に辿り着いた。
「あった。ジュラータ王国。これだね。」
「お前が調べるっつーと、普通教えられねぇような細けぇとこだろ。」
「そうだね。じゃあシアン、ジュラータ王国の現王の名前は?」
シアンに、思いつきでクイズを出してみる。
「ザフィール・ヴァーチェ・ジュラータ」
「正解。じゃあ、先々代の王の名前は?」
「リヴェン・ヴァーチェ・ジュラータ……だったか。暴君だったっていう。」
「だね。その頃のジュラータ王国に滅ぼされた国もあるらしいからね。ちなみに、滅ぼされた国の中でも有名だったのは?」
「さすがにそんな細けぇことまで知らねぇよ。知ってんのは、実の息子が殺して止めたってとこまでだ。」
「確かにね。普通、覚える必要も無いしね。まあ、一応言っておくと、アンクライヴ王国。大きな国だったんだけど、世代交代してすぐだったから、まだ国が安定しきってなかったみたい。」
「なるほどな。先々代つっても、恨みは買ってそうな話だな。」
「今でも他国からの暗殺者とかが見つかったりしてるらしいから、実際そうだろうね。この国とジュラータ王国は、割と関係が良いみたいだけど。それも、あっちの国王が変わる前の話だからね。今回が重要そうなところはあるんだよね。」
「めんどくさそうな話だな。頑張れよ。」
「シアンこそね。アルシャリオも俺もカルディア様もいないんだから。」
「……まあ、他が有能だから、何とかなるだろ。」
「一般から見たら、シアンも有能の方に入ると思うけどね?」
シアンはめんどくさそうな顔をしながら、目を逸らした。
「まあ、なんかあったら言えよ。隣国ぐらいの距離なら、魔法での通信もできるだろうしな。」
「そうだね。一緒に行く人達は、優秀な人ばかりだから、大丈夫だと思うけど。……すこし不安なのは確かだね。」
「……珍しく、素直だな。」
「まだ人との関わり方なんて、よくわかんないし。前世で避けてきた代償かな。この世界でも、ずっとシアンは一緒だったし。」
自分で言って気づいたけれど、シアンとここまで離れるのは、初めてのことかもしれない。
不安なのは、それもあるんだろうな。
「……不安になってるくらいがいいんじゃねぇの。ちゃんと向き合おうとしてるから、そう思うんだろ。」
「……そうだね。ありがとうシアン。」
そう言って、俺たちは図書館を後にした。




