表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/71

26話 呪い

……どうなるかな。


ラクト子爵令嬢は、聖女の力に目覚めてから、まだ、そこまでの日数が経っていないのもあって、完全ではない。


かと言って、治せないものも、珍しいと思うけど。


しばらくすると、光が収まり、ラクト子爵令嬢が顔を上げた。


「どう、だ?」


第一王子が、ラクト子爵令嬢に声をかける。


「……ごめんなさい。ダメ、でした。」


ラクト子爵令嬢が、か細い声で、そう言った。


……本当にまずいことになってきたね。


「戻ったぞ!」


すると、レステート公爵令息とマギア伯爵令息が、戻ってきた。


「失礼します。」


医師が、そう言って第二王子に近づく。


「第二王子殿下の容態ですが、先程から、そこまで変わりはありません。ですが、ラクト子爵令嬢の力が、効いていないようです。」


簡潔に状況を伝える。


「聖女様の御力を持ってしても、ということですか。」


医師が呟いた。


「とりあえず、殿下を寝かせよう。」


レステート公爵令息の言葉に頷き、ひとまず、第二王子を移動させた。


「……現状として、私から、お伝えできるのは、確実な原因が、わからない、ということだけです。」


もう一度、第二王子殿下の様子を見ていた医師が、言った。


「そうか。」


第一王子が呟いた。


……あまり、こんな第一王子は、見たことがない。


どんな時にも、冷静で、私情を持ち込まない、そんな印象が強かったからかな。


弟だけど、母親は違うし、王位継承権を争う仲でもあるはずなのに、普段は、他の人と、平等に扱うのに。


それだけに、今の第一王子は、いつもとは、別人のように思えてしまう。


「みんな、迷惑をかけた。本来ならば、俺が仕切るべきだったのに。自分のやるべきことを、見失ってしまっていた。」


「だな。それはそうだ。」


レステート公爵令息が言う。


王子相手でも、はっきり言うよな、この人。……いや、第一王子が相手、ってとこもあるのかな、これは。


「第一王子殿下、反省は後になさったらどうですか?今は、反省よりも、第二王子の方が重要だと思うのですが。」


悪いけど、はっきり言わないと進まないしね。


「……そうだな、すまない、リュシオンの言う通りだ。今はフォーリアスを一刻も早く治す方法を考えなければ。」


「はい。ところで、医師の方、先程、確実な原因とおっしゃいましたが、可能性としては、具体的にどういったものがあるのですか?」


多分、そういう意味だと思うんだけどな。


「ああ、はい、そうですね。……私としては、何者かによってかけられた、呪い、という線が濃厚だと思います。未知の病気や物質でも、聖女様の力で治せない、ということは、考えにくいので。」


なるほどね、呪い、か。


「呪いは、聖女様の力で無理やり解くってことはできねぇのか?」


レステート公爵令息の問に、医師が答える。


「呪いは、何らかの代償を支払ってかけるものであるから、できないことはないと思いますが、聖女様にどんな影響が出るかは予想できませんし、それで本当に呪いが解けるかどうかも、わかりません。」


「それでは、呪いの術者を探さなければならないのだな。」


第一王子のつぶやきにシアンが言う。


「呪い、ということは闇魔法ですよね。これほど高度な闇魔法が、使える人物など、限られていそうですけど?」


「いや、属性魔法の適性を、王城に知らせる義務はあるが、熟練度までは、わからない。それに、魔道具による呪いだった場合、それを作った人間は、見つけられても、使った人間は見つけられない可能性がある。」


「そうなのですね。そもそも、なぜ、第二王子殿下は、呪いをかけられたんでしょう。」


ふと、サフィーが言い、ラクト子爵令嬢が、それに続いた。


「……たしかに、犯人の動機も、どこでそれをかけられたのかも、わかっていませんよね。」


みんな難しい顔をして、場が、静まり返った。


その時だった。


「……ふつ、ま。」


第二王子が、うめくように、呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ