21話 決心
それから数週間ほど経って、サフィーとラクト子爵令嬢の場をつくることができた。
ただ、実は、割と大変だった。
王子たちには、一応概要だけ話したけど、二人が集まる場に連れてきたくはなかったから、上手く説得したり。
サロンを予約するにも、一番人目に付きにくい所を調べたり。
それぞれが、表立って話すことができないようなものだから、予定合わせが一番大変だった。
情報操作のデメリットがこんなふうに出てくるとは……
まあ、それでなんやかんやありつつ、とりあえず、ここまでは上手くいった。
「サフィー、迎えに来たよ。」
前に会った場所で、待っているように言ったので、その場所まで、俺は、サフィーを迎えに来た。
ちなみにシアンは、ラクト子爵令嬢を迎えに行っている。
「あ、シオ!」
思っていたより、落ち着いていそう。
ラクト子爵令嬢と話すのは、久々だし、前回会ったのがあれだから、もっと緊張してるかと思ったんだけど。
「思ったより、大丈夫そうだね?」
「そうだね……私がやるって決めて、シオたちにここまでしてもらったんだから、怯えている場合じゃない、と思ったの。」
サフィーは、珍しく真剣な顔をして、言った。
「……そっか。」
サフィーも、自分なりに覚悟を決めてきたのだろう。
ラクト子爵令嬢の心情は、既に知っているから、心配する必要はないのだけれど。俺が、それを伝えるのは、さすがに無粋だろう。
それに、サフィーもこの様子なら、大丈夫だろうし。
「じゃあ、行こっか。」
気配を無くす魔法を、自分と、サフィーにかける。
「わっ、なにこれ?魔法?」
「うん。俺は、空間魔法は、そこまで得意な訳じゃないから、ちょっと、歩いていくよ。」
「わかった!……でも、そういえば、私を助けてくれた時は、空間魔法を使ったんだよね?」
「そうだね。あの時は、ちょっと距離もあったから、空間魔法の方が確実だったんだよね。シアン……俺の双子の兄なら、もっと速くできるんだけど。」
シアンは、空間魔法に関しては、天才だ。
本来、空間魔法は、大量の魔力を消費して使用する魔法だ。
だから、代わりに魔道具や、魔法陣が作られている。
でも、シアンは、不思議と、空間魔法による魔力消費が極端に少ない。
それに、展開の速度が異様に速い。
特に練習もなしに、初めて使った時からこれなんだから、面白い。
「へー。そういえば、会ったことないんだよね、パーシアン・ノルディック様。」
「今日は、シアンがラクト子爵令嬢を連れてくる予定だから、サフィーも会えるよ。」
俺とシアンは、王子の側近だから、積極的に王子たちと関わりに来る令嬢ぐらいしか会わないもんね。
サフィーたちは、そんなに王子たちに興味があるように見えなかったし。
そんな話をしていると。
「サフィー、着いたよ。」
「ありがとう!スフィアたちは、もういるかな?」
「たぶんね。」
今は、サフィーとラクト子爵令嬢が、一緒にいられるように、サポートに専念しよう。




