13話 出会い
使用人に出かけてくることを伝え、侯爵邸の外に出た。
まず、どこ行こうかな。植物園とかブドウ畑なら近いみたいだけど、人いそうだしな。
さすがに一人だけで護衛もなしに、領民の人たちに会うのはダメだろうし。
貴族の子供が一人でいたら、混乱させちゃいそうだし、危険もあるだろうしね。さすがにやめとこ。
あっちの方に湖があるんだっけ。林の中にあって、ここからじゃあまり見えないけど。手入れはされているけど、基本的にあまり人が立ち寄らない場所らしい。
「一人で行くにはちょうどいいかも。」
そして、俺は林の方へ行ってみることにした。
そこは、本当に人がいない様子だった。侯爵邸や平民街からもすこし離れているし、わざわざ来るようなところじゃないんだろう。
でも今の俺には都合がいい。
林に入ってすこし歩くと、湖が見えてきた。
「……綺麗。」
思わず目を奪われた。
湖や湖を縁取るように並ぶ花々を、日光が照らしている。
これは、当たりだね。むしろ、来なきゃもったいないぐらいの場所だ。
ちょうどいい場所にあった木の影に座る。
……何となく思い立って、湖の水を宙に浮かせ、音符や動物などの形を作って、動かしてみる。
魔法の繊細なコントロールのためによくやらされた、水の属性魔法の一種だ。
その水を動物や音符の形に変えて動かしてみる。
……なんか子供のあそびって感じだな。
まるで前世で見た子供向けのミュージカルのようにも感じてくる。
穏やかに吹く風が、葉や花を揺らす。
宙を駆け回る水の馬が、心なしか喜んでいるように見える。
割と楽しいな、これ。
魔法や魔法によって干渉したものは、基本的に感情を持たない。
でも、その魔法の術者の感情を写したような動きをすることはある。
俺はあまり自分の感情を、信頼していない人間に見せるのが好きではない。
だけど、こうやって俺の代わりに、魔法が感情表現をするのはあまり不快だとは感じない。
魔法を使うのに夢中になっていたとき、不意に人の気配を感じた。
「これ……あなたがやってるの!?」
やべ、油断してた。
声の方を見ると、現れたのは、雪のような白い長髪と水色の目を持つ、少女だった。




