31話 捜索
僕達はケイトという猫さんを探しに温泉宿から出た。
意気揚々と出発したはいいものの、よく考えたらどこにいるかなどは一切聞いていなかった為、出発早々どこに行けばいいのか分からなくなってしまった。
けど、今僕たちとプエラは一緒に行動している。
ルカに抱えられた僕の服を掴みながら一緒に歩いている。
ルカの歩幅に合わせてトテトテと歩く姿は僕自身も子供であるにも関わらず母性を抱いてしまう程だ。
僕達は一緒に行動しているため、プエラにどこにいるのか聞くことが出来る。
だからこそ僕は楽観的に考えていた。
しかし、その考えはすぐに打ち砕かれることとなった。
僕はケイトという猫さんの居場所がどこなのかプエラに聞く為に服の引っ張られている方向を向いた。
「それで、そのケイトという猫さんはどこにいるのかとか分かる?」
「…………ごめんなの、あんまり覚えてないの。」
「えっ、本当に? ちょっとも覚えてないの?」
「うん、どんな姿かとかは覚えているの、だけど、何処にいるのかまでは…………。」
「そ、そんなぁ。」
プエラに聞けばある程度は分かると思っていたからその予想が外れてしまい僕は唖然としてしまった。
「そ、それじゃあ、そのケイトという猫さんを見た最後の記憶は何処とかは覚えてない?」
「…………ごめんなさいなの。」
うぅん、それじゃあここら辺のありそうな場所を虱潰しに探すしか無いのか…………。
前回お金を探していた時はいっぱいあるものだったからまぁまぁな数を見つけられたが、今回はひとつのものを探しているだけだ。
それに、それがある場所も分からないとなるともう探しようが無いじゃないか…………。
僕はそう思ったのだけど、ルカ達はそこまで深刻に考えていないみたいだった。
「それじゃあ、まずはすぐそこの街を探してみようか! 見つからなかったら他の場所を探せばいいよね!」
「そうだな! プエラ、あたし達に任せればすぐに見つけてしまうぞ!」
「僕達に任せてよー!」
みんなはそう言って力いっぱい歩き始めた。
「よろしくお願いしますなの。」
「み、みんな本気? 見つけられっこ無いと思うんだけど…………。」
「んー、まぁ、時間をかければ見つかると思うよ! それに…………なんとなく何処にあるのか分かってるんだよねー。」
「えぇっ!? 本当に!?」
ルカは自信満々にそう言っていた。
ルカの言うことだから間違いは無いと思うのだけれど…………。
「まぁ、見つけるには多分メグの協力が不可欠なんだけどね!」
「え? そうなの?」
「そうそう、ものを探すってのは私達よりもメグの方が早いと思うからね。」
「あ、そっか。」
僕の物の見方はルカ達のものとは少し違うから、ものを見つけるという点だったら僕の方が得意だ。
「じゃあ、その猫さんというものの形を教えてもらえるかな?」
僕はそのものの形が分からないと何を探せばいいのかも分からない。
だからこそその形を分かる必要がある。
だからルカに聞いてみたのだが、ルカは私よりもプエラの方が多分分かると言うことでプエラにパスを出した。
「えっと、こんな感じなの…………。」
と言ってプエラは手で何かの形を作っていたけれど、あまりよく分からなかった。
僕のその様子を見てかプエラは慌ててどうにかしてその形を作ろうとしていた。
そして、色んな方法を試した後、地面の土を削ってその形を、作ろうとしてくれた。
プエラが書いたその形は円のようなものにふたつの三角をつけたような形だった。
「うーん、なんとなくわかったかな?」
これがプエラのお友達の形なのだろうか?
なんとなくは分かった気がするけれど、これが人間のようには見えないし、プエラの友達は人間では無いみたいだ。
まぁ、人それぞれだしいいんだけど、なんだか不思議な気分だ。
「それじゃあ街のところ探してみようか!」
ルカはそう言って僕を抱えて歩き始めた。
プエラも慌ててルカにを追いかけ、また僕の服を掴んだ。
「よぉし、それじゃあ、プエラも含めて、出発進行ー!」
アニの元気な掛け声とともに僕達は街へと向かった。




