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スキルはこんな感じだよ
「父さん、俺冒険者になろうと思う」
「そうか」
と、短く返事した父はそのまま畑仕事に向かって行った。
もうちょっと俺のスキル何だった?とか
危険な仕事だぞ、ちゃんと考えたのか?とか
くれよ。そういうやつ。
「あんた、それちゃんと考えたの?」
「冒険者って下手したら死んじまうんだからさぁ」
「それそれ~そういうやつ~」
「は?」
「いや、何でもない」
母があまりにも求めてた言葉言ってくれたもんだから口に出しちゃった。恥ずい。
「いや、スキルは最低ランクの「水使い」だったんだ」
「父さんの「怪力」とか兄貴の「農家」みたいな仕事にすぐ生かせそうなスキルじゃないから」
「そりゃうちの畑は規模小さいから将来的にうちは出なきゃいけないだろうけど」
「そもそも「水使い」は冒険者に生かせるのかい?何ができるのさ」
そう問われて自身の右手を母に向ける。
「こんな感じだよ」
そう言って発動したスキルによって右手から出たのはピンポン玉位の大きさの水の玉。
「しょっぼいねぇ!」
母よ。事実をそのまま10歳の子供にぶつけるんじゃない。泣くぞ?