２１話 上知と下愚とは相いれず
もうすぐ友達編が終了です。
友達編のあとの食用編はそんなに長くならないのでもうしばしお付き合いいただけると
幸いです。
え？今後の展開について？
一言で表すなら・・・『皆不幸になぁ～れッ！！』ですかね。
「やった・・・やったぞ・・・れ、連絡、連絡しないと・・・」
震える手で電話を取り出して、教えられた番号に掛ける。
辺りを見渡したり落ち着かない様子である。
「はい、お疲れさん」
ゴガ！！
電話を掛けようしたら後ろから殴られて気を失った。
プルルルル、プルルルル プッ！
「首尾はどうだ、片付いたのか？」
「・・・・・」
後ろから殴りかかった人物が携帯を拾い上げる。
「はい、ゲホ！！一人倒してまんまと油断してる所を
後ろから刺してやりました」
「・・・？」
「あぁ、声ですか？あのクソジジイ死ぬ間際に抵抗しやがって
喉をやられたんです」
「・・・そうか、ならいい、もう一人は殺したか？」
「え！？もう一人も殺るんですか？」
「・・・ちゃんと話を聞いておけ
そのまま家の中のもう一人も殺して家に火を放て
辺りの民家も燃やして構わん」
「で、実行後はどこで落ち合うでしたっけ・・・？」
「いい加減にしろ、貴様」
「すいません、こういうの初めてなんでパ二くってるんすよ」
「！！・・・なるほど、失敗したということですね？」
相手の口調が変化した。
どうやらなりすましが見抜かれてしまったようだ。
「あれま、バレるたぁ困ったねぇ、どうやってお前らの首根っこ
とっ捕まえるかねぇ」
「・・・やはり貴方は一筋縄ではいかぬようですねぇ？
現役ヤンキー源太さん」
「名前まで調べてんのか、ご苦労なこったぜ」
「そうそう、その携帯電話を調べたところでなんの情報も入っていませんよ？
我々からすればあの家の主の命と土地さえあれば満足なので貴方
我々と協力しませんか？」
「は！糞喰らえよ耄碌野郎が」
「やはり交渉決裂ですねぇ・・・まあ、警察に言っても無駄ですから
精々怯えながら過ごして下さい、青龍教の名のもとに貴方に神の救済を」
「俺に信じてる神なんざいねぇ、興味ねぇな」
ブッ！ツー、ツー
電話を念のため調べることにするので源太はポケットにしまった。
「あー！背中が冷てぇし、トマトジュース臭ぇ！！
まったくやってらんないぜ・・・」
それにしても、コイツラがシロウトで助かった、背中に厚手の雑誌とビニール
パックに詰めたトマトジュースを仕込んで何とか騙せた。
相手に経験があったらこんな子供だましで上手くいくはずがなかった。
そう、言い換えればお粗末な犯行なのだ、警察が動かないという
アドバンテージがあるにしてもこれは雑すぎる。
・・・失敗前提の作戦、成功したらラッキー位の感覚か。
いや、案外下手な鉄砲数うちゃ当たる作戦かもな。
どっちにしろ今後は犯行が過激化する可能性も十分にある。
どうしたものか・・・。
考えながら歩いたせいだろう倒したフードの男につまずき
足の骨を折って入院した。
搬送される救急車に付き添いで乗り込んだ凪音からグチグチ文句を
言われた、いつもの事だと思っていたが次の言葉はいつも通りではなかった。
「あんな家、私は要らないのに」
「お嬢様、そのようなことを申してはなりませぬぞ
先代の主が悲しみます」
「いいえ、あの家に固執して貴方や私に何かある方が悲しむわ
そうでしょ？」
真っ直ぐな目だ、先代に・・・アイツと同じ目をしている。
散々いじめてたのに、アイツは俺のことを助けてくれた。
だから雨入家に絶対の忠誠を誓った。
どうしようもない俺を救ってくれた恩は
生涯をかけて雨入家に尽くす事で返していくつもりだ。
「貴方はホントに頑固よねぇ？私が散々嫌がらせしても出ていこうと
しないんだもの」
「それはお嬢様がこの爺やを雨入家から解放しようとしていると
知っているからこそ出ていかないのですぞ」
「あらまぁ、気が付いてたのね・・・クソジジイ♥」
「ハハハ！爺やはお嬢様の第三の親のつもりですからな！」
「そう、わかったわよ、もっといじめてやるわ」
凪音が源太の足を突っつく。
「いだぁぁぁ！！！お嬢さま！それはやり過ぎですぞ！限度ってもんが・・・」
「ちょっとアナタなにしてるんですか！？骨折してる恐れがあるんです！
やめて下さい！降ろしますよ！」
「お嬢様降ろしたら殺すぞオラァァァア！！」
源太が物凄い形相で救急隊のヒトにガン飛ばした。
「え！？なんで僕がキレられてるの！？コワ！！
あの患者般若の顏みたいになってる！アンタ等どういう関係なの！？」
「強いて言葉にするなら腐れ縁ね」
病院までそれはそれは賑やかな救急搬送となった。
「という訳で俺は入院したわけなんだが・・・」
「きゃはは！転んで骨折だっさ～！」
「コンちゃん・・・それは失礼なんじゃ・・・」
「なんでお前が居るんだガキンチョがよ」
「病院なら晴斗と遊んでいいって許可貰ったの」
「・・・お前、町長の息子か」
「あ、そうです！よろしくお願いします」
「あら、硬くならなくて大丈夫よー、後は枯れるだけの雑草が
相手なんだから」
ガラリと病室のドアを開けて凪音が入ってくる。
「あ、凪音さんだ」
「初めまして！晴斗といいます！」
「あら、君が晴斗君ね、よろしくねぇ！
コンちゃんも、その洋服似合うわよ」
「そう？やった！」
凪音に新しい服を褒められて嬉しそうにコンは
その場で一回転する。
白地に赤を刺し色に取り入れた上着に赤地に白いラインの
チェック柄のスカート、前の着物とはだいぶ印象が変わっている。
いくら服が変わろうと葉っぱを化かした物ということに
変わりはないのだが。
それはそうとコンの印象が違うのは服のせいだけではなく・・・
「今日は尻尾と耳は付いてないのね？一瞬誰だか分らなかったわ」
「爺やに至っては名乗られるまで気が付きませんでしたぞ」
「そこまで雰囲気が違うとまるで変装ねぇ、オホホ」
晴斗とコンが目を逸らして「ハハハ」と乾いた笑いをみせた。
「で？なんで凪音さんも居るの？」
「今この病院に寝泊まりしてるのよ、理由は聞かないでね☆」
「お金、大丈夫なんですか？」
「あら、私けっこう金持ちなのよ？」
凪音が両手を腰に当ててエッヘンとふんぞり返った。
「私ね、自分の子供が誘拐されて世の中どうでもよくなって
新しい商売に呪い屋を初めて見たのね！私才能あったみたいで
ウッハウハなのよ！」
「へー！面白そうだね！あたしもやってみたい！」
「コンちゃん・・・よくわかってないで言ってるでしょ」
「私が呪った相手はみんなヤンキーに絡まれて
身ぐるみ剥がれてそりゃぁ大変な目に遭うって評判なの！！」
「爺やも給料カットされても懐がホッカホカという寸法ですぞ」
「・・・ズッブズブの共犯じゃないですか？ていうか源太さん
さっきと口調が変わってませんか？」
「最初はどうかと思ったけど、今じゃ誇りに思ってる転職よ！」
「子供の疑問なんですけど、その仕事子供に
誇っていい仕事なんですか？」
「呪いって物理属性なんだね、あたし知らなかった」
「そう、呪いは物理よ！！」
晴斗は「このヒト達と一緒に居たらロクなニンゲンには
育たないだろうな」と喉まで出かけたが全力でその言葉を飲み込んだ。
ボケ飽和でツッコミが追い付かないし。
「ねぇ、みんなで屋上行かない？」
「いいね！僕は賛成！ボケが蔓延してる部屋から出よう！」
コンの提案に晴斗が賛成する。
「あら、今日は天気も良いものねぇ」
「お嬢様が行くのであれば爺やはどこであろうと
御供致しましょうぞ」
凪音と源太も来てくれるようなので皆で屋上に上がっていく。
屋上は結構な広さがあり普段はヒトも少ない。
屋上への扉を開き外の風に当たる。
珍しく先客が数名いた。
「あ！翔ちゃん、あの白髪の奴！！」
眼鏡の少年が晴斗を指さしている。
「マジか！おい！テメェのせいでヒデェ目にあったんだぞ！
土下座しろ土下座！！！」
翔ちゃんと呼ばれてた少年がズカズカ近づいてくる。
その子供の後を親と思われる大人が３人、不満そうな顔で歩いてきた。
どうも、嘘つきガチ勢のχダニャンです。
記憶が時々ぶっ飛んでることがあるんですけど。
俺大丈夫か？まぁ深く気にしないけどね～。
もう一人の俺がアクセス数の水増しに必死こいてるんだよきっと。
次回「狐につつまれて２２話」「ネタ切れ、完全無欠なネタ切れ、どうしようマジでネタが尽きたんだけど。誰か助けて欲しいんですけど・・・あ、誰も居ない、知ってる！！」
みんな！絶対にみないでくれよな！
