ある昔の話 【エルバ・ストンの最後の日】
サビの匂いが鼻につく。
もう、ここに囚われ4日たった。
もう生きる希望をなくしただ外の青空を隙間から覗く。
「リリア......」
それは死んだ恋人の名前。
東の門の警備中突如現れた天使飛行兵に襲われ死んでしまった。
ここに囚われた理由は覚えていない。
ただ怒りに身を任せ、お偉いさんを襲い、大怪我を負わせたらしい。
自分にそんなことができたのかと驚いてしまった。
この後僕は死ぬらしい。
外の兵が話していた。
「......はあ。
なんで僕はこんな事を......。」
もともと自分はこんな事をできるような人間ではなかったはずだ。
ああ、そうかアイツらが天使飛行兵に襲われていたリリアを見殺しにしたからだ。
間違いなく見えていたはずだ。
そうだ、だからだ。
全部アイツらが悪いんだ。
「安心してくれリリア。僕がこの世界を不幸にするから。」
決意を決め、先ほど青空を見つめていた隙間をこじ開ける。
確か、今日は重要な日だったはずだ。
それでここの全てが救われるような日だったはずだ。
それを妨害すればいい。
幸い、僕は知っている。
どうすればいいのかを。
向かう先は戦場。
数え切れないほどの兵が敵と戦っている。
この戦いを終わらせるために。
僕の顔はきっと今恐ろしいほど歪んでいるのだろう。
迷いが混じっているのだろう。
「でも、リリアのためだ。
彼女はきっとコレを望んでいる。」
いや、僕が望んでいるだけか。
それでもいい。
現に今、後ろで彼女は囁いている。
なぜ助けてくれなかったのかと、僕に。
ちょうどいい兵がいる。
敵に苦戦しているようだ。
そこに移動する。
驚くほどに体が動く。
すぐに着いた。
近くの兵を投げ飛ばし、ただ立った。
投げ飛ばした兵が停めるようにこちらに来る。
腹に強烈な痛みが走った。
3回、4回と続く。
もうすぐ死ぬだろう。
だがそれでいい。
これで成功したはずだ。
これでしばらくはこの戦いは終わらない。
リリアのいない世界が幸せになるなんて、僕は決してゆるさな、い




