決意を固めた日
こういうの初心者なのでいろいろおかしいのは許してください!
「強化兵。それは戦うために、孤児や親の同意を得た子どもに薬を投与し、我々を脅かす存在と戦わせるためにつくり出されたものです」
教師と思しき女性が、子どもたちに向かって説明している。
「はーい、先生! じゃあ、その子どもって私たちのことですか?」
「そうですよ。あなたたちは国のため、民のために戦うのです。
さて、『自分たちは何なのか』の授業はこれで終わりにしますよ」
「気をつけ! 礼!」
「ありがとうございました!」
4人の生徒が、真っ先に教室を飛び出した。
中庭に出ると、彼らはさっそく話し始めた。
「ねえねえ、この授業、何回目? もう5回くらい聞いた気がするんだけど」
リーチャという小柄な少女が、決意を固めたような口調で話す。その声には、わずかな恐怖が混じっていた。
「そうだよな。リーチャ、やっぱりおかしいと思うぜ!」
ユウキという少年が、リーチャに同意する。正義感の強そうなその少年の声には、好奇心がにじんでいた。
「やっぱりおかしいよな……。も、もしかして、何かの陰謀なんじゃ……」
エリックという大柄な少年が、少し弱気な様子でつぶやいた。
「ちょっと、エリック。陰謀なんて大げさじゃない?」
エルダという寡黙そうな少女が、教師たちに聞こえないよう、小さな声でそう言った。
キーンコーンカーンコーン。
4人がそれぞれ考えを巡らせていたとき、休み時間の終わりを告げる鐘が鳴った。
子どもたちが教室に戻ろうとした、そのときだった。
教師たちが慌てた様子で走ってきた。
「みんな! 地下に避難して! 早く!
これは訓練じゃない!」
子どもたちは、何が起きているのか理解できていない様子だった。しかし、教師たちの慌てぶりを見て、ただ事ではないと感じたらしい。
「ユウキ! 早く行こう!」
エリックはユウキの手をつかみ、大人たちが向かう方へと走り出した。
その瞬間、大きな爆発音が響き、熱風が顔を打った。
ユウキは反射的に、熱風が吹いてきた方へと顔を向けた。
そこには、見覚えのある子どもが、無惨な姿で倒れていた。
叫ぶ間もなく、ユウキはエリックに引っ張られた。
立ち尽くす子。
叫び声を上げる子。
倒れた子どもを必死に揺さぶる子。
ユウキの背後では、炎が赤々と燃え広がっていた。
逃げ遅れた子どもたちが、次々と倒れていく。
ユウキには、ただ走ることしかできなかった。
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しばらくして、教師たちとともに逃げ延びた子どもたちは、近くの丘の上にたどり着いた。
そこからは、自分たちの孤児院が燃えていく様子が見えた。
ユウキはふと、リーチャとエルダが無事なのか気になった。
隣にはエリックがいる。
「なあ、エリック。リーチャとエルダがどこにいるか、分かるか……?」
「……俺も、それが知りたいよ」
もしかしたら、あの爆発で死んでしまったのではないか。
そんな考えが、ユウキの頭をよぎった。
4人で過ごした、あの日々。
いつか戦場に送り出され、命を落とすかもしれない。そんな不安を抱えていても、4人一緒なら大丈夫だと思えていた。
だからこそ、今、2人がいないことが怖かった。
「エリック、戻って探そう! きっといるよ! なあ、エリック!」
ユウキが孤児院へ戻ろうと走り出す。
しかし、エリックはそれを引き止めた。
その目には、涙があふれていた。
「ユウキ! エリック!」
そのとき、聞き覚えのある声が聞こえた。
リーチャの声だ。
振り返ると、そこにはエルダを抱えたリーチャが立っていた。
「リーチャァァァァァ! エルダァァァァァ!」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔のまま、ユウキは2人のもとへ駆け出した。
エリックもその後に続く。
「うぅ……リーチャぁ、エルダぁ……。し、死んじゃったと思ったよぉ……」
ユウキは思わずリーチャに抱きついた。
そのとき、彼の目に、ぐったりとしたエルダの姿が映った。
「エルダァァァァァ! 死んじゃやだよぉぉ!!」
ユウキは地面に横たわるエルダを揺さぶった。
「ちょっと……うるさい……。いったぁ……」
エルダは頭を押さえながら、ゆっくりと起き上がった。
「エルダァァァァァ!」
ユウキは再びエルダに抱きついた。
「待って。あれ、何?」
エルダが孤児院の上空を指さした。
そこには、翼の生えた女が浮かんでいた。
その手には、手榴弾と銃が握られている。
女はそれらを、次々と孤児院へ投げつけ、撃ち込んでいた。
「あれは『飛行兵天使』。我々の敵の一つです」
いつの間にか、先生が子どもたちの後ろに立っていた。
「さあ、逃げますよ。ここは捨てましょう」
先生は、冷え切った声でそう言い放った。
「でも、先生! みんながまだ残ってます!」
「もう、みんな亡くなっているわ。残念だけど……ごめんね」
先生の言葉を聞いて、ユウキは何も言えなくなった。
本当に、みんな死んでしまったのだろうか。
それでも、先生の声には、これ以上何を言っても無駄だと思わせる何かがあった。
ユウキは黙って、先生たちについていくことにした。
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しばらく歩くと、大きな塀に囲まれた都市が見えてきた。
ここは、この国の中心都市。
国の中枢を担う施設が集まり、強化兵を統括する本部も置かれている場所だった。
門をくぐると、そこには賑やかな街並みが広がっていた。
行き交う人々の声。店先に並ぶ商品。活気に満ちた街の様子は、先ほどまで孤児院が燃えていたことなど、まるで知らないかのようだった。
人々は、焦げ臭い匂いを漂わせた子どもたちを、珍しそうに見つめていた。
ユウキは、そんな視線を浴びながら、黙って歩き続けていたが、ふと足を止めた。
「……なあ、俺たち、これからどうなるんだろうな」
ユウキはぽつりとつぶやいた。
「分からない。でも、ここで立ち止まってても仕方ないだろ。」
エリックはそう答えたものの、その表情は晴れなかった。
リーチャも、エルダも、何も言わなかった。
4人とも、これからどうなるのか分からなかった。
やがて、先生たちは一軒の建物の前で足を止めた。
「今日から、あなたたちはここで暮らすことになります」
先生がそう告げた。
そこは、以前の孤児院とは違う場所だった。
建物の中へ入ると、何人もの子どもたちがこちらを見ていた。
新しく来た子どもたちが珍しいのか、それとも、自分たちのように行き場を失った子どもたちなのか。
ユウキには分からなかった。
「……ここでも、みんなと一緒にいられるんだよな?」
ユウキは、3人の顔を見回した。
「当たり前だろ。俺たちは4人一緒だ」
エリックが答える。
「そうそう! せっかく助かったんだから、これからも一緒にいようよ!」
リーチャが、いつもの調子を取り戻そうとするように明るく言った。
「……騒がしくなりそうね」
エルダは小さくため息をついた。
その言葉に、ユウキは少しだけ笑った。
失ったものは、あまりにも大きかった。
それでも、隣には仲間がいる。
今は、それだけでよかった。
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それから、月日が流れた。
4人は新しい孤児院で生活を続けていた。
以前のように、何も心配せずに笑い合える日々が戻ったわけではない。
ふとした瞬間に、あの日の光景が頭をよぎることもあった。
それでも、4人は少しずつ新しい生活に慣れていった。
そして、ある日。
「あなたたちには、これから兵士になるための訓練を受けてもらいます」
大人の言葉に、ユウキは顔を上げた。
いつか自分たちも戦場に行く。
そんなことは、以前から何度も聞かされていた。
けれど、実際にその言葉を突きつけられると、以前とは違う重みがあった。
あの日、自分たちの居場所を奪った敵。
逃げることしかできなかった自分。
目の前で倒れていった子どもたち。
なにかしてやれたのではと思っていた。
ユウキは、ぎゅっと拳を握った。
「……俺、強くなりたい」
誰に聞かせるでもなく、そうつぶやいた。
「ユウキ?」
リーチャが不思議そうに顔をのぞき込む。
「もう、あんな思いはしたくないんだ」
ユウキは顔を上げた。
「俺はみんなを守れるようになりたい」
その言葉を聞いて、エリックは黙ってユウキを見つめた。思いは同じようだった。
リーチャもエルダも、何も言わなかったが表情から覚悟を決めたことが分かった。
明日から訓練が始まる。
自分たちが守るべき人たち、そして大切な仲間を守るため、自分たちは強くなろうとそう思った。
誤字、脱字、文章がおかしいところなどがあれば教えてください。
最後まで読んでくれてありがとうございます!




