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二百三十九話 五年前5

「すまない、少しきついことを

言ってしまったのだよ。」



「いえ、俺も覚悟はできています。」



「そうか。では、俺がその

五年前について知っていることを

君に話そう。」



「お願いします。」



タチアナの兄ちゃんは俺の顔から

何もない海の向こうに目を移し、

口を開いた。




「俺はこの島に三度来たことがあるの

だよ。最初にこの島へと来たのは

今から5年前。ヤナハから出向した

職業者達からの連絡が途絶えてから

ちょうど三ヶ月経った頃、まだ

隊長ではなかった俺は、連絡の

途絶えた職業者達の安否を

確認するためにここに来たのだよ。

計十名。数少ない職業者の一人と

して、俺はこの島に上陸し、早速

捜査を行ったが、生憎この島は

霧が深すぎてろくに何も発見できな

かったのだよ。行方不明になったヤナハ

の職業者達の死体もだ。

恐らくだが、ルドルフ達のように、

ラーバの部下達によって別の島に連れて

行かれたのだろう。」



「もし、その予想が正しかったして

連れていかれた者達はどうなるん

ですか?」



「君も見ただろう。昨日、長老

の周りに倒れていたモンスター達を。

ああなるのだよ。

連れていかれた者達は魔族によって

モンスターへと変貌させられる。

だから、君もあまり希望を持たない方が

いいのだよ。」



確かに。そんなことは俺もよく

理解している。

敵地で捕まったやつらは二度と戻って

来ないことを。

だが、俺はメグと約束した。

だから、何としてもメグの家族が

どうなったのかくらいは突き止めな

ければならない。



「それに、ラーバ自身が俺達に

言ったのだよ。五ヶ月ぐらい前、

カクバと鬼灯の三人でこの島に

上陸し、ラーバと敵対したに

奴は言った。捕まえた人間は

全てマッドサイエンという幹部の元に

連行されて、魔族のおもちゃになって

いると。」



「マッドサイエン......」



新たに出てきた幹部の名前を、

俺は忘れぬように心に

刻み込む。



「だが、今は霧も晴れているし、

何か発見できるかと思ったが、

鬼灯によればこの島には俺達以外に

人間の痕跡らしき物は何もないそう

なのだよ。」



「それは暗殺者のスキルで分かるん

ですか?」



「ああ。あの鬼灯はある一定の

範囲以内の成分を感知できる

能力があるらしいのだよ。」



俺がさっき船から出てきた時に

二人で外に居たのはそのためだった

のかと納得する。

けど、はいそうですか。と諦め

切れる訳がない。



「でも、さっき全滅はしていないと......」



「......そうなのだよ。これを全滅は

していないと言っていいのかどうか......」



タチアナの兄ちゃんは腕組みをして

少し考え込む。



「先ほど俺は、5年前に何も

見つけられなかったと言ったが、

実は一つだけあるのだよ。」



「......何ですか?」



「これを言っても信じがたいと

思うが......俺が5年前、この島で

見つけたのは──」



その時



「おい!!!! 長老が目ぇ覚めたぞ!!」



肝心なところで隊長の一人である

青髪の青年が、船の上から

職業者達を召集した。

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