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<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第二章 聖女、ビジネスに励む

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22 ビジネス聖女、足場を固める

聖母教会に聖女と正式に認められ、新派閥正当ガイア派を立ち上げて早1年、私は16歳になった。


まず領政についてだが順調だ。

特に交易で多くの利益を上げている。私の聖女ブランド戦略が功を奏して、オルマン帝国との交易はますます盛んになった。オルマン帝国の貴族は総じて見栄っ張りだ。それに裕福な貴族も多い。なので隣接するドーン子爵領だけでなく、色々な貴族から面会の依頼が入る。

こちらから出向いて、パフォーマンスをすれば大喜びだ。帯同している商人から大量に品物を買ってくれる。それにエリーナの大道芸自体も磨きがかかり、聖母ガイアに遣わされた龍騎士との設定なので、公演はいつも大盛況だ。


それにオルマン帝国の四大公爵家であるブラックローズ家から直々に招待もされた。そこではポールさんの奥様のアンジェリカさんから教わったトンカツを披露したところ、大変喜ばれた。

特にブラックローズ公爵本人が一番喜んでいた。


「トンカツというのだな!!味もいいし、それにこのソースだ。何ともいえないこの味は素晴らしい。そして何よりも、勝負事の前に食べると縁起がいいとも聞く。これなら金貨10枚でも高くはないぞ」


本当に金貨10枚で買ってくれた。この人も前世は日本人なのか?


これには世俗主義のスカム派から移籍したデブル枢機卿の功績?が大きい。私の鑑定の儀の前から水面下でかなり動いていたみたいで、スカム派の3割を連れて合流したのだ。そして、本人の希望として、オルマン帝国の布教担当を希望していた。

最近になって思うのは布教担当ではなく、集金担当ではないのかと思う。まあでも、利益が得られる間は、裏切ることがないので、ある意味分かりやすい。因みにスカム派を脱退した理由は金銭問題で、金の切れ目が縁の切れ目という感じらしい。

それとデブル枢機卿が新教典を乱発できる理由も判明した。彼の妻が「文書偽造」と「物語創造」のスキル持ちだったのだ。許可なく新教典を乱発するなと釘をさしてはいる。


その妻は教典の捏造よりも、本来は小説や演劇の脚本を書くのが夢だったそうだ。なので、前世で悪役俳優をしていたポールさんに紹介したところ、「素晴らしい才能」と認められた。ポールさんの助力もあり、彼女が手掛けた「聖女の楯ゴードン」は大ヒットとなった。

特に武人気質でもあるオルマン帝国では大人気で、あの熊にみたいに大きな体で、口下手で、いつもズレた行動をするゴードンが若い女性達に囲まれることも多々あった。少し腹立たしい。

「聖女の楯ゴードン」の名シーンの一つに降り注ぐ一万本の矢から聖女を守りきる場面があるが、流石に盛りすぎだと思った。


そのゴードンはというと、正直ウザい。鑑定の儀で「聖女の楯たる聖騎士」というジョブが判明(実際には偽装したのだが)したので、それからは落ち込んでいたのが嘘のように上機嫌で、私にべったりくっ付いてくる。この前なんか「少しお花を摘んでくるので、ここで待っておくように」と言ったところ、「お花畑にも魔物が出るかもしれないから危険です」とか言う始末だった。


離れようとすれば離したくなくなるし、近付き過ぎると離れたくなる。乙女心とは本当に複雑だ。


ゴードンと同じく、鑑定の儀で華々しくデビューした龍騎士エリーナは馬鹿女神に「魔物パージ」のスキルを消してもらったこともあり、新しい種類の魔物をテイムすることに成功した。「血のダンジョン」名物の吸血スライムだ。ダンジョンボスとして登場した個体よりは小さく、能力も低いが、それでも吸血のスキルは健在で、魔物の血抜きなどに重宝されている。

またコウジュンは「拷問に使える」と言っていたが、これは聞かないことにした。戦闘に使える魔物はテイムできていないが、これはこれでいいかと思っている。


コウジュンはというと新たなスキルが発現した。「諜報」だ。これから人や物の動きが活発になることを考えるとかなり重宝するスキルだ。それにお父様の右腕として領政を担ってくれていて、本当に助かっている。

コウジュンの妹のドロシーは新しいスキルは発現しなかったが、ますます土魔法に磨きが掛かっていた。


それとハーフドワーフのゲディラだが、最近は専ら武器の製造を行っている。コウジュンの見立てでは、現教皇派が難癖を付けて、いつ軍事行動を起こしてもおかしくないとのことで、兵器開発を担当してもらっていた。

私の前世の知識を使い、クロスボウ、バリスタ、投石器の原案を書いて渡したら、大喜びだった。


「これは歴史的な兵器ッス!!何でこんなことを思いついたんスか?」


「聖母ガイア様からのお告げです」


今のところ、何とかごまかせている。


財政問題、食料問題も解決し、聖女ブームも相まってクレメンス男爵領は空前の好景気に沸いている。

お父様はその功績が称えられ男爵から子爵に陞爵することが決まった。


これはいいことばかりではないという。陞爵を餌に私やクレメンス男爵領を取り込もうという王家や教会本部の思惑が見え隠れする。

断ることもできないのが辛いところではある。



★★★


話を教会の派閥関係に移す。

まず私の正統ガイア派の支持母体だが、大きく分けて3つのグループがある。まずはスカム派から割って出たデブル枢機卿のグループだ。基本的にある程度の利益が供給できれば私から離れることはない。それにデブル枢機卿は強欲だが、思ったより優秀だった。

獣人の扱いについても、人族と対等に扱ったほうが得策と判断したのだろう。獣人の排斥を訴える者立を説き伏せていた。


そして私の最大の支持基盤である正統派なのだが、ヤサク司祭を中心とするグループは根が真面目なので、こちらが悪政を敷かないかぎりは賛同してくれる。一方、研究者タイプのフローラ枢機卿のグループは私が聖母ガイアから「研究者を手厚く保護するように」との啓示を受けたと発表したところ、研究者達が大挙してやってきた。

また、1年に1度、研究成果を上げた研究者に賞を贈る制度を確立した。前世ののノー〇ル賞を参考にした。因みに今年の最優秀の研究者はフローラ枢機卿だった。神学での受賞ではなく、薬学関係での受賞となった。安価なポーションの作成方法を確立したからだ。本人としては、神学系での受賞を狙っていたらしい。

この賞の選考委員はコウジュンが選定しており、なるべく実用的な研究に賞を与えることにしている。そのほうが、実生活に役に立つからだ。

よく分からない神様の話を延々とされても、困るだけだしね。


最後は原理主義者達だ。

元々、祈りと鍛錬を重視している派閥なので、一番俗世に疎い。こちらとしては、教会本部の会議などで、こちらの方針に賛成してもらえればそれで構わないくらいの立ち位置だった。

当初の予定どおり、聖母ガイアの幻影に「祈りと鍛錬で己を高める姿勢は感心です。これからも努力を続けなさい」と喋らせた。

これだけで心を掴んだのだが、更に付け加えて、「血のダンジョンの攻略に励みなさい。そこに答えがあります」という言葉も付け加えた。このためウサール枢機卿をはじめとした多くの神官騎士達が住み着くようになった。


ダンジョンのことを聖母ガイアの啓示に入れたのには、理由が二つある。

一つはダンジョンを通じての収益アップが目的だ。一緒にダンジョン攻略に参加した冒険者のミランダのアドバイスがあったのも大きい。ルキシア王国の東にあるノーザニア王国のテトラシティという都市では、ダンジョンを生かした町づくりで成功しているらしい。

ダンジョンを生かすための基本的なノウハウを教えてもらった。この方法なら、大きな収益が上がる。


そして、もう一つの理由は、聖女とは思えない発想だが、何かあったときのため、彼らに責任を押し付けるためだ。「血のダンジョン」は血を捧げて罠を解除するスポットが数か所ある。普通に考えて怪しすぎる。前世の日本でこんなことをしていたら、悪魔でも崇拝しているヤバい奴らだと思われる。


なので、大きな災厄を引き起こす可能性もゼロではない。もし、ダンジョンからスタンビートなどの事態が発生したときに「神官騎士達が聖母ガイア様の逆鱗に触れた」と言って責任を押し付けることができるからだ。

そんなことを知らない神官騎士達は、今日もせっせとダンジョンに潜り、採取した素材の半分を気前よく寄付してくれる。


こんな感じで、様々な理由から私を支持してくれる者は増えていった。

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