表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<最終章>結婚詐欺師、異世界で聖女に~私が聖女?女神様!!多分人違いだと思うのですが・・・  作者: 楊楊
第一章 聖女誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/84

14 聖女、勧誘される 2

ヤサク司祭が連れて来たのはフローラという枢機卿の女性で、30代でボサボサの髪で眼鏡を掛けていて、「探究者」という専門職のジョブを持っている。

挨拶もそこそこにフローラは話始める。


「旧教典の「隣人を大切に」という文言が、100年前のタガール宣言の・・・・ここでこの資料をご覧ください。この資料の説明を致しますと・・・・という見解なのですが、聖女様は、どう思われますでしょうか?」


知らねえよ!!

怒鳴りそうになったが、何とか抑えた。


「私もすべての教典に目を通したわけではなく、学術的なことは正直よく分かりません」


「そうなんですね。それではタガール宣言の50年前のリボック事件から話していきますね」


そういうことでは・・・・。


延々と話が続く。タガール宣言もリボック事件も何のことか全く分からない。それに興味もない。ヤサク司祭に目をやると無言で一礼してきた。「何を言っても無駄」と言っているようだ。


それからも延々と話が続く。私が過去の歴史的な事件に疎いことが分かると私が降臨させた聖母ガイアが話したことについて質問してきた。「教典ではこうなっているけど、聖母ガイアの発言と矛盾するところがある」とか言ってくる。

私も痺れを切らし、言い放った。


「私は聖母ガイア様から使命を受けた聖女ですが、聖母ガイア様の深いお考えは未だ分かりません。それを解き明かすのはあなた達研究者の仕事であって、私の仕事ではありません」


私は知らないから、勝手にお前らで「あーでもない、こーでもない」って言ってろ!!という意味で言ったのだが、別の意味に捉えられたようだ。


「聖女様は私達研究者に多大な理解がお有りだ!!これからも研究に励みます」


なんでそうなるの?


最終的に見兼ねたヤサク司祭が助け船を出してくれた。


「フローラ!!カレン様はお忙しいので、この辺で、本来の目的を伝えて帰りましょう」


「そ、そうね。今日はこれくらいにして・・・・ところで私は何でここに来たんだっけ?」


だから知らねえよ!!


「そうだわ!!私はこのエルサラに移住します。ヤサク!!教会の部屋は空いてるでしょう?弟のヨサクに掃除するように言っておいて!!」


「フローラ!!カレン様の前で失礼ですよ」


「カレン様、今日は本当にありがとうございました。明日お伺いするので、そのときにまたお話を聞かせてください」


そう言うとフローラは去って行った。

イサク司祭も後を追うが、帰り際にフローラのことを謝罪してきた。


「カレン様、本当に申し訳ありません。フローラは悪い人間ではないのですが、常識に欠けるところがありまして・・・。それとフローラが特別なだけで、正統派の全員があのような者ばかりではないことだけは伝えておきます」


これからのヤサク司祭の苦労を考えると、いたたまれなくなり、謝罪を受け入れた。


そのまま住み着いてしまったフローラだが、意外にもクレメンス領の役に立っている。「調合」のスキルでポーションや薬を作ってくれて、領民も喜んでいる。フローラの質問攻撃もコウジュンが上手く防いでくれた。話が長いので、書面でのやり取りにして、回答もコウジュンがいい感じで回答してくれる。私としてはコウジュンから事後報告を受けるだけなので助かっている。



★★★


三大宗派の使者との面会を終えた私は、少数派との面談が立て込んでいた。軽く話を聞いて追い返すだけだと思っていたが、三大宗派の使者との対応よりも神経を擦り減らす。

言ってみれば、「奇人変人、びっくり人間大集合!!」という感じだった。スカム派の強欲神官のデブルが聖人君子に見える程だ。


聖母ガイアの生まれ変わりを自称するなど可愛いほうで、聖母ガイアの娘とドラゴンの子供の従妹の孫とかいう意味不明の設定を話す者や聖母ガイアから私と結婚するように啓示があったと宣う者もいた。

私に結婚を申し込んだ者はあえなく、ゴードンに叩き出されたのだが。


そして、少数派の中で一番興味を抱いていたのはテティス派だ。馬鹿女神の娘を信仰するなんて頭のネジが飛んでいるとしか思えない。そして、件のテティス派の代表がやってきた。

ポール・ジョーンズという23歳の男で、金髪青目のイケメンだった。伯爵家の長男で次期当主、年齢の割に落ち着いた雰囲気でジョブこそ一般職の「教会関係者」だが「器用貧乏」というレアなスキルを持っていた。「器用貧乏」は多くのことを平均以上にできるスキルで、私も転生時にこのスキルの取得を考えたが、50ポイントと高く、取得を断念したのを覚えている。

因みにエリーナもこの「器用貧乏」のスキルを持っているが「一点集中」のスキルで打ち消されている。


挨拶を交わした感じは、これまでの奇人変人に比べたらかなり、まともだった。


「カレン様はテティス派への所属は検討されていますでしょうか?」


「今のところはしてないですね」


これも作戦だ。最初は興味がない振りをして、話していくうちに少し興味を示せば、使者達も嬉しくなる。「興味が出た」とは言っても「入る」とは言わない。実質ゼロ回答だが、マイナスからゼロになる形なので、断るにしても角が立たない。

私の決め台詞はこうだ。


「大変興味が出ました。素晴らしいお考えですね。最終的には聖母ガイア様がお決めになることなので私としては何とも・・・・」


同じように話を進めようとしたが、今回は違った。


「そうですか・・・お時間を取っていただきありがとうございます。それでは失礼いたします」


えっ!!ちょっと待って!!

もっと勧誘してこないの?私は少し馬鹿女神の娘に興味があったのに・・・。

仕方なく私の方から引き留める。


「すいません。ちょっとお待ちを!!普通の使者は、もっと勧誘されるものですから、少しびっくりしました」


「そうなんですね。でもいきなり聖母ガイアの娘を出してきて、急に信仰するなんて、普通の神経をしていたらできませんよ。というか、聖女様には絶対に私達の派閥には入ってほしくないのです」


だったら、なぜ来た?コイツも、びっくり人間なのか?

ますます、この男に興味が湧いた。


気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ