終わりと始まり
二人で並んで歩く道のり。
帰った後にシャワーでも浴びたのだろうか。
心地よい香りがする。これじゃ僕は変態だ。
一歩また一歩と祭り会場に近づくに連れて胸の鼓動が高鳴る。
嬉しさと恥ずかしさ、人にあったらどうしようという気持ち。
色々な気持ちが重なる。
「やっぱり人が多いねぇ!」
「そうだね。やっぱりこの辺以外からも来てるんだろうなぁ」
祭り会場への入り口付近ですでに人混みが凄い。
まだ開始されてから時間もあまり経っていないのに。
はぐれない様に手を繋ぎたかった。
でもやっぱり恥ずかしさと人に見られたらという気持ちで先に進めない。
「ねぇ。はぐれない様に手…つなごっか。」
ミヨから提案された。これは絶好の機会。とも思ったけど、
「いや、大丈夫でしょ。」
強がりが出てしまった。本当は繋ぎたいのに。
「じゃぁシャツ掴んでるね。」
そう言ってミヨはシャツを握りしめた。
…
「とりあえず何しよっか。」
「あ、あれやりたい!金魚すくい!」
「えー。とれても飼えないしなぁ。」
「いいじゃん、飼うの私だしね?ね?」
「よし。じゃぁ金魚すくいするか。」
本当は先に何か食べ物を買いたかったけどまぁいっか。時間はたっぷりあるし。
「おじざーん。2回ね!」
「あいよ。がんばって。」
金魚すくいのアレを2つ受け取り一つを僕に渡してきた。
「じゃぁ勝負ね!よーいドン!」
「え?え?マジ?ちょっ!」
そう言いながら並んで金魚すくいを始める。
嬉しそうに照準を合わせている。
やるからには負けられない。僕も金魚に目をやりどれにするか悩む。
「あー。結局ふたりとも取れなかったね。」
「だな。アレは紙が悪い。あんな薄い紙で取れるわけがない!」
二人とも成果はなし。紙というより二人して技術がなかっただけだった。
「あ、袖濡れてるぞ。」
「ホントだ。気が付かなかった。」
そう言いながら照れ笑いをする。笑顔が本当に可愛い。
改めて浴衣姿といい笑顔といい、まっすぐ見るのがかなり恥ずかしくなった。
「次どうしよっか?」
「んー。やっぱり綿菓子とお好み焼きと…」
「いくつ食べるんだよ。」
僕は笑いながら一番違い綿菓子屋へ向かい2つ頼んだ。
「わーい。ありがと~。」
「よくよく考えたら金魚すくいの代金払って貰ってるしね。」
「別にきにしなくていいのに~。」
そんな話をしていたら、近くに友達を見つけた。
アツシが妹と一緒に歩いてる。
「よ。楽しんでるか?」
「お、おぅ。他のやつに会った?」
「あぁこのまま真っ直ぐいくと何人かに会うぞ。」
「そうかぁ。」
それを聞いてミヨとちょっと距離を空けた。
察してか、ミヨが空けた距離を縮めてくる。
「まぁお互い楽しめるだけたのしもうや。」
そう言ってアツシは妹と別の道へ抜けていく。
あんまり他のやつに会いたくないなぁと思いつつ、花火までの時間を潰すのに二人で色々見て回ることにした。
…
「そろそろだね。」
「そうだな。じゃぁ移動するか。。」
そう言って二人で花火のある川辺からちょっと離れた小高い所へ場所を移動する。
あまり人が来ない場所かと思ってたけど実際到着するとそれなりに人がいた。
隠れ家的な物ではなかったが、思いの外知られてるんだなって思った。
それから暫くすると花火が始まった。
「すごーい!」
「去年より盛大だなぁ!」
近くの商店などが出資して花火を上げるんだけど、今年はでかいのが何発も上がった。
大きい祭りになりつつあるためか、結構大手も協賛しているみたいだ。
「きれいだねぇ~。」
「うん。ほんと…すごいね。」
お互いそれ以上何も言わずに花火に見入ってしまった。
…
花火も終わり、ミヨが口を開いた。
「あのね。聞いて欲しいんだ…」
「どうしたの?」
「受験の話なんだけどさ…前提が一個あるの。」
重たい空気のなかさらに重い口を開き始めたミヨ。
「引っ越しするの。海外に。」
「え?」
「でも海外に引っ越しが嫌で、寮のある学校に受かったらこっちに残れるって話になったんだ…。」
「マジ?」
「マジだよ。受験失敗したら海外に引っ越さないといけなくて。皆と離れるのは間違いないんだけど、少しでも近くが良くて受験スルことにしたんだ。」
「…。」
僕は何も言えなくなた。
何も言っちゃいけないきがしてきた。
重い空気を割ったのは…アツシだった。
「マジかよ!受験の学校は何処いくんだよ!」
「ってかアツシいつからいたんだよ!」
「今。」
たまたま妹をよく見える場所って思ってこっちに来たらしい。
帰り際に僕達を見つけて声をかけようとしたらそういう話だったと。
「地方の寮のある学校。電車で3時間あればここにこれるかなぁ…」
「…受験頑張ってね。」
「お父さんが先に行って、私とお母さんは卒業まではこっちにいるから、受験成功させなきゃ。」
アツシも僕もそれ以上なにも言えなかった。
それから時は無情にも流れていく。
残念ながらミヨの努力も虚しく受験は失敗。ミヨは卒業で海外へ行くことになった。
…
卒業式
「結構皆泣いてたな。」
「お前だって半泣きじゃねぇか。」
「いやいや。そんなことはないからw」
式が終わって一旦皆教室へ戻る。
ミヨが海外へ行くことはすでに皆知っている話だった。
羨ましがる子もいれば離れることで泣く子もいた。
「ミヨ…いっちゃうんだな。」
「そうだね。」
「お前それでいいのか?」
「いや。気持ちだけは伝えようと思ってる。」
「そっか…」
「まぁだからどうなるって訳じゃないんだけどな。」
「そう言うなよ!行って来いよ!」
アツシに背中を押されながら、ミヨに帰る前に話したいことがある事を伝える。
帰る前に学校のプール横にで待ち合わせた。百葉箱だっけか。
…
最後の先生の話も終わり、小学校ともお別れ。
僕はその足で待ち合わせ場所まで先に行くことにした。ミヨは皆に囲まれているしね。
ちょっと待つとミヨがやってきた。
「で。話ってなに?」
「面倒だから単刀直入に言う。オレ、お前が好きだ。」
「…」
ミヨからの返事はない。暫くの沈黙の後、しゃくりあげる声が聞こえる。
そうしてミヨが口を開いた。
「ありがとう。私も好きだった。でも返事はごめんなさい。」
やっぱりな。引っ越していつ帰るかもわからないのにOKして貰える訳もない。
わかっていたけど感情が高ぶる。
「オレ、お前の事まつから!帰ってくるまで!来なくて迎えに行くから!」
「そうじゃない、そうじゃないの!」
ミヨが続ける。
「気持ちは嬉しいけど離れちゃう以上、会いたいときにも会えないし、待ってる間にもっと好きな人ができちゃうかもしれない。
私もそう。好きな人ができちゃうかもしれない!
だったら、帰ってきたら連絡する。だから…待たないで待ってて…」
待たないで待っててってまた難しい難題だと思いながら、
「わかった。引っ越し先の連絡、帰ったらちゃんと教えろよ。」
「うん。私今日は他の皆と帰るから…行くね。」
そうして、僕の淡い恋は終わった。
終わったかどうかは実際はわからないけど、二人で行った祭りだけは忘れない。
いつかまたそんな日が来ることを願って…
本当はもっと季節ごとに分かれていた話だったのですが、短く簡潔にまとめることだけを考えてみました。
正直、はしょりすぎてまとまりがほとんどなくなってしまい、読みにくい事この上なくて申し訳ない限りです。
読んでくださった方には大変感謝いたします。
また、別の話を今度はしっかりと書こうと思うのでその時はまたよろしくお願いします。




