表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです【書籍化】  作者: 鬱沢色素
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

255/325

246・断ち切る

「すまない、待たせたね」

「ナイジェル殿下!」


 マリアと共に、僕は神剣が封じられている宝物庫の前まで辿り着いた。


 報告にあった通り、宝物庫から黒いモヤが漏れ出ている。見ているだけで不安になってくるような──そんな禍々しい空気が、場に流れていた。


 既に騎士達が集まっている。

 声をかけると、みんなが一斉に僕へ視線を向けた。


「にぃに……」


 その中には既にセシリーの姿もあった。

 彼女は肩で息をして、顔色も悪い。


「ま、魔王の力が漏れ出たと思って、封じ込めようとしたの。だけど……上手くいかなくって……ごめん」

「謝る必要はないよ。頑張ってくれたんだね」


 と僕はセシリーの背中を優しく撫でる。


 ──彼女は《白の蛇》との戦いの一件で、エリアーヌに続き二人目の聖女の力に目覚めた。

 エリアーヌと女神いわく、セシリーは『邪悪なものを浄化する力』に秀でているらしい。

 しかしその力はまだ完全に目覚めておらず、出力も不安定なものであった。


「なるほど──邪悪な魔力だ。今まで見たことがないほどにな」


 フィリップがそう声を漏らす。


「そうだな。しかも広がっていく速度が徐々に上がっているように見える。セシリーがいなければ、今頃どうなっていたのか……」


 ヴィンスも彼の言葉に同意する。


 この黒いモヤの正体は、はっきりしないけど、放置しておくわけにはいかない。


 だからといってセシリーにも無理となれば、どうすれば──。


 その一瞬の逡巡が、命取りとなった。


「……っ! みんな、伏せて!」


 まるで今まで抑えていた力が爆発するかのように──黒いモヤがさらに広がりを見せ、僕達に襲いかかろうとした。


「させないのっ!」


 しかしセシリーが手をかざし、魔力を放出。光と闇の力がぶつかり、相殺となった。


「ありがとう、セシリー! 助かった──」


 疲労困憊の状態でもう一度力を使ってくれたセシリーに感謝し──その時であった。


「……っ!」


 僅かに残っていた黒いモヤ──。


 それがひっそりと僕の頭に絡みついた。


「にぃに!」


 セシリーの声が遠く聞こえるほど、強烈な頭痛が襲いかかる。


 さらに続けて頭の中に声が響いた──。



 ──〈やはり未完成の聖女では、妾の力を抑え込むことは出来ぬか〉



「こ、この声は……」

〈時は満ちた。まずは手始めに……〉


 間違いない──魔王だ。


 昔、僕が理想の王子様について悩んでいる時、〈貴様はなにを捨てる?〉と問いかけてきたことを思い出す。


「にぃに……もしかして、魔王の声が……? だったら、答えちゃいけないの! 気を確かに持って!」


 セシリーが必死に制止してくるが、僕の意思とは関係なく、魔王の声が響いてくる。

 他の者も異常に気付き、駆け寄ってくる光景が朧げに見えた。


 そんなみんなを嘲笑うかのごとく──。



〈妾が断ち切る!〉



 その声は雷鳴と重なり、頭に打ち付けられた。


 そしてこの時──国を覆う結界が消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載・書籍発売中☆

シリーズ累計145万部御礼
Palcy(web連載)→https://palcy.jp/comics/1103
講談社販売サイト→https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000355043

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中☆
最新7巻が発売中!
hev6jo2ce3m4aq8zfepv45hzc22d_b10_1d1_200_pfej.jpg

☆新作はじめました☆
「第二の聖女になってくれ」と言われましたが、お断りです
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ