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無双剣士の異世界魔王討伐  作者: 紫 魔夜
第一章 冒険の始まり
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ヒロイン再会

第十三話。ヒロイン再登場です。

 柵に囲まれた荒野の一角にあるのは、天空民(てんくうみん)の町ワラフスだ。現在は魔王配下の魔物によって支配されているが、住民は一人しかいない。

 とはいえ、その一人や入手アイテムは貴重であり、放っておくわけにはいかないイベントだ。

 狼刀(ろうと)三度(みたび)この町を訪れ、エンペラーダイルと対峙する。

「狩りに時間はかけない主義でな。我が必殺技を見せてやろう」

 一言一句違わぬセリフを言って、エンペラーダイルは両手を地面に突き刺した。攻撃方法も一切変化はない。狼刀はその攻撃を躱そうとは思わなかった。

 城壁の盾を構え、エンペラーダイルを待ち受ける。

「そんな盾ごときで、我が必殺技を防げるものか」

 そのセリフで狼刀は勝ちを確信した。

 エンペラーダイルはその大きな顎で盾に噛みついた――否、噛みつこうとした。

 狼刀が後ろに数歩下がったために、エンペラーダイルの牙は空振り。勢いを御しきれずに、盾に激突した。

 エンペラーダイルが姿勢を立て直す前に、狼刀が一歩踏み込んだ。硬い盾を押しつけて、のしかかるように倒れ込む。

 エンペラーダイルは、盾の下敷きになり、身動きが取れなくなった。

 その隙を見逃さずに、狼刀は竹刀をその横腹に突き立てる。

「ぐあぁぁ……」

 エンペラーダイルは短く悲鳴をあげて、消滅した。


 町を探索すると、前回同様、住人が一人もいないのことが確認出来た。村の最奥――(ひでり)の祠にも、前回同様、旱の石が供えてある。狼刀は、石に触れることなく、空を見上げた。

 天使(マナティ)にそっくりな少女――ドルフィンはそこにいた。

「あんた何よ」

「俺は結城(ゆうき)狼刀、魔王討伐の旅をしてる。君は?」

 狼刀は簡潔に自己紹介を行い、ドルフィンへと問いかける。狼刀は答えを知っているから、聞かなくても問題はないのだが、不自然にならないためには必要な手順だ。

 ドルフィンは値踏みするように、狼刀の周りを飛び回ってから答えた。

「あたしはドルフィン。偉大なる天空民、最後の生き残りよ」

 顔の造形はマナティと瓜二つ。初対面の時になぜ気が付かなったのか不思議なくらいだ。

「この町に巣くう魔物を倒してくれたことには感謝するわ。それで、この秘宝になんか用があるの?」

 回りくどい説明は不要。

「協力してほしい。魔物に支配された町を救うためにその秘宝が必要なんだ」

 狼刀はストレートに要件を告げた。

「わかったわ。でも、あたしがいないと使えないわよ」

 その回答は予想の範囲内。狼刀にも断る理由はない。ドルフィンを仲間に加え、狼刀は町を出た。

 誰もいない、無人の町を。

「さあ、行きましょう。ロート」

 ドルフィンはどこか楽しそうに、笑顔で浮いていた。


 てってけてー

 天空民の最後の生き残り、ドルフィンが仲間になった。

 所持アイテムは天空民族衣装(しろいワンピース)、旱の杖、破魔の指輪。


 技巧の町ネプトンは魔王配下の魔物によって支配されている。狼刀は三度(みたび)その町を訪れていた。

 ドルフィンにはひとまず隠れていてもらう。

 狼刀が相対するのは、鎌を持った二体の骸骨(がいこつ)――死霊騎士(しりょうきし)。手荒い歓迎だが、既に慣れたもので、狼刀に焦りはない。

 隙が生まれれば、決着は一瞬だった。

「ほう。死霊騎士を倒せる人間がいるとは驚きましたねェ」

 部下を倒せば親玉――鮫型の魔物(カイザーシャーク)が現れる。

「魔王軍では、カイザーシャークと呼ばれています。以後お見知りおきを」

 丁寧に、聞きなれた自己紹介をするのは分身体。判断した基準は、両手に持った大剣だ。

「降伏する気は――」

 狼刀は、分身体がそのセリフを言い終わるよりも早く、合図を出す。

「いまだ、ドルフィン!」

「りょーかい」

 軽い調子で返事をすると、ドルフィンは(ひでり)の杖を天にかざした。

 目の前にいた分身体が蒸発して消え、背後にあった池が干上がる。

「ほう。私の分身達を倒せる人間がいるとは驚きましたねェ」

 民家の扉が開き、何度も見てきた分身体に酷似した魔物が、ゆっくりと現れた。両手で持つのは重量級の三叉槍型の武器(トライデント)で、体長は分身体よりも大きく、三メートルは優に超えている。

 紛れもなく本体だ。

「魔王軍では、カイザーシャークと呼ばれています。以後お見知りおきを」

 名乗りは相変わらず、分身体とさえ変わらないが。

 トライデントを構えたその姿も、刺突の速度が分身体よりも遅いことも、前回と同じ。狼刀は余裕をもって攻撃を(かわ)すと、背中に竹刀を突き刺した。

「ぐぅ……」

 呻き声をあげカイザーシャークが消滅する


 狼刀は開放された住人達から話しを聞き、眠りについた。


 そして夜が明けた。


 狼刀はドルフィンをおいて町を出たりしない。天空民の最後の生き残り、ドルフィンを仲間にして旅をつづけるため。より厳密に言うなら、その杖を役立てるために。

 ドルフィンが目覚めると、狼刀は彼女をつれて洞窟に向かった。姫を助けるためではない。もちろん、後で助けはする。

 ただ、優先順位が高いのは火の町に巣くう天軍師を倒すことだ。

 一本道の明るい洞窟に、突如として分岐が現れる。狼刀はドルフィンより先に口を開いた。

「左に行くぞ。ドルフィン」

「み――」

 先に行ってしまった狼刀を、ドルフィンが慌てて追いかける。

「もー、待ってよ」

 一方的に結論を出して進んだ狼刀だが、ドルフィンがついてきたことを確認して、小さく安堵のため息を吐いた。


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