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会話劇『ミオとナオ』  作者: mutsu!(=むったん)


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23/27

23話 アシモフさんの無駄遣い

ある日。


(°▽°)

「ねぇねぇ、ナオ」


( ゜д゜)

「なに?」


(°▽°)

「マルチヴァクに質問できる」


( ゜д゜)

「……マルチヴァク?」


(°▽°)

「うん」


( ゜д゜)

「……は? アシモフの?」


(°▽°)

「うん。アシモフの」


( ゜д゜)

「なんで?」


(°▽°)

「いた」


( ゜д゜)

「いったい何とんでもないもん捕獲してきてんの!? その辺にいるものじゃないよ!?」


——マルチヴァク——

 それは人類が作り上げた超巨大電子頭脳。


 宇宙。


 生命。


 文明。


 人類の未来。


 ありとあらゆる問題を演算するために生み出された、偉大なる知性。


 その前にミオは立った。


( ˙-˙ )←ナオ

「……え?」


( ゜д゜)

「ミオ、まずさ、名前の表記戻して」


(°▽°)

「えー」


( ゜д゜)

「終わったネタを擦り直して、いつまで引っ張るのよ!」


(°▽°)

「しかたないなー、ほいっと」


ナオ

「この方が落ち着くわ」


ミオ

「大丈夫よ? 読者さんの中ではちゃんと


——(°▽°)=わたし

——( ゜д゜)=ナオ


に変換されてたはずだから」


ナオ

「……変換されてた読者さんはもう手遅れね」


ミオ

「ではでは質問があります」


ナオ

「待って待って待って!! 世界最高の頭脳よ? 心の準備が……」


マルチヴァク

『入力してください』


ミオ

「とりあえず呼び名と、表記はマルちゃんでおけ?」


ナオ

「おおおい! 天下のマルチヴァクさんにあんた何言ってんの!?」


ミオ

「だって、作者(おとーさん)がマルチヴァクって日本語だと書きにくいって」


ナオ

「……」


マルチヴァク→マルちゃん

『了。以下マルちゃんとお呼びください』


ナオ

「オーケーしちゃった」


ミオ

「食パンマン様は、AI的には何枚切りに見えますか?」


ナオ

「一問目それ!?」


マルちゃん

『画像データを要求します』


ミオつ□

「どうぞ」


ナオ

「用意してるし!」


マルちゃん

『解析中』


ナオ

「待って待って。これ前にもやったよね!? 食パンマン様が何枚切りかって!」


ミオ

「前は人間が考えた」


ミオ

「今回はAI判定」


ナオ

「検証手段を変えて擦り直すな!」


マルちゃん

『顔面の縦横比、推定厚、一般的な食パン一斤との比較、描画上のデフォルメを補正します』


ナオ

「何をそんな真面目に補正してるの!?」


マルちゃん

『推定結果』


ミオ

「お」


マルちゃん

『5枚切り相当である可能性が最も高いと判断します』


ミオ

「関西だったね!」


ナオ

「地域で結論づけるな!」


ミオ

「耳は?」


ナオ

「何?」


ミオ

「耳の部分までパンとして厚みに入れた?」


ナオ

「食パンマン様の耳の材質を検証するな!」


マルちゃん

『耳部を除外して再計算します』


ナオ

「再計算しなくていい!!」


マルちゃん

『6枚切り相当に近づきました』


ミオ

「なるほど」


ナオ

「何ひとつなるほどじゃないよ! 耳切り落としても分厚さは変わらないよ!! どういう基準!?」


ミオ

「よし次」


ナオ

「まだあるんだ……」


ミオ

「私たちがアニメ化する可能性は?」


ナオ

「…………」


ミオ

「どう?」


マルちゃん

『算出には、原作の認知度、読者数、継続率、商業展開、資金調達、企画決裁、制作会社との接点など、多数の変数が必要です』


ミオ

「全部推定で」


ナオ

「雑だ!」


マルちゃん

『推定します』


ナオ

「するんだ」


 数秒。


マルちゃん

『現時点では精度のある確率算出は困難です』


ミオ

「ゼロ?」


マルちゃん

『ゼロとは判定していません』


ミオ

「勝った」


ナオ

「だから何に!?」


ミオ

「作者(おとーさん)が突然、石油王と友達になる可能性も入れて」


ナオ

「変数が絶対におかしい!」


マルちゃん

『その事象が発生した場合、資金面に関する条件は改善する可能性があります』


ミオ

「作者(おとーさん)? じー」


ナオ

「石油王を探しに行かせるな! 画面の外を見るな!」


ミオ

「次」


ナオ

「質問のジャンルくらい統一しない?」


ミオ

「精神が肉体に与える影響を、エネルギー量に換算すると何ジュール?」


ナオ

「急にそれっぽい!」


マルちゃん

『精神そのものをエネルギーとしてジュール換算することはできません』


ミオ

「できないの?」


マルちゃん

『ただし、精神状態の変化によって生じる心拍、筋活動、代謝その他の身体反応について、エネルギー消費量の差分を推定することは可能です』


ナオ

「おお……」


ミオ

「じゃあ気合いは何ジュール?」


ナオ

「台無し!!」


『気合いの定義を要求します』


ミオ

「こう」


 ミオは拳を握った。


ミオ

「それはク◯リンのことかぁぁああ!!」


ナオ

「実演しなくていい!! 金髪になっちゃう!!」


マルちゃん

『音声出力、筋緊張、心拍上昇を含めれば――』


ナオ

「計算し始めた!」


ミオ

「愛の力は?」


ナオ

「やめなさい」


マルちゃん

『愛の定義を――』


ナオ

「マルチヴァクも乗らなくていいから!」


ミオ

「次」


ナオ

「今度は何?」


ミオ

「人間が死んだあと、生まれ変わりが発生する確率は?」


ナオ

「振れ幅!!」


マルちゃん

『観測可能なデータが不足しています』


ミオ

「0%?」


マルちゃん

『0%であることも証明できません』


ミオ

「ある」


ナオ

「その判定方法やめろ!」


ミオ

「次が猫の可能性は?」


ナオ

「急に期待し始めた」


マルちゃん

『算出不能です』


ミオ

「猫から人間は?」


マルちゃん

『算出不能です』


ミオ

「人間からカピバラ」


ナオ

「輪廻転生をキャラクリみたいに扱うな!」


ミオ

「次」


ナオ

「まだいくの!?」


ミオ

「猫と犬の合いの子が生まれる確率」


ナオ

「今度は生物学!」


マルちゃん

『自然交配によって生存可能な雑種個体が誕生する確率は、既知の生殖機構では実質的にゼロです』


ミオ

「愛では越えられない?」


ナオ

「染色体の壁を恋愛漫画みたいに言うな!」


ミオ

「でも猫と犬、仲良くしてる」


ナオ

「仲良しと交配可能は別!」


ミオ

「じゃあ」


ミオ

「見た目が猫で、性格が犬みたいな生き物は?」


マルちゃん

『猫です』


ナオ

「即答した!!」


ミオ

「賢い」


ナオ

「今日一番まともな回答かもしれない……」


ミオ

「じゃあ最後」


ナオ

「やっと最後?」


ミオ

「ナオが明日ガンダムになる確率は?」


ナオ

「ゼロ!!」


マルちゃん

『“ガンダムになる”の定義を要求します』


ナオ

「要求しなくていい!」


ミオ

「全高18メートルくらい」


ナオ

「ならない」


ミオ

「白い」


ナオ

「ならない」


ミオ

「赤と青と黄色が入ってる」


ナオ

「ならない!」


ミオ

「額からアンテナ二本」


ナオ

「生えない!!」


マルちゃん

『生物学的変異のみを想定した場合、確率は事実上ゼロです』


ミオ

「事実上」


ナオ

「そこに希望を見出すな!」


マルちゃん

『ただし』


ナオ

「ただし?」


マルちゃん

『着ぐるみを着用する、ガンダムを自称する、第三者からガンダムと呼称される等まで定義を拡張した場合、確率は上昇します』


ミオ

「明日いける」


ナオ

「いかないよ!?」


ミオ

「でもさ」


ナオ

「何?」


ミオ

「ここって、文字の世界だから」


ナオ

「…………」


ミオ

「作者(おとーさん)次第ではあるよね?」


ナオ

「…………」


ミオ

「マルチヴァク」


ナオ

「聞くな」


マルちゃん

『条件を修正します』


ナオ

「修正するな!!」


マルちゃん

『物理法則のみを考慮した場合、ナオが明日ガンダムになる確率は事実上ゼロです』


ミオ

「うん」


マルちゃん

『ただし、この世界が文字によって記述され、作者による設定変更が可能であると仮定した場合――』


ナオ

「嫌な仮定をするな!」


マルちゃん

『作者の意思決定を外生変数として追加する必要があります』


ミオ

「つまり?」


マルちゃん

『算出不能です』


ミオ

「可能性はある」


ナオ

「ない!!」


ミオ

「作者さんが一行書くだけだよ?」


ナオ

「やめろ」


ミオ

「翌朝」


ナオ

「やめろ」


ミオ

「ナオは――」


ナオ

「やめろって!」


ミオ

「ガンダムになっていた」


ナオ

「書くなァァァァァ!!」


マルちゃん

『この世界では、物理法則より作者権限が上位に存在する可能性があります』


ナオ

「世界の嫌な仕様を明文化するな!!」


ミオ

「じゃあ」


ナオ

「まだ何かあるの!?」


ミオ

「私たちがアニメ化する確率も」


ミオ

「作者(おとーさん)が頑張れば上がる?」


マルちゃん

『はい』


ミオ

「……」


ナオ

「……ミオ?」


ミオ

「じーっ」


ナオ

「画面の外をを見るな!」


ミオ

「じぃぃーっ」


ナオ

「無言で圧をかけるな!!」


マルちゃん

『なお、作者が石油王と友人になることで――』


ナオ

「その変数まだ残ってたの!?」

 

マルちゃん

「光あれ」


ナオ

「ミオのせいで壊れた!!」

アシモフさん、ごめんなさい笑笑

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