22話 童話シリーズ1【赤ずきん④】
ナオ
「死にかけの婆のジャーマンスープレックスってなんだー!!」
ミオ
「? こう、後ろに回って……こうやって腰のあたりを両腕で抱えて」
ナオ
「ちょっと待とうか!? 私にジャーマンスープレックスをかけようとするんじゃない」
ミオ
「冗談よ。するわけないでしょ」
ナオ
「びっくりさせないでよ!」
ミオ
「パンツ見えちゃうじゃない」
ナオ
「………………」
ミオ
「?」
ナオ
「待て」
ミオ
「とりあえず、綺麗に決まったらしい」
ナオ
「うん。とりあえず余命いくばくの婆ちゃんにやらせることじゃない!!」
ミオ
「続けるね」
ナオ
「まだ地獄があるの!?」
◇◇◇
赤ずきん
「それで、この狼どうするの?」
お婆ちゃん
「そうだねぇ」
狼
「…………」
赤ずきん
「殺る?」
狼
「え?」
赤ずきん
「なぶる?」
狼
「待ってグロい」
赤ずきん
「鍋?」
狼
「なんで最後だけ調理法やねん!!」
赤ずきん
「狼鍋って美味しいのかな?」
狼
「やめとけ俺が死ぬ」
赤ずきん
「食べられる?」
お婆ちゃん
「さあねぇ」
狼
「本人の前で食用判定すな!!」
赤ずきん
「じゃあ焼く?」
狼
「増やすな!!」
赤ずきん
「煮込み?」
狼
「鍋とほぼ一緒や!!」
赤ずきん
「燻製」
狼
「保存食にすなぁぁぁ!!」
◇◇◇
ナオ
「本人を目の前に食材として会話すんなぁぁぁ!!」
ミオ
「でも狼って、お肉よね?」
ナオ
「その分類なら私たちも肉だよ!!」
ミオ
「……」
ナオ
「なんで私を見るの?」
ミオ
「別に?」
ナオ
「今絶対なんか考えただろ!!」
◇◇◇
お婆ちゃん
「赤ずきんや」
赤ずきん
「なに?」
お婆ちゃん
「どんな理由があっても、無闇な殺生はいけないよ」
狼
「!」
赤ずきん
「そうなの?」
お婆ちゃん
「そうだよ」
狼
「婆ちゃん……」
お婆ちゃん
「命というのは、大切なものだからねぇ」
狼
「婆ちゃぁぁん……!」
N
「狼さん。
本日初めて出会った。
まともな人間の言葉に。
思わず目頭が熱くなります」
狼
「ありがとう……婆ちゃん……!」
赤ずきん
「じゃあ逃がすの?」
お婆ちゃん
「まさか」
狼
「え?」
赤ずきん
「でも殺さないんでしょ?」
お婆ちゃん
「殺しはしないよ」
狼
「よ、よかった……」
お婆ちゃん
「せっかく捕まえたんだ。もったいない」
狼
「…………」
赤ずきん
「もったいない?」
狼
「待って。なんか嫌な言葉出た」
お婆ちゃん
「そうだねぇ」
赤ずきん
「どうするの?」
お婆ちゃん
「ロボにしよう」
狼
「…………」
赤ずきん
「ロボ?」
お婆ちゃん
「ロボ」
狼
「…………ロボ?」
赤ずきん
「いいね」
狼
「絶対よくない」
お婆ちゃん
「じゃあ決まりだね」
狼
「勝手に決めんな!!」
赤ずきん
「狼ロボ」
お婆ちゃん
「強そうだねぇ」
狼
「俺の意思は!?」
赤ずきん
「ないよ?」
狼
「即答!?」
◇◇◇
ナオ
「殺すより怖いから!!」
ミオ
「無闇な殺生はしてないわ」
ナオ
「生命倫理どこいった!?」
ミオ
「活け造りよりマシ?」
ナオ
「それはもう捨ててるよね!?」
◇◇◇
狼
「ちょ、待ってや! ロボって具体的に何すんねん!」
お婆ちゃん
「まあ、いろいろだよ」
狼
「いろいろってなんや!!」
赤ずきん
「腕とか?」
狼
「何する気や!!」
お婆ちゃん
「足もいるねぇ」
狼
「元からあるわ!!」
赤ずきん
「目からビーム出したい」
狼
「いらんわ!!」
お婆ちゃん
「口から火もいいねぇ」
狼
「狼の原型なくなってきたぞ!!」
赤ずきん
「空飛べる?」
お婆ちゃん
「頑張れば」
狼
「何を頑張るんや!!」
赤ずきん
「変形も」
狼
「どこを目指してんの!?」
お婆ちゃん
「じゃあ、さっそく始めようかねぇ」
狼
「待て待て待て待て!!」
SE ガラガラガラ
狼
「なんやその道具箱ぁぁぁぁ!!」
お婆ちゃん
「赤ずきん。そっち押さえとくれ」
赤ずきん
「はーい」
狼
「返事すな!!」
お婆ちゃん
「目隠しはしてあげようか」
狼
「やめて? あっ……」
SE カチャ
狼
「今なんか金属音したぞ!?」
お婆ちゃん
「大丈夫大丈夫」
狼
「何が大丈夫なんや!!」
赤ずきん
「お婆ちゃん」
お婆ちゃん
「なんだい?」
赤ずきん
「これ?」
お婆ちゃん
「ああ、それそれ」
狼
「それ? それって何ぃぃぃぃぃ!?」
SE ギュイィィィィン
狼
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
◇◇◇
ナオ
「電動工具ぉぉぉぉ!!」
ミオ
「便利よね」
ナオ
「用途の話してない!!」
◇◇◇
N
「その日の夜。
森の中には。
狼さんの悲鳴と。
何かを切ったり。
繋いだり。
削ったりしているような音が。
夜遅くまで響いていたそうです」
狼
「やめてぇぇぇぇぇ!!」
SE ギュイィィィン
赤ずきん
「あ」
狼
「今の『あ』なんや!?」
赤ずきん
「間違えた」
狼
「何をぉぉぉぉ!?」
お婆ちゃん
「あら」
狼
「今度はなんや!!」
お婆ちゃん
「取れちまったよ」
狼
「何がぁぁぁぁぁぁ!?」
SE ギュイィィィン
N
「そして。
その日を境に。
狼の姿を見た者はいなくなりました」
狼
「待って? 俺、俺どうなったの!?」
N
「それから数年後。
少し離れた町で。
夜な夜な赤い目を光らせ。
金属音を響かせながら歩く。
奇妙な狼男の噂が広がったそうです」
狼
「改造されとるやないかぁぁぁぁぁ!!!」
N
「めでたし。
めでたし」
狼
「どこがぁぁぁぁぁぁ!!!」
◇◇◇
ナオ
「めでたくない!!」
ミオ
「原作通り、狼は退治されたわ」
ナオ
「退治の方法が原作から一万光年くらい離れてんのよ!!」
ミオ
「でも、お婆ちゃんも赤ずきんも無事」
ナオ
「狼だけ人生どころか種族まで変わってる!!」
ミオ
「命は助かったじゃない」
ナオ
「生存判定だけでハッピーエンドにすんな!!」
ミオ
「というわけで」
ナオ
「というわけで、じゃない!!」
ミオ
「小学校三年生の私が書いた『赤ずきんの真実』でした」
ナオ
「…………」
ミオ
「どうだった?」
ナオ
「今のあんたより怖い」
ミオ
「えー?」
ナオ
「小三で『土地の権利書』『不法占拠』『狼をロボ化』まで辿り着くな!!」
ミオ
「才能?」
ナオ
「悪童の才能な!!」
ミオ
「じゃあ学園祭の台本、これにする?」
ナオ
「絶対やらない!!」
ミオ
「配役、ナオはお花Eね」
ナオ
「なんで!?」
ミオ
「似合うかなって」
ナオ
「どこが!?」
ミオ
「『せめて摘んでからにしてぇぇぇぇ!!』」
ナオ
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
赤ずきんさん、お・わ・り。
ナオ
「お、わ、り。じゃないよ! グロいから! 子供が泣いちゃうから!!」
ミオ
「大丈夫。オペの時はちゃんと麻酔はしてあるから」
ナオ
「そう言う問題じゃない!!」
ミオ
「まあ、たしかに終わり、じゃないわね。(°▽°)つエイ」
《音声ドラマ【赤ずきんさん】》
https://youtube.com/playlist?list=PLVSUz-V5BkIRLMvvOsb7cvjRu4A5MbZvH&si=1jZ57HYMoSTC6zVT
ナオ
「え?」
ミオ
「作者さんの音声ドラマのYouTubeチャンネル。赤ずきんの真実の音声ドラマが聞ける。中身ほぼ一緒」
ナオ
「4話もかけて広告だったんかーーい!!!」




