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会話劇『ミオとナオ』  作者: mutsu!(=むったん)


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22/27

22話 童話シリーズ1【赤ずきん④】

ナオ

「死にかけの婆のジャーマンスープレックスってなんだー!!」


 ミオ

「? こう、後ろに回って……こうやって腰のあたりを両腕で抱えて」


 ナオ

「ちょっと待とうか!? 私にジャーマンスープレックスをかけようとするんじゃない」


 ミオ

「冗談よ。するわけないでしょ」


 ナオ

「びっくりさせないでよ!」


 ミオ

「パンツ見えちゃうじゃない」


 ナオ

「………………」


 ミオ

「?」


 ナオ

「待て」


 ミオ

「とりあえず、綺麗に決まったらしい」


 ナオ

「うん。とりあえず余命いくばくの婆ちゃんにやらせることじゃない!!」


 ミオ

「続けるね」


 ナオ

「まだ地獄があるの!?」


 ◇◇◇


 赤ずきん

「それで、この狼どうするの?」


 お婆ちゃん

「そうだねぇ」


 狼

「…………」


 赤ずきん

「殺る?」


 狼

「え?」


 赤ずきん

「なぶる?」


 狼

「待ってグロい」


 赤ずきん

「鍋?」


 狼

「なんで最後だけ調理法やねん!!」


 赤ずきん

「狼鍋って美味しいのかな?」


 狼

「やめとけ俺が死ぬ」


 赤ずきん

「食べられる?」


 お婆ちゃん

「さあねぇ」


 狼

「本人の前で食用判定すな!!」


 赤ずきん

「じゃあ焼く?」


 狼

「増やすな!!」


 赤ずきん

「煮込み?」


 狼

「鍋とほぼ一緒や!!」


 赤ずきん

「燻製」


 狼

「保存食にすなぁぁぁ!!」


 ◇◇◇


 ナオ

「本人を目の前に食材として会話すんなぁぁぁ!!」


 ミオ

「でも狼って、お肉よね?」


 ナオ

「その分類なら私たちも肉だよ!!」


 ミオ

「……」


 ナオ

「なんで私を見るの?」


 ミオ

「別に?」


 ナオ

「今絶対なんか考えただろ!!」


 ◇◇◇


 お婆ちゃん

「赤ずきんや」


 赤ずきん

「なに?」


 お婆ちゃん

「どんな理由があっても、無闇な殺生はいけないよ」


 狼

「!」


 赤ずきん

「そうなの?」


 お婆ちゃん

「そうだよ」


 狼

「婆ちゃん……」


 お婆ちゃん

「命というのは、大切なものだからねぇ」


 狼

「婆ちゃぁぁん……!」


 N

「狼さん。


 本日初めて出会った。


 まともな人間の言葉に。


 思わず目頭が熱くなります」


 狼

「ありがとう……婆ちゃん……!」


 赤ずきん

「じゃあ逃がすの?」


 お婆ちゃん

「まさか」


 狼

「え?」


 赤ずきん

「でも殺さないんでしょ?」


 お婆ちゃん

「殺しはしないよ」


 狼

「よ、よかった……」


 お婆ちゃん

「せっかく捕まえたんだ。もったいない」


 狼

「…………」


 赤ずきん

「もったいない?」


 狼

「待って。なんか嫌な言葉出た」


 お婆ちゃん

「そうだねぇ」


 赤ずきん

「どうするの?」


 お婆ちゃん

「ロボにしよう」


 狼

「…………」


 赤ずきん

「ロボ?」


 お婆ちゃん

「ロボ」


 狼

「…………ロボ?」


 赤ずきん

「いいね」


 狼

「絶対よくない」


 お婆ちゃん

「じゃあ決まりだね」


 狼

「勝手に決めんな!!」


 赤ずきん

「狼ロボ」


 お婆ちゃん

「強そうだねぇ」


 狼

「俺の意思は!?」


 赤ずきん

「ないよ?」


 狼

「即答!?」


 ◇◇◇


 ナオ

「殺すより怖いから!!」


 ミオ

「無闇な殺生はしてないわ」


 ナオ

「生命倫理どこいった!?」


 ミオ

「活け造りよりマシ?」


 ナオ

「それはもう捨ててるよね!?」


 ◇◇◇


 狼

「ちょ、待ってや! ロボって具体的に何すんねん!」


 お婆ちゃん

「まあ、いろいろだよ」


 狼

「いろいろってなんや!!」


 赤ずきん

「腕とか?」


 狼

「何する気や!!」


 お婆ちゃん

「足もいるねぇ」


 狼

「元からあるわ!!」


 赤ずきん

「目からビーム出したい」


 狼

「いらんわ!!」


 お婆ちゃん

「口から火もいいねぇ」


 狼

「狼の原型なくなってきたぞ!!」


 赤ずきん

「空飛べる?」


 お婆ちゃん

「頑張れば」


 狼

「何を頑張るんや!!」


 赤ずきん

「変形も」


 狼

「どこを目指してんの!?」


 お婆ちゃん

「じゃあ、さっそく始めようかねぇ」


 狼

「待て待て待て待て!!」


 SE ガラガラガラ


 狼

「なんやその道具箱ぁぁぁぁ!!」


 お婆ちゃん

「赤ずきん。そっち押さえとくれ」


 赤ずきん

「はーい」


 狼

「返事すな!!」


 お婆ちゃん

「目隠しはしてあげようか」


 狼

「やめて? あっ……」


 SE カチャ


 狼

「今なんか金属音したぞ!?」


 お婆ちゃん

「大丈夫大丈夫」


 狼

「何が大丈夫なんや!!」


 赤ずきん

「お婆ちゃん」


 お婆ちゃん

「なんだい?」


 赤ずきん

「これ?」


 お婆ちゃん

「ああ、それそれ」


 狼

「それ? それって何ぃぃぃぃぃ!?」


 SE ギュイィィィィン


 狼

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ◇◇◇


 ナオ

「電動工具ぉぉぉぉ!!」


 ミオ

「便利よね」


 ナオ

「用途の話してない!!」


 ◇◇◇


 N

「その日の夜。


 森の中には。


 狼さんの悲鳴と。


 何かを切ったり。


 繋いだり。


 削ったりしているような音が。


 夜遅くまで響いていたそうです」


 狼

「やめてぇぇぇぇぇ!!」


 SE ギュイィィィン


 赤ずきん

「あ」


 狼

「今の『あ』なんや!?」


 赤ずきん

「間違えた」


 狼

「何をぉぉぉぉ!?」


 お婆ちゃん

「あら」


 狼

「今度はなんや!!」


 お婆ちゃん

「取れちまったよ」


 狼

「何がぁぁぁぁぁぁ!?」


 SE ギュイィィィン


 N

「そして。


 その日を境に。


 狼の姿を見た者はいなくなりました」


 狼

「待って? 俺、俺どうなったの!?」


 N

「それから数年後。


 少し離れた町で。


 夜な夜な赤い目を光らせ。


 金属音を響かせながら歩く。


 奇妙な狼男の噂が広がったそうです」


 狼

「改造されとるやないかぁぁぁぁぁ!!!」


 N

「めでたし。


 めでたし」


 狼

「どこがぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ◇◇◇


 ナオ

「めでたくない!!」


 ミオ

「原作通り、狼は退治されたわ」


 ナオ

「退治の方法が原作から一万光年くらい離れてんのよ!!」


 ミオ

「でも、お婆ちゃんも赤ずきんも無事」


 ナオ

「狼だけ人生どころか種族まで変わってる!!」


 ミオ

「命は助かったじゃない」


 ナオ

「生存判定だけでハッピーエンドにすんな!!」


 ミオ

「というわけで」


 ナオ

「というわけで、じゃない!!」


 ミオ

「小学校三年生の私が書いた『赤ずきんの真実』でした」


 ナオ

「…………」


 ミオ

「どうだった?」


 ナオ

「今のあんたより怖い」


 ミオ

「えー?」


 ナオ

「小三で『土地の権利書』『不法占拠』『狼をロボ化』まで辿り着くな!!」


 ミオ

「才能?」


 ナオ

「悪童の才能な!!」


 ミオ

「じゃあ学園祭の台本、これにする?」


 ナオ

「絶対やらない!!」


 ミオ

「配役、ナオはお花Eね」


 ナオ

「なんで!?」


 ミオ

「似合うかなって」


 ナオ

「どこが!?」


 ミオ

「『せめて摘んでからにしてぇぇぇぇ!!』」


 ナオ

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 赤ずきんさん、お・わ・り。


 ナオ

「お、わ、り。じゃないよ! グロいから! 子供が泣いちゃうから!!」


 ミオ

「大丈夫。オペの時はちゃんと麻酔はしてあるから」


 ナオ

「そう言う問題じゃない!!」


 ミオ

「まあ、たしかに終わり、じゃないわね。(°▽°)つエイ」

《音声ドラマ【赤ずきんさん】》

https://youtube.com/playlist?list=PLVSUz-V5BkIRLMvvOsb7cvjRu4A5MbZvH&si=1jZ57HYMoSTC6zVT


 ナオ

「え?」


 ミオ

「作者さんの音声ドラマのYouTubeチャンネル。赤ずきんの真実の音声ドラマが聞ける。中身ほぼ一緒」


 ナオ

「4話もかけて広告だったんかーーい!!!」



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