20話 童話シリーズ1【赤ずきん②】
ナオ
「お前はまず、お花さんたちに謝れ!!」
ミオ
「でも、原作通りよ?」
ナオ
「どの赤ずきんにお花の断末魔があるの!?」
ミオ
「じゃあ続き」
ナオ
「聞いて!?」
◇◇◇
第三幕 狼さん
M 夕方っぽい音楽
N
「さて。お花畑をほぼ壊滅させた赤ずきんちゃん。
空もそろそろ夕方。
余命いくばくなお婆ちゃんのお見舞いに来たはずなのですが。この時点で、家を出てからそこそこ時間が経っています」
赤ずきん
「あー、楽しかった」
お花D
「…………」
お花E
「…………」
赤ずきん
「そろそろ行こっかな」
お花D
「行け……」
お花E
「二度と来るな……」
N
「やり切った顔で、赤ずきんちゃんが立ち去ろうとした。
——その時でした」
狼
「ゴルァァァァ!!」
赤ずきん
「?」
狼
「そこの赤ずきんの女ァ!! わてのお花畑で何さらしとんじゃボケェ!!」
お花D
「狼さん!」
お花E
「狼さぁぁぁん!!」
狼
「…………」
お花D
「助けて……」
お花E
「寒い……」
狼
「…………何があった」
お花D
「全部あの女です」
お花E
「花びら……返して……」
狼
「お前ぇぇぇぇぇ!!」
赤ずきん
「うるさいわねぇ。どうしたのかしら?」
狼
「うるさいちゃうわ!! 『どうしたの?』ちゃうわ!!
なんやこれ!?」
N
「狼さん。自慢のお花畑を見渡します」
狼
「昨日まであんな綺麗に咲いとったやろが!」
赤ずきん
「そうなの?」
狼
「そうなのちゃうわ!」
お花D
「昨日までは……」
お花E
「みんな笑ってた……」
狼
「何してくれとんねん!!」
赤ずきん
「お花摘み」
狼
「見たらわかるわ!!」
赤ずきん
「お婆ちゃんのお見舞いなの」
狼
「知るか!!」
赤ずきん
「余命いくばくなのよ?」
狼
「やかましいわ!!
お前のその手の中のお花たちは、もう余命ないわ!!」
赤ずきん
「ケチ」
狼
「誰がケチじゃボケェッ!! 人んとこのお花を勝手に毟っといて!! あぁ……残った花たちまでこんな、こんな花びら……全部毟ったらんでもええやろ!!」
赤ずきん
「…………」
狼
「なんや」
赤ずきん
「人んとこ?」
狼
「せや!」
赤ずきん
「ここ、あなたのお花畑なの?」
狼
「せや言うとるやろ!」
赤ずきん
「全部あなたが育てたの?」
狼
「そうや!」
赤ずきん
「へー」
狼
「なんやその反応!」
赤ずきん
「すごいね」
狼
「お、おう」
赤ずきん
「で?」
狼
「ん?」
赤ずきん
「土地の権利書は?」
狼
「…………」
赤ずきん
「あなたの土地なんでしょ?」
狼
「…………」
赤ずきん
「権利書」
狼
「…………ない」
赤ずきん
「ないの?」
狼
「いや、だって狼やから……」
赤ずきん
「狼だから?」
狼
「持ってへん……」
赤ずきん
「ふーん」
狼
「…………」
赤ずきん
「じゃあ、ここあなたの土地じゃないんじゃない?」
狼
「いやいやいや!」
赤ずきん
「だって証明できないじゃない」
狼
「ずっとわてが手入れして――」
赤ずきん
「不法占拠?」
狼
「なんでやねん!!」
赤ずきん
「あっ」
狼
「なんや!」
赤ずきん
「警察呼ぼっか?」
狼
「なんで!?」
赤ずきん
「だって不法占拠でしょ?」
狼
「ちゃうわ!!」
赤ずきん
「じゃあ権利書」
狼
「…………」
赤ずきん
「ないんでしょ?」
狼
「…………はい」
赤ずきん
「警察」
狼
「待って」
赤ずきん
「なに?」
狼
「駆除される」
赤ずきん
「知らないわよ」
狼
「話し合おう」
赤ずきん
「文明的ね」
お花D
「…………」
お花E
「…………」
お花D
「俺たちも言ったよな」
お花E
「言った」
赤ずきん
「どうする?」
狼
「…………見逃してもらえませんか?」
赤ずきん
「えー?」
狼
「お願いします」
赤ずきん
「でもなぁ」
狼
「ほんますんません」
赤ずきん
「仕方ないなぁ」
狼
「ありがとうございます!」
赤ずきん
「今回だけよ?」
狼
「はい!」
赤ずきん
「もう勝手に土地を占拠しちゃダメだからね?」
狼
「はい!」
赤ずきん
「わかった?」
狼
「はい! すんませんでした!」
赤ずきん
「よろしい」
N
「こうして。
なぜか。
お花畑を壊滅させた赤ずきんちゃんではなく。
狼さんが謝ることになりました」
狼
「すんません……ほんますんません……」
N
「狼さんは何度も頭を下げながら。
森の奥へ帰っていきました」
お花D
「狼さん……」
お花E
「俺たちを置いていかないで……」
赤ずきん
「さて」
お花D・E
「「ひっ」」
赤ずきん
「お婆ちゃんの家行こ」
お花D
「行ってください」
お花E
「今すぐ」
赤ずきん
「じゃあねー」
お花D
「二度と来るな!」
◇◇◇
ナオ
「待てぇぇぇぇぇ!!」
ミオ
「なに?」
ナオ
「何で被害者が追い出されてんの!?」
ミオ
「土地の権利関係に不備があったから」
ナオ
「お花を毟った事実は消えないよ!?」
ミオ
「でも狼さん、負けたでしょ?」
ナオ
「公権力でな!!」
ミオ
「小学生に論破される狼さん」
ナオ
「書いた時のお前が小三だったことを思い出させるな!!」
◇◇◇
第四幕 お婆ちゃんの家
M のどかな音楽
N
「それから、しばらくして。
道草を食い。
お花畑を壊滅させ。
狼さんを公権力で撃退した赤ずきんちゃんは――」
SE 足音
赤ずきん
「あっ」
N
「ようやく」
赤ずきん
「着いたー!」
N
「余命いくばくなお婆ちゃんの家へ到着しました」
◇◇◇
ナオ
「遅いよ!!」
ミオ
「ちゃんと着いたじゃない」
ナオ
「お見舞いに行くだけで一つの集落を滅ぼす勢いじゃん!」
ミオ
「お花畑よ?」
ナオ
「そこじゃない!!」
ここまで読んでくれた人、ありがとうございます。
このノリが好きな人は
拙作ガルナイこと、
『騎馬戦記⭐︎ガールズナイツ』
も楽しめると思います。
良かったら見に来てくださいね٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
https://ncode.syosetu.com/n4403mc/




