第12話 「雨の日の傘と温かな時間」
朝、窓を開けると、外はしとしとと雨模様。
この世界に来て初めての雨の日だ。
「今日はのんびりする日かな」と思いながらも、傘を手に町へ出かけることにした。
雨で人通りが少ない町を歩いていると、広場でひとり雨に濡れて立ち尽くしている小さな少年を見つけた。
「どうしたの?」と声をかけると、少年は少し恥ずかしそうに答える。
「傘を持ってなくて……家に帰れないんだ」
僕はすぐに傘を差し出した。
「じゃあ、一緒に帰ろう!」
少年の顔がパッと明るくなり、僕たちは肩を寄せ合って歩き出した。
雨粒が傘を叩く音は、どこか心地よく、二人で歩く時間はとても穏やかだった。
途中でパン屋に寄ると、店主がお礼にと温かい焼き立てパンをくれた。
「雨の日は大変だけど、こうして人と助け合えるのも悪くないね」
少年が嬉しそうに笑い、僕も自然と笑みがこぼれる。
家にたどり着いたとき、少年は大きな声で「ありがとう!」と言って手を振った。
その瞬間、空から雨がやみ、雲の隙間から柔らかな光が差し込んだ。
「今日も小さな幸せに出会えたな……」
雨の日だからこそ生まれた優しい出会い。
こうして12日目も、心温まる一日が静かに幕を閉じた。
第12話も読んでいただき、ありがとうございます!
今回は初めての雨の日が舞台でした。
傘を分け合うことで小さな絆が生まれたり、パン屋さんから温かいパンをもらえたりと、雨だからこそ生まれるハッピーを描いてみました。
日常の中のささやかな出来事が、特別な思い出になる――そんな世界をこれからも届けていけたらと思います。
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次回も、主人公の毎日ハッピーな異世界生活をお楽しみに。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました!




