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最終話 魔王城でほっこり(マオ&ミーナ)

オルガ達に別れの挨拶をし、俺とミーナは久しぶりにミーナの故郷パルオの町に転移した。


「ミーナじゃないか」


ちょうど父親のカナムさんが丸太を運んでいた。俺はすかさず近づいて丸太をかついであげた。


「おぉ、君はマオくんだったね。ちょっと見ない間に少し大人っぽくなってきたね」


ミーナがお父さんにただいまの挨拶をして、歩いてミーナの家へ向かった。


家では母親のミルリさんが家の掃除をしていた。


「おや、ミーナ。おかえりなさい」


「お母さん、ただいま。無事アークザリア領内の魔王を全て倒してきました。


「それは、めでたいねぇ。昼食は少し豪華な食事にしようか」


「なんと、それではミーナはもう旅にでなくていいのかな」


カナムさんが嬉しそうに聞いてきた。うん、確かに旅に出る必要は当分ないだろうね。


しばらくはパルオの町で暮らすんだろうな。


「で、マオくんはどうすうるんだい? 木こりになる決心がついたのかい?」


いやいや、いつ木こりになりたいって言ってましたか?


木こりも悪くないかもしれないけど、魔族のジョブではないでしょう。


「すみません、木こりになる決心はついてませんが、しばらくお手伝いはさせてもらおうかと考えてます」


「そうか、木こりには興味があるんだな」


いや、全く興味ないけど、しばらくここに住まわせてもらうのなら何か手伝いとかしないと悪いしな。


「はいはい、そういう話は後で」


ミーナが間に入り、話を中断させ、俺はミーナに手を引かれミーナの部屋まで移動することになった。


「もう、お父さん、すぐに木こりの話するから。ごめんね、マオくん」


「いや、別に嫌な気とかはしないから大丈夫だよ。しばらくここにいる予定だろうから、手伝いとかしようかと思ってるだけ」


「あ、あのね。昼食の時に話しようと思うの。マオくんとの結婚の話。いいかな?」


「もちろん、嫌なことなんて全然ないよ。むしろ俺で本当にいいの?」


「マオくんが運命の人だと思う。だからマオくんじゃなきゃ嫌かも」


惚れられてるな俺。まあ、俺もミーナに負けず大好きだけどな。俺たちは自然に近づきキスをした。


昼食の時のミーナが非常に緊張していて、動きがぎこちない。


ミルリさんも何か雰囲気がおかしいことに気付いているみたいだった。


「ミーナ、どうしたの。さっきから落ち着きがないみたいだけど」


ミルリさんが、うまく話しをふってくれた。


「あのね、お父さん、お母さん。私、マオくんと結婚します。あ、今すぐとかじゃなくてね、マオくんが15歳になったら結婚します」


ミーナ、大事な事だから2回言ってくれたのか。


ミルリさんは、ニッコリ笑っていたけどカナムさんは固まっていた。


「つい最近まで子供だと思っていたのに、この前きた時は彼氏で、もう結婚相手なのね」


ミルリさんは、俺とミーナの結婚に反対するような雰囲気はなかった。


「お父さんは許さないぞ。いくら良い魔族だからって、うちのカワイイ娘はあげれない。木こりになって跡継ぎになるのなら考えよう」


何だ、それは。木こりの跡継ぎになら娘を差し出すのか。カナムさんの考え方がいまいちわからん。


「お父さん、反対しても無駄だから。私はもうマオくんと結婚するって決めているから」


ミーナはズバリ言うなあ。カナムさんミーナの言葉にばっさり斬られて、心のHPがほとんどないよ。


「ミーナさんは一生大切にします。だからミーナさんとの結婚を認めてください」


「認めな…」


ギロっとカナムさんを睨むミーナの視線に耐えられなくなってカナムさんが最後まで発言できなかった。


「私はミーナの幸せを優先するから認めるわよ。ミーナもちょっと見ない間に大人っぽくなってきたし、マオさんよろしくね」


ミルリさんの許可は得た。許可を得なくても結婚はできるけど両親には認められたいものだ。


豪華な昼食も終わりカナムさんは木こりの仕事に戻った。もちろん俺は手伝いのため同行する。


木をサクサク斬り倒し、そして運ぶ。通常4人分くらいの仕事を俺1人でやっていた。


「マオくんが、木こりになってくれたら本当に嬉しいんだけどな」


カナムさんは俺が跡を継いでくれるのを本当に期待しているが、木こりは労魔人の次くらいに勘弁してもらいたい。


「それだけの力があれば娘も守ってもらえそうだな。その点については君を信用しているよ」


長い魔王討伐の旅に自分の娘が心配でない親などいない。


無事戻ってこれたのは、パーティみんなのおかげだがミーナをみて安心したのだろう。


「でも、ミーナ一人でも凄く強いんですよ」


「それは分かった」


などとミーナの話で盛り上がりながら俺たちは木こりの仕事をこなしていった。


それから何日かミーナの家で過ごした。


ミーナはお母さんに何か色々教わっているようだった。俺は木こりの仕事を手伝い続けていた。


ある日、俺の指輪が少し光っていた。これは、魔王城からの呼び出しのサインだ。


ミーナに話をして、俺たち2人は俺の家に行くということでミーナの両親に挨拶をして魔王城へ転移した。


魔王城に転移すると、いつものようにササが出迎えてくれる。


「ねぇねぇだ~」


お、いつもは俺に飛んでくるのに、今回はミーナの方に飛んでいった。ミーナもササを見て大興奮だ。


ちょっと落ち着いて欲しい。

ミーナがササを抱っこしながら、城内へと入っていった。


ササが食堂へ向かってというので、食堂に着くとあの2人が来ていた。


「師匠~」


俺に向かってとびついてきたのはポンパ村のツバイだ。少し見ない間にこいつもレベルを上げていた。


そしてもう一人はリンだった。


「マオさん、お久しぶりです」


まあ、1週間くらいしか経っていないけどな。リンは以前と違ってキリっとしていて元気そうだった。


しかし、何か雰囲気が違う。


「あれ、リンもしかして転職した?」


「はい。転職して双剣士になりました。レベルが1になってしまったので弱弱ですが」


笑いながら答えるリンは、もう大丈夫そうに見えた。


「双剣士ってヘルメドのラーシャさんと同じだね」


「そうです。あの戦いぶりが恰好よくて転職してしまいました。実はこれからヘルメドに行って教えてもらおうと思ってます」


「なるほど、それで挨拶にきたんだな」


「はい、それとレベルが1になってしまったのでヘルメドまで転移をお願いしようかと思いまして」


「あぁ、レベル1ではさすがに危険だよな。まあ、せっかく来たのだから数日ここで過ごしなよ」


「リン姉ちゃん、そうしようよ」


ツバイは魔王城にきてテンションが上がっているみたいだ。


リンも仕方ないなあとか言いつつ、しばらくここに滞在することにした。


リンとツバイの関係も何か良くなってそうだった。昼間は俺がツバイに槍術を教えていた。


こいつは意外と飲み込みが早く教えがいがある。


リンはミーナと俺の母親と話をしていることが多かった。なんの話をしているんだろうか。


気になって聞いたことがあったがミーナは教えてくれなかった。


結局リン達が滞在したのは4日間だった。


まずはミーナの転移でヘルメド国へ行き、その後ツバイだけポンパ村へ転移で戻した。


ミーナがラーシャさんに話をしたら、すぐにリンがラーシャさんに教えてもらえることになった。


なぜだか俺はラーシャさんに近づかせてもらえなかった。


ミーナは他の女性に気をつかい過ぎだと思うが口にすることはできない。俺たちはまた魔王城へ戻った。


魔王は1度倒すと、俺のような後継者がいない限りは1年ぐらいしないと生まれてこないそうだ。


もし、生まれてきてもレベルが低い魔王はミーナ1人でも倒せてしまう。


アークザリアは、かつてないほどの平和が訪れていると言っても良いだろう。


魔族に転生してから実時間は1年とちょっとだけど、凄く充実した時間を過ごせた。


ミーナにしてもそうだ。前世では彼女さえできなかったのに、あんな可愛い彼女と結婚できるとか夢みたいだ。


夢? あ、これ夢オチってことはないよね。


心配になって頬をつねってみたけど普通に痛かった。良かった夢ではないみたいだ。


波乱の1年ちょいだったけど、これからはゆったりとした日々を過ごしていこう、ミーナと2人で。


「マオくん、紅茶入ったよ。おやつにしない」


可愛い勇者が俺を呼んでいる。


「ああ、今いくよ」


勇者と魔王の息子に安寧の日々は……なかったことを後に知る。


- 終 -






魔王を倒して恋人同士になったところで、この話はお終いです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。評価してもらえると作者が喜びます。

次回作はもっと面白くなるよう頑張っていきます。では、また。

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