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第四十二話 属国対勇者ミーナ

食事は高級宿で振る舞われた。なぜがアークザリア騎士団の代表の方々と一緒だ。


そう、ガン、ハママ、ラン、ロメリアの4人だ。俺たち9人でテーブルを囲んでいた。


「いやあ、今日はびっくりしたぞ。あの硬いドラゴンの鱗をものともせず攻撃できる武器、さぞかし高名な鍛冶師が作成したのだろう」


ガンが食事しながら大声で俺に話かけてきた。


「あれは、オルガが作成した武器だぞ。俺もミーナの武器もオルガ製作だ」


オルガが鍛冶スキル持ちであることを知っていたガンであったが、まさか俺とミーナの武器までオルガが作っていたとは知らなかったようだ。


「なにぃ。オルガが作った武器だと言うのか」


ガンがオルガの方を向いてまた大声をあげる。


「ふふ。そうだミーナとマオが持っている武器は私が製作したものだ」


誇らしげにオルガが答える。それを聞いて飛びついたのはイケメン(ハママ)だ。


「オルガさん、僕にも一つ剣を作ってもらえないでしょうか」


「おい、ハママ待て。団長より先に作ってもらうのはおかしいだろう。それにオルガと俺は同郷だからな」


完全に武器の話になってしまっていた。


ガン、ハママ、オルガの3人はあーだこーだ武器の話をしている。


ふと隣のリンを見ると向かいのロメリアと何か話をしていた。


「あなた小さいのに魔法の連射力はなかなかよね。威力もそこそこあるし。ねぇ、魔法の連射って何かコツがあるの?」


「小さいは余計です。魔法の連射ですがイメージの問題だと思います。わたしは基本無詠唱で魔法の矢を発現させるのでイメージを大事にしているのです。つまり、最初の攻撃をするときには次の矢のイメージも終わっているのです」


「なるほど、イメージすることは大事だわね。イメージを連続で行う訓練をしないといけないってことね。う~ん、あんた年下なのに凄いな。勉強になるわ。私も魔法のコツみたいのを代わりに教えてあげる」


なんだかんだ魔法使いの2人は仲良くやれているみたいだ。


同じエルフ族だし、仲良いことはいいことだ。


反対側の端の方ではカルさんとランさんが仲良さそうに話をしている。


「みんな仲良くなったもんだ」


ポロっと口を出た言葉を隣のミーナに聞かれていた。


「ふふっ、本当。とても殺し合いをした仲とは思えないね。私も最初はこの人達のこと大嫌いだったけど、今はそうではないな。色々話し合ったりしないとわからないのね」


「そうだね。俺もミーナのこともっと知りたいから、いっぱい話しないとね」


「もっと知りたいって……エッチなことする気なの?」


なぜそうなる。


いや、それはほら、男なら好きな女の子とスキンシップもしたくなるけど、内面的な意味でいったつもりなんだが。


「こんな人前で勇者がイチャイチャしてていいのか」


ガンが急に割り込んできた。


「そうだガンよもっと言ってやれ。勇者とマオはいつもイチャイチャしておるのだ」


あれぇ、オルガ酔っぱらってないか。


まあ、確かに隙あればイチャイチャしているけどな。だが、止めん。


俺たちの話にリンも参入してきて場はもうわやくちゃとなってしまった。


なんだかんだ楽しい時間を過ごして、食事を終え騎士団の人と別れた後はそのまま部屋に戻った。


お酒も少し入ってホロ酔い気分だ。ミーナもうっすら桃色の肌が悩ましい。


困ったのはリンだった。誰だリンに酒をすすめたのは。


リンは気分が悪くなったのかトイレから一行に戻らないままだった。


後で見に行くとトイレで寝ていたリンを発見した。仕方なくミーナに頼んでリンを運んでもらった。


俺がリンを抱いてベッドまで運んでも良かったのだが、ミーナに気を使ってみた。


ミーナも嫌な顔せずリンを運んだ後、俺の方を見て嬉しそうに笑っていたので正解だったようだ。


熟睡しているリンの隣で俺はミーナをぎゅっとハグした。



次の日の朝、早速モッハトルテ国を目指すこととした。


昨日ミーナと少し話をしたのだが、まずはモッハトルテ国の戦争の真意を聞き、戦争の必要性がないことを説明するとのことで話がまとまった。


もし、相手が実力行使で襲ってくるのなら、その時はこちらも応戦することにした。


まあ、捕虜の話では、召喚したドラゴン10頭は全てアークザリアを攻めるのに投入したので、モッハトルテ国にはそれほど戦力はないとのことだった。


すんなり話し合いに応じてくれれば一番いいのだが。


俺たちはいつものごとく、走って向かうことにした。


しかしながら、走りでは数日かかるためミーナの転移を混ぜつつ移動した。


おかげでその日の夕方にはモッハトルテ国に着いた。


国の入り口にいる獣人が警戒を強めて俺たちを見ていた。その獣人にミーナが話かけた。


「私は勇者ミーナです。こちらの者は私のパーティメンバーです。国王と話をしに参りました」


人族が嫌いな獣人であったが、目の前の娘が勇者と名乗っていたため対応に困っているようだった。


人族とはいえ勇者に対しては手を出せないのだろうか。


「ちょっと待っておれ」


不機嫌そうに答えた獣人は、姿を消して国王の方へ向かったらしい。


彼が帰ってきたのは30分後ぐらいだった。


「案内するついて来い」


意外とすんなり話がついたようだ。


俺たちは獣人に案内されてモッハトルテ国の国王のもとへと案内されることになった。


リンはエルフ族であるためモッハトルテ国内では何の差別を受けないのだが、奴隷の首輪が見つかると俺たちがまずいので首輪は見えないような服装に変えてある。


しばらく歩いて、聖堂のような大きな建物に案内された。この建物の中に国王がいるのか。


うちの親父が通ることができそうなデカイ扉を開けて中に入った。


建物の中はまさに聖堂のような感じであった。


一番奥の背もたれがでかい椅子に座っているのが国王なのだろう。


国王の両隣には3人ずつ異種族が立っていた。


国王はリザード族であった。いわゆるトカゲ面だ。


まあ、人族がいないことは分かっていたが、驚いたのはその奥にまで続く通路の両脇にドラゴンが3匹ずつちょこんと座っていた。


この前アークザリア王国を襲った赤いドラゴン達だ。


話では全てドラゴンを投入したとのことであったがガセだったのだろうか、それとも追加で召喚したものだろうかわからないが俺たちの緊張感は一気に高まった。


国王の前まで俺たちを案内した獣人は、国王にお辞儀をして出ていった。


モッハトルテ国王は俺たちを見て薄ら笑いを浮かべている。何だコイツ気味悪い奴だ。


その国王が口を開いた。


「勇者ミーナと言ったな。ふむ、確かにそなたらには強い力を感じるな。分かっておる、今回のアークザリア王国襲撃の件で来たのだろう」


ん? 意外と話のわかる奴なのか。俺たちの訪問目的も分っているのか。


「はい、今回のドラゴン、獣人族の襲撃。なぜアークザリア王国に攻め入ったのですか。アークザリア王国はモッハトルテ国に何かしたのですか」


「ふあっはっは。アークザリア王国は特になんもしとらん。わしらモッハトルテとはお互い不可侵だからな。ただな人族がこの辺りで大きな顔をしているのが気にくわないのだ。下等劣等種のくせにな」


ダメだコイツ。あかんタイプの奴や。


「何もしていないのに気にくわないからと言う理由で国に攻め入るなんて、そんな理由で攻め入るのならこの国だってあっというまに攻撃されますよ」


「ふあっはっは。面白いこという勇者だ。さすが人族だな。ドラゴンを相手にできるそんな国があるものか。アークザリアにも精鋭部隊とドラゴンを送った。残念じゃがもう事切れてるはずだ。アークザリア王国は滅びこれからはモッハトルテ王国となるのだ」


この国王、恥ずかしい。知らないと言うことは罪なことだ。


まだ戦争の結果がこちらに届いてないのだろう。


「あの、すみません。ドラゴンなら私達が全部倒しましたけど」


ミーナ直球すぎるよ。それに俺たちだけじゃなくてガン達も倒してだけどね。


「むっ。笑えない冗談を言う娘だな。ドラゴンを全部倒した? 何だそれはわしらが攻め入って負けたというのか」


「はい、そうです。だから私達がここに来たんですよ。戦争の理由を聞いて、戦争をやめさせるために」


面白いことに国王がプルプル震えている。ミーナが嘘を言っているように聞こえているから怒り爆発寸前だ。


そこへ急に扉がひらいて傷だらけの獣人が国王の横に立っている獣人に何か話をしていた。


その話を聞いた獣人は顔を真っ青にして国王に何か話した。


恐らく傷だらけの獣人は逃げた部隊の一人だろう。


俺たちは転移で軽く移動したが、こいつはきっと飲まず食わずで走り続けて今着いたのだろうな。


……早ええよ。獣人の本気の走り凄いな。1日半ぐらいで着くとか俺たちの走りでも無理だわ。


国王の体の震えが先ほどよりかなり大きくなっていた。


「おい、勇者ミーナ。ドラゴンを全部倒したと言ったな。全部倒したのか。嘘をつくな。嘘だろうがぁ」


怒れる国王は、右手を上げてその手をミーナに向けた。


すると脇にいた6頭のドラゴンが一斉にブレスを俺たちに放った。


「6頭同時のドラゴンのブレスはどうだ。勇者でもひとたまりもないだろう。ってもう姿形残っていないか」


ブレスの後の煙がはれた後、俺たちは無傷でその場にいた。


国王、お前カルさんの結界なめ過ぎだろう。カルさんなら100頭ぐらい同時でもブレス耐えられるんじゃないか。


「な、無傷だと」


驚いている国王には悪いが俺たちは1頭ずつドラゴンを倒していく。俺とミーナは2頭担当だ。


リンもオルガもさくっとドラゴンを倒した。


「ば、馬鹿な。ドラゴンがこんなに簡単にやられるなんて。これは夢に違いない」


「夢なんかじゃないでしょ。ドラゴンなんて私たちなら何匹でも狩れるよ。それよりいきなりマオくん殺そうとしたよね」


あ、ミーナの怒りのポイントはそこか。ミーナ怒ってるなって感じたけど、俺の事に関して怒ってくれているんだ。


嬉しいけど殺気が凄いよミーナ。国王殺気だけで漏らしそうな感じになってるけど。


国王の両隣にいる人たちは腰抜かしてるしな。


「ま、待て。いきなり攻撃したのは悪かった。ここはどうか穏便に」


「そうだね。じゃあまずもう人族とは戦争しない。つまり人と争わない。それとお互いに交流を持つってのはどうかな。何人か留学みたいな感じで。話していけば仲良くなると思うんだけどな」


「そ、そんな急に人族と仲良くなどできるわけがない」


「んん、何か言ったかな。戦争したいのかな。なんなら今すぐにでも開始してもいいですけど、します?」


「と、とととんでもない。します、人族とも仲良くします。だから戦争はしないでください」


「よろしい。では、また後日使いの者をよこすけど丁重に扱うようにお願いしますね。ちゃんと国民にも今回の顛末を知らせてくださいね」


「わ、わかった。ちゃんとする」


国王の言質が取れたからなのかミーナの表情も少し緩んだ。


ドラゴンはまた全滅させたけどモッハトルテ国の国民は誰もケガはしていないし結果オーライだろう。


確かにもう少し人族と交流があれば仲も改善されるかもしれない。


とりあえず今日はこの国に泊めてもらい、明日は国の中を案内してもらうことになった。


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