プロローグ 立成二十一年度入学式の日
二年ぶりの星花女子プロジェクト作品でございます。よろしくお願いします。
ついにウチも高校生、星花女子学園高等部一年生である。
「朔ちゃん、よう似合うとるやないの~」
オカンがスマホでウチを撮影しまくるもんやから、ウチもノッて「めっちゃスタイリッシュやろ?」とポーズを決めたった。昨日美容室で髪をばっちりオン眉に整えてもらったばかりやし、ますますいい感じに写ることやろう。
制服も新調した。紺色のブレザーは今まで通りやけど下はタータンチェックのスカートからグレーのスラックスに変えた。今年度からとうとう念願のスラックスが導入されたのが本当にありがたかった。おかげで、剣道で鍛えすぎて太くなった足が隠れるようになるからだ。
ただ、制服を新しくしても学校は今までと同じところに通うので、新鮮味は中等部に入学した頃よりは正直、薄かった。あんときは有名アイドルが入学してきて大騒ぎになってたし、今もちょくちょく芸能人が入学してくるし、同級生にもおる。おかげで知名度が爆上がりで、応募倍率が跳ね上がったもんやから今は頭がそこそこ良くないと入れへん学校になってしもうた。もし生まれるのがもう少し遅かったら、間違いなく星花には入れへんかったと思う。
オカンと一緒に登校したら、やっぱり大勢のマスコミが正門の前に固まっとった。
「毎年大層やなあ」
とオカンがぼやく。噂では今年も何人か芸能人が入学してくるらしいが、すでに星花の濃すぎる三年間を過ごしてきたウチにとっては驚きもせんかった。アイドルに俳優に声優、いちいち名は挙げないがどれも有名人ばかりで、今さらまた有名人が入学しようが何とも感じないのである。
そのまま正門をくぐる。マスコミは滅多にしないおめかしをしているオカンと、新しいスラックス型制服のウチには目もくれなかった。インタビューぐらいやったらいくらでも受けたるのに、一般人には薄情やなあ。
警備員の詰所にさしかかると、赤羽明日香さんという警備員が立っていた。
あの人ではなかったことにちょっとがっくりする。ローテーションだと確か今日が早番だったはずなんやけど。
「おはよう!」と赤羽さんが挨拶してきたので、ウチも「おはようございます!」と元気に返した。
「おめでとさん。君がスラックスの登校者第一号だぞ」
「え、ホンマですか?」
「今のところスカートばっかだな。もっといるかと思ったがアテが外れた」
「赤羽さんの競馬予想みたいに?」
「やかましいわ」
赤羽さんとはいろいろあって、軽口を叩きあう仲にまでなっていた。ウチみたいに良くも悪くも女性っぽくないので気が合うたのかもしれへん。
「ところで、今日はあの人が早番と違うんですか?」
「遅番に回ってもらった。あの姿をマスコミの前に出したらどうなるかわかるだろ?」
ああ、確かに。
「あの人って誰なん?」
オカンが聞く。
「今ウチの中でホットな人や」
と、ウチは答えた。
この星花女子学園では、とってもおもろくて、とってもすごい、名物警備員が働いているのであった。




