071 ギルドです。1
ここは飛行島のコテージです。
昼食後、リビングで陽子さんとお茶を飲んでいます。
アンナ「陽子さん。」
陽子 「はい。何か御用でしょうか。」
アンナ「陽子さんは家族です。使用人ではありませんよ。丁寧過ぎる言葉遣いは不要です。」
陽子 「はい・・・わかりました。」
言葉遣いに関して、わたしも他人のことは言えません。
アンナ「それから、陽子さんは前の家と同様に過ごしてください。」
陽子 「はい。」
* * *
アンナ「わたしは、ワウラの街に出かけます。何かあったら、スマホに連絡をください。」
陽子 「はい。」
* * *
わたしは、コテージから出て、ワウラの街に転移しました。
向かった先は冒険者ギルドです。わたしはギルドに入り、受付のヒルダさんに質問しました。
アンナ「わたしが依頼した、街の清掃の件ですが、なにか問題ありますか。」
ヒルダ「いいえ、問題ありません。子供達が毎日街を清掃して、報酬を受け取っていきます。
ただ、報酬として支払いお金が今月でなくなりそうです。」
わたしはアイテムボックスからお金を出しました。
アンナ「わかりました。これで報酬を支払ってください。」
ヒルダ「はい。ですが本当にいいんですか。
街がきれいになっても、アンナさんにはなんの得もありませんよ。」
アンナ「かまいません。街のためです。」
ヒルダ「わかりました。少々お待ちください。」
ツアー客に、汚い街は見せられません。これは、必要経費です。
ヒルダ「お待たせしました。書類にサインをお願いします。」
わたしはサインをして、受領証を受け取り、ギルドを出ました。
* * *
次に向かったのは、街の宿猫耳亭です。
わたしは猫耳亭に入りました。
ノエル「いらっしゃいませ。」
アンナ「ノエルちゃん、こんにちは。これお土産のお菓子です。」
わたしは、アイテムボックスからバスケットを取り出して、ノエルちゃんに渡しました。
中に入っているのは、チョコレートを挟んだビスケットです。
ノエル「アンナお姉ちゃん、ありがとう。」
エマ 「アンナさん、こんにちは。」
アンナ「エマさん、こんにちは。」
エマ 「商業ギルドの人がアンナさんのことを探していましたよ。」
わたしは冒険者なので、商業ギルドには登録していません。
アンナ「なんの件か、わかりますか。」
エマ 「透明窓とトイレの件だと思います。しつこく聞かれましたから。」
アンナ「わかりました。あとでギルドに行ってみます。」
アンナ「香草は、その後どうですか。」
エマ 「はい。アキノ商会から仕入れることができるようになりました。」
アキノ商会?
アンナ「宿は順調ですか。」
エマ 「二人雇ったので楽になりました。ただ朝食のお客さんが少し減ったと思います。
と言っても行列が短くなった程度ですが。」
アンナ「そうですか。」
エマ 「最近、焼きたてのパンを食べながら、カフェオレを飲むのが人気だそうです。」
そう言えば、パン屋さんに教えました。
エマ 「うちにも、カフェオレの作り方教えてください。お願いします。」
アンナ「わかりました。」
私たちは、従業員用ダイニングに移動します。
わたしは、ドリップコーヒーセットをテーブルに出しました。
ミルの使い方やコーヒーのいれ方をエマさんに教えました。
ノエルちゃんもお菓子を食べながら近くで見ています。
わたしは、ホットミルクを出して、三人分のカフェオレを作りました。
ノエルちゃんの分はミルクと砂糖多めです。
ノエル「おいしい。」
エマ 「美味しいです。」
アンナ「ありがとうございます。」
エマ 「ところで、このミルという道具は、胡椒にも使えますか?」
アンナ「使えますが、においが移るので、胡椒にはこれを使ってください。」
わたしはペッパーミルを出して、使い方を教えました。
朝食も、なにか対策が必要ですね。簡単に作れてお持ち帰りできるものにしましょう。
わたしは、オープンサンドを提案して、レシピをいくつか教えました。
エマ 「早速、明日の朝食に出そうと思います。あと、チョコレートも売ってください。」
わたしは、製菓用クーベルチュール2kgとコーヒー豆5kgを出しました。
エマ 「いくらになりますか?」
アンナ「ちょっと待ってください。」
わたしは、スマホで価格を調べました。
チョコレート、コーヒーともに100g200円で計算しました。
アンナ「大銀貨1枚と銀貨4枚です。」
エマ 「安過ぎませんか。」
アンナ「妥当な金額だと思います。」
わたしはお金を受け取り、猫耳亭から出ました。
これから、商業ギルドに向かいます。