男の私、参上!あれ?兄より目立ってしまった!?
・・・よし、準備OK
さて、どうなるかな?
ガチャ・・・
コツ、コツ、コツ、コツ・・・
なぜか私に視線が来る
まあ、当然でしょう
なんたって私は自力で爵位を賜った、『SSSランクの魔物を倒した』『男』なのだから
男たちの目には、畏怖と嫌悪と好奇心が宿り、女たちには、嫌悪と好奇心と野心が宿っている
・・・コツ・・・
「貴女がアイリス様ですね?」
「は、はい」
私の目の前には驚きに固まるアイリス
「私は妹の『リオン』の兄、『レクサス』と言います・・・アイリス様」
「はい・・・」
流れでなんとなくわかったのだろう
頬に朱が差し始めていた
「私と・・・踊っていただけますか?」
すっと手を出しながら言う
その発言に周りが息をのむ中、アイリスは
「はい・・・喜んで、お受けいたしますわ」
少しぽぉーっとしながら私の手を取った
つい、満面の笑みが顔に浮かぶ
令嬢たちがまた息を飲み、頬を赤らめ、男たちもその笑みに魅入られていることなど気づかぬまま、アイリスと踊り始める
軽やかに、優雅に、美しく
全員がそのダンスに見惚れる
そのダンス相手のアイリスさえも
曲が終わるとみんな我に帰り、そして・・・私とアイリスは拍手の海を受けた
少しそれに驚きながらも、あれ?兄より目立っていいのかな、と思う私
その隣で熱に浮かされたように私を見上げているアイリス
私は拍手と賛辞を受けながら、この後どうしようかと考えるのだった